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バッツの相談(カイル・バッツ・ネオン・ステラ)

同世代男子のお悩み相談。

ステラが最後なんて言ったかは皆様の想像にお任せ致します。

カイルはその日ギルドの依頼を終えリュナに捕まったステラと離れ武器屋に立ち寄った。

店に入ると見覚えのある人物を見つけ驚いた。


「バッツ?」


その人物はカイルに気付くと、はにかんで近付いて来た。

カイルは辺りを見回し聞いてみた。


「ネオンは?一緒じゃないのか?」


「いや。一緒に来たんだけどロゼに捕まって引きずられて行っちゃった。ここには新しい品が入ったか確認しに来たんだ」


彼等はソルフィアナで普段暮らしている。何か用事がなければこちらにはあまり来ないが二人とも冒険者なので、ある程度の実績は必要である。きっと何か仕事を受けに来たのだろう。


「そういえばエルディ見かけなかった?」


バッツの問いにカイルはジト目になる。バッツはエルディを慕っている。鬼の様なエルディの扱きに笑顔で応えられる人物はカイルが知る限り彼一人だけだ。


「いや。まだ会ってないが居るとは思うぞ?ロゼが居たなら」


あの二人はいつも一緒である。暑苦しい。


「そっかぁ。今ならひとりかなぁ?」


「何だ?また武術の訓練か?よくやるよな」


「いや、今日は聞きたい事があって。ちょっと聞きにくい事だから二人の時に聞きたかったんだけど」


今なら一人かも知れないとバッツは店を出ようとしてカイルに捕まった。


「何だそれ。俺にも聞かせろよ?」


「え?いやぁーでも・・・・」


バッツはちょっと迷った。あまり大勢に聞かれたくない。


「その様子だとネオン絡みだろ?しかも恋愛」


うっ!とバッツは困った顔をした。カイルは本当にステラとバッツはよく似ていると改めて思うのだった。





「お前。それは、完全に誘われてただろ?」


「え?何に?」


「・・・そこからかよ」


カイルはバッツの反応に頭を痛める。

どうもネオンにそれとなく誘われている様子なのだが本人が全く分かっていないのだ。


「だーかーら!触っていいって言われてるって事だよ。むしろ触って欲しいんじゃないのか?」


そう言われバッツの顔が徐々に赤くなる。面白い。

バッツはキョロキョロ周りを見てから小声で聞いてきた。


「そ、それって最後までって事かな?」


「そこは本人に確認しろ。というかバッツはどうなんだ?したくないのか?」


「え?したいけど」


あっさり返ってきた返答にカイルは拍子抜けした。正直バッツの精神年齢がどのくらい培われているかカイルにはよく分かっていない。


「じゃあお前から誘ってやれよ。可哀想だろ女性側から言わせるなんて」


そう言いつつ言わせてみたいなとカイルはちょっと思った。

最初の時を除いてステラからその行為を求められた事は今のところない。


「いや。良いのかなぁと思って。俺達別種族同士だし、ちょっと心配で・・・だからエルディに相談しようかと」


「あー成る程。でも身体の作りは同じなんだろ?大丈夫じゃないのか?」


「大丈夫じゃないと思うんだよね。主にネオンが」


カイルはハッキリしないバッツの物言いに首を傾げる。

バッツは頭に手を当てて少し考えてから更に声のトーンを落とした。


「エルフって凄く敏感なんだ」


「はい?」


何が?とは流石に言わなかったが狼狽えるあまり変な声が出た。


「えーと。だからあまり普段から人の身体に触れたりしないんだって。冷たく見えるのも、人と距離をとっているからなんだ。色んなものを感知しやすい種族らしい」


「・・・・つまり。人間同士みたいにするとエライことになると?」


「多分。試してないから分からないけど」


バッツは言いながら困り果てている。どうやら彼もちゃんと色々考えてはいるらしい。


「別にいいんじゃないか?そんなの試してみないと分からないしダメだったらその都度改善すれば良いだろ?」


カイルの最なアドバイスにバッツはキョトンとした。確かにその通りである。


「試すならソルフィアナに帰る前にしろよ。誰に覗かれるか分からないからな」


口には出さないがバッツを崇拝しているあの宰相の事だとバッツには分かって苦笑いした。


「意外と人間と変わらないかも知れないしな。お前知識はあるのか?」


「一応。レイヴァン様に・・・・・」


そこまで言ってバッツは口を閉じた。カイルの顔が怖い。


「おい。大丈夫なのかそれ。いまいち安心出来ないな」


揶揄い半分で変な事を吹き込んだ可能性もある。カイルはその辺りを確認しようとして口を閉じた。ネオンがバッツを探しに店に入って来るのが見えたからだ。カイルは椅子から立ち上がって手を上げた。ネオンはそれに気付くと駆け寄って来た。


「カイル。久しぶり!ステラにもそこで会ったわ」


ネオンは被っているフードの中から笑みを見せた。綺麗な子である。


「よく二人で出てこれたな?どこぞの宰相が止めたんじゃないか?」


「すぐ帰るしあの人バッツにとても弱いから大丈夫よ?」


ソルフィアナは最近大分安定している。

育たなくなっていた植物が復活し、国内だけでも生活が成り立つようになって来たからだ。それにより今までの警戒態勢がかなり緩和している。


「さて、じゃあ俺もステラを回収しに行ってくる。今日はこっちにいるのか?」


「ええ、ギルドの依頼を受けたから数日はいるわ。ロゼ達はもうここを出てっちゃったけどカイル達はすぐ出るの?」


「いや、帰ってきたとこだからな。夕飯一緒に食うか?」


「そうしましょ!バッツいいわよね?」


「うん。もちろん!」


嬉しそうなネオンの横顔をバッツは愛おしそうに見ていた。


「大丈夫かなぁネオン」


ステラと合流し宿屋に向かう途中でステラはポツリと呟いた。カイルはとぼけた顔でそんなステラに聞き返した。


「何かあったのか?」


「いや、バッツって大人と子供が入り混じってる所があるからネオンもどう対処したら分からない事が多いらしくて」


「話せばいいんじゃないか?言葉にすれば考えるだろ?」


「それはそうだけど、口に出せない事だってあるよ?」


まぁそれは分かる。だが言わせてみたい。


「たまには言えよ。その言いにくい事」


「え?」


急に話の矛先が変わりステラは驚いた。今はネオンの話をしていたのに。


「カイル?」


「俺ばかり求めてるみたいでたまに虚しくなるんだが?」


その言葉にステラは頬を染めた。そして下を向いてしまう。怒ると思ったのに珍しい。


「・・・・・聞いたら。が、ガッカリするかもよ?」


ステラの言葉にこれはよもやでっかい地雷を踏んだかも知れないとカイルは身構えた。ステラはキョロキョロ辺りを見回してからカイルの手を握って耳に口を近づけた。


「ーーーーーーー!?」


ステラに何事か囁かれたカイルは手で顔を押さえて唸り声を上げた。ステラは慌てて手を振った。


「あ。いや、カイル!別にどうしてもって訳じゃ・・」


「そうか。悪かったステラ。俺の努力不足だ」


カイルはステラの手を引っ張って足早に宿屋に向かって行く。ステラは赤い顔のまま少し狼狽えた。


「か、カイル?」


「俺は気になることはすぐに実践するタイプだ。言い出したのはお前なんだから勿論協力してくれるよな?」


「え!?今から?」


思わず足を止めようとするステラをカイルは自分に抱き寄せた。そして最高の笑顔で、笑った。


「今日はステラがちゃんと満足するまで手を止めないから大丈夫だ」


真昼間から飛び出したとんでもない発言にステラは絶句する。二人はそのまま姿を消し、夜になるまでバッツ達の前に現れなかった。

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