プロローグ ~全ての始まり~
辰巳の身長などを変更しました
よろしくお願いします!!
ビシュッ、パシュッ。ピシュッ。
「ほいっ」
「せいっ」
澄んだ朝の空気に、ラケットを振る音とシャトルが飛ぶ音が響き渡る。休日で、しかも冬だからか辺りに人気はほとんどない。精々近所の鶏農家の人がいたくらいか。そのためか響く音は体育館の時よりも気持ちよく感じた。
俺と光はバドミントンの朝練をやるために近所にある緑の広場―通称みどひろへ来ていた。
緑なんぞほとんどない土の地面と灰色のコンクリートに囲まれた三十メートル四方の空間。一体誰が緑の広場と名付けたのだろうか。そんな名づけセンスを疑うようなこの広場はコンクリの壁のおかげで風がほとんど入ってこない。そのためバドミントンをやるのに最適だ。
最近高校生になり、体育館の料金が六十円から三百円へと一気に跳ね上がってからは部活外では専らここで練習している。
まぁ、朝から体育館が開いてる訳ないので朝練は中学生の時からここでやっているが。
「いやー、朝練ってなんかワクワクするよね」
「そうだな。なんか秘密の特訓みたいな感じで」
「頑張って上手くなって先輩たちを驚かせようね‼」
雑談を交えながらアップで軽くシャトルを打ち合う。
中学生からずっとバドミントンをやっているだけあって、別のことに意識を多少割いても全然問題なく打てるようになっていた。
俺、冰彗 辰巳と柊 光は小学生からの幼馴染だ。出席番号が近かったため、よく話すようになり気が付くと一番気の置ける親友になっていた。
一応近所に住んでいる生まれた時からの幼馴染もいるが、あいつは女子なのでどちらかというと男子である光と一緒に過ごすことが多かった。ほら、やっぱ同性同士の方が色々と話し合うし。
ただ、光は背が小さいし顔が整っているので一緒に居ると一部の女子からキラキラとした目で見られる。「腐腐腐」って声が聞こえてきたりして結構怖い思いをした。
中学生に上がった俺達は、若干周りに流されてバドミントン部へ入部した。まぁ、特にやりたい部活もなかったし。光は文芸部に興味があったらしいが、運動部に入りたかった俺についてきた。それでバドミントンにはまったというわけだ。
しかし、まさか運動が苦手な光までもバドミントンバカになるとは思わなかった。だってあいつ体力テスト学年のワースト3に入るぞ?それが運動がそこそこ得意な俺といい勝負をするようになるとは。…―なんか負けた感じがする。
と、部活に入ってからのことを思い出していた俺は少し力んでしまい、シャトルを高く打ち上げてしまった。
べ、別に悔しくなった訳じゃないからな‼
「やべっ‼」
いくら壁があるといってもそこまで高い訳じゃない。上の方は風の影響を受けてしまう。高く打ちあがったシャトルは風に流され、広場の外へと飛んで行ってしまった。
「あ~あ。やっちゃった」
「わり、今とってくるわ」
俺は緑色の防球ネットをくぐり、シャトルが飛んで行った方向へ駆け出した。
確かあっちの方には用水路があったはずだ。急いで取りに行かねばシャトルが流されて行ってしまう。一つで250円するシャトルは、俺たちのようなバイトをしていない学生にとってかなり高価なものなのだ。
川辺まで行ってみると、やはりシャトルは用水路に落ちていた。急いでシャトルを追いかける。
なんとか取るタイミングをうかがっていると、シャトルは用水路の壁に空いた穴へと入って行ってしまった。変なところへ入ってしまうと探すのが不可能になってしまう。俺は急いで用水路へと飛び込んだ。
できればこんな寒い日に水にぬれたくなかったんだけどなぁ。まあそんなことも言ってられないか。
用水路に空いていた穴は結構大きく、しゃがめば俺でも入ることができた。しかも中は普通に立てるくらいの高さがあった。俺の身長は170cmだから、その高さがわかるだろう。
穴の中は水が少ししか来ていなかったので、シャトルは入口のすぐ近くに落ちていた。
「危ねぇ…。もっと水が来てたら見失うところだった」
そう呟きながらしゃがんでシャトルを取ろうとすると、そのすぐ近くに謎の物体を見つけた。表面はツルツルしていて、何かの彫刻が施されている。
とても普通の石とは思えない。
俺はスマホを取り出してライトをつけてみた。
すると。
「っ!?なんだこりゃ!?」
そこには綺麗な龍の彫刻が施された台座があり、よくゲームで見かける感じの剣が刺さっていた。
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