変わりたい理由
『へー。やっぱり徳島でやるんか。近所だったしラッキー。』
パソコンを見ていた僕、佐藤橙李は、能力開発のゲームの参加者を募っているホームページにアクセスしていた。
『え、山の中でするんか。なになに・・・神山町。』
そこにはゲームをやる場所や日時について書かれていた。
『3日後の正午に神山温泉か。遠すぎやな。』
だが神山町でするというのなら、徳島県民はなかなか有利なのでは。なぜなら、恐らく県外の人達も来るだろうからだ。
神山町はかなり山奥にある町だ。人口は少ないものの神山温泉の露天風呂が格別で、道の駅のアイスクリームが絶品である。特にすだち味な。
ステマのような話は置いておいて、気になっていた【能力】がどんな基準で与えられるのか。
答えは、①親から受け継ぐ才能 。②自分の持っている才能。が引き伸ばされ、発現するらしい。
①は親が優秀であれば良く、②は自分が何か優れていたものがあればいいのか。ほぉ。
一通りサイトを見ていたら、メールが来た。母からだ。帰る日が長引くという。今母は祖父の看病で県外実家に帰っているので、家にいない。僕が神山町に行くには好都合だ。
母はあのニュースを知っているのだろうか。もし知っていたら神山に行く僕を止めてくれるのだろうか。
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というと、我が家は3人家族で、仲はよかった。でも、僕が中学1年生の時に離婚寸前まで行った。父の不倫である。
だが、母1人では私立高校に通う僕を養っていけないので、離婚は免れた。
ただ、父は家に居られなくなり、出張という名目で逃げるように家を飛び出したのであった。
それから母は僕に対する当たりが強くなった。
弁当は作ってくれなくなったし、少しのことで怒鳴り散らすようになった。
そのせいで不登校になったこともある。
その頃からである。僕が両親を嫌いになったのは。
だから、僕はこの境遇を抜けるために、変わりたかったのかも知れない。だから、このゲームに参加しようとしたのだろう。
ゲームは今から三日後。神山温泉には宿泊施設があるので、僕は先に神山町に向かうことにした。
僕の家から約30キロ。僕は自転車に乗り、ゆっくり漕ぎ出した。
遅くなってすみませんm(。>__<。)m
見て頂いてありがとうございます!




