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1.5話 しかし剣は抜けませんでした。

もっっっのすごく遅れてしまって申し訳ありません!!テストがあったり大乱闘な兄弟(ブラザーズ)をやっていたりしたら遅れてしまいました。


ちなみに今回は物語は進みませんが伏線的なサムシングが入っていますので読むことをオススメします。(別に読まなくても結構ですよ!!)


今回は光視点となっております。

 パシュッ。ピシュッ。


 まだ人気のない朝。

 町が動き出す前の時間。


 僕はそんな束の間の静寂が好きだった。学校などに行って忙しく過ぎていく時間の中で、この時だけは時間がゆっくりと流れている。


 そしてそんな静けさを切り裂くように響く風切り音も、僕は嫌いじゃなかった。辰巳と他愛ない会話を交わしながらシャトルを打つのは楽しい。それは高校生になった今でも変わらない。



 しかし同時に。

 僕は辰巳と一緒に居る時が、1番辛くもあった。


 僕の事を親友と思ってくれている辰巳を見ていると、心が痛む。胸が苦しくなる。



 何故なら、僕は。


 いや、私は、出会った時からずっと、彼に嘘をつき続けているのだから。

 

 その苦しみは、時を重ねる程にどんどん大きくなっていく。律儀にも家の言い付けを守り嘘に嘘を重ね、罪悪感に押し潰され。


 そこに残った私は、一体誰なのだろうか。

 

 

  ♢


 

 30回くらい続いていたラリーはちょっとしたミスで終わってしまう。辰巳が返した球は塀を超えて空へ吸い込まれて行った。


「わり、取ってくるわ」


 一言僕に断りを入れると、辰巳はネットをくぐって駆け出して行った。


 その姿が見えなくなるのを確認すると、僕はフッと息を吐いた。口から出た白いモヤはしばらく顔の辺りを漂ったあと、静かに消えていく。



 別に、辰巳に本当の事を言ってもよかった。家の言い付けなんてどうにでもなる。そうすればこんなに苦しくはならなかっただろう。その方がいいという事を僕は知っていた。

 

 しかし、僕は言わなかった。家の言い付けがあるからと心の中で言い訳をしながら、嘘をつき続けた。

 

 僕は怖かったのだ。この関係が変わるのが。


 辰巳は僕が真実を言ってもおそらく気にしないだろう。辰巳の性格はよく分かっている。


  それでも、怖い。心の中では分かっていても、その1歩が出ない。


 辰巳はよく僕の事を「行動力の化身」と言ってくれたりするが、本当は行動力なんてない。本当に言いたい事は何一つ言えない。僕の行動は全て上っ面だけのもので、中身が無いのだ。



  ♢



 シャトルを取りに行っただけなのに、辰巳はなかなか帰ってこなかった。少し心配になる。追いかけようか悩んでいると、叫び声が聞こえてきた。僕は慌てて駆け出した。



 声のする方へ来てみても、辰巳の姿は見えなかった。近くには古い大きな用水路があるばかり。


 まさか神隠し?などと荒唐無稽なことを考えながらウロウロしてみると、謎は解けた。用水路の壁に大きな穴があいていて、その中に辰巳がいたのだ。


 僕は靴を脱いで川に飛び込んだ。今の季節は田んぼに水を必要としないため、水位はくるぶし辺りまでしかなかった。少し、いやかなり寒いけどズボンが濡れずに済んだのは幸いだった。



 いざ声をかけようと辰巳を見る。すると、辰巳はブツブツ言いながら洞穴の中を徘徊していた。完全に危ない人にしか見えない。


「ど、どうしたの?なんか危ない人みたいだよ?」


 僕に気づいて慌てて振り返る辰巳に、思ったことを口に出す。

 しかし辰巳はなかったことにするつもりなのか話を逸らそうとしてきた。


「み、見ろよこれ!!剣が刺さってるぞ!!」


「え?ホント?」


 別に辰巳の思惑に乗らなくてもよかったけど、剣がどんなものか気になる。僕は辰巳が指し示す方へ意識を向けた。



 そこにあったのは、どこかの遺跡のような龍…いや、ドラゴンの彫刻が彫られた台座と、それに刺さった聖剣のようなものだった。その剣は僅かに光っていて、神聖な何かを感じた気がした。


 

 僕は迷わず剣の柄に手をかける。辰巳が何か慌てているが、気にはしなかった。もし本当に聖剣の力が手に入るなら、僕は—…。


 グッと手に力を篭める。


 しかし、剣はピクリとも動かなかった。まるで刺さったままの形で作られたかのように。いくら僕が筋力をつけても、永遠に抜けなそうな気がした。


 溜息が漏れる。やはり僕みたいな不誠実なモノには資格なんかないのだろう。本当に自分が嫌になる。


 僕は諦めて剣から手を離した。


「やっぱそんなもんか」


 辰巳がフッと息を吐きながら言った。なんかムカつくんだよなぁその態度。僕はちょっとイラッとして辰巳に言い返す。


「じゃあ辰巳もやってみてよ」

 

 辰巳はえぇ…と顔を顰めて反論してくる。しかし僕が更に言い返すと、ついに辰巳は折れて剣に手をかけた。



 完全に諦めている様子の辰巳だったが、その意に反してすんなりと剣は動いていく。


「あれ!?これ少し動いてない!?」


 僕は凄い凄いと手を叩く。実際、凄いことだと思う。なぜなら勇者になるってことは神に認められたとかそういう事なはずだ。全世界でおそらく1人だけ。そんな何億もの倍率の試験に合格したのだ。


 しかし、不思議と僕は心のどこかで当前だと思っていた。辰巳には僕にそう思わせる何かがあった。



 やがて剣が完全に台座から抜けた。両刃の長細い剣で、青みがかった刀身は僅かに光っている。彫刻はそこまで派手なものではないが、とても細かく美しく彫られていた。



 と、いきなり刀身が強い光を放った。目も開けられないような眩い光。その光は辰巳を飲み込んでいく。


 その時、ふと僕の胸がザワついた。何か嫌な予感がする。


 光の中に点が1つポツンと浮かんでいる。その中に、何か邪悪なモノが見えた気がした。



 僕は思わず光の中に飛び込んだ。


 コレは僕らの日常を変えてしまうような力を秘めている。それが何なのかは分からない。それでも、見逃すことはできない。なぜならこの日常は、僕が最も大切なものだからだ。



 眩しい光に目を瞑りながら、手を前に伸ばす。


 前に、前に。もっと前に。


「辰巳ぃぃぃーーーー!!」




 僕の意識はそこで途切れた。


誤字や文法ミス、ストーリー自体に対するご意見等ございましたらコメントしていただけると助かります。感想もお待ちしておりますのでどしどしコメントお願いします!!


そして、明日からは遂に冬休み!!更新速度も上がる…ハズ。時間があれば、イラストをつけるなどの計画も影でこっそりと進んでおります。まぁ、あくまでも計画なので更新速度が上がらなかったら実現しませんがね。期待せずにお待ちください。

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