寝起きバッツ×ネオン
本編の少し後くらい。
ほのぼのラブです。
「おはよー!ネオン起きてる?」
ある日の朝、バッツはいつも通りネオンの住居である宮殿近くにある集落に来ていた。
ソルフィアナの住居は巨大な木が連なる森の中、樹木の上に作られている。そんな場所が至る所にあるのだ。
バッツ達は宮殿の近くのこの集落に住んでいる。
バッツが中を覗き込むといつもは居るはずのお手伝いさんがいない。バッツは不思議に思って中に入っていく。
「ネオン?いないの?」
奥のネオンの寝室のドアをそっと開けると中で微かに寝息が聞こえた。まだ寝ている様だ。珍しい。
バッツはスヤスヤ眠っているネオンの側で腰掛けた。
(もしかして疲れてたのかな?今日はやめておこうかな)
今日は二人共予定が何もない。
特に約束してなかったのでもしかしたら体を休めたいのかもしれない。バッツはそっと立ち上がろうとして可愛い顔で眠るネオンをじっと見た。
(可愛い)
バッツはネオンが髪を下ろしている姿が好きだ。彼女の髪は緑色で艶があり、とても綺麗なのである。つい、触りたくなる。
(ちょっとだけならいいかな?)
バッツはそろりとネオンの髪の先に触れた。柔らかい。
ネオンはまだ気付かずスヤスヤ寝ている。
バッツは何故かモヤモヤした。
「ネオン」
バッツは小声で呼んでみた。まだ起きない。
バッツは段々我慢出来なくなってきた。
眠る彼女の耳にそっと唇を近づけて小声で囁いてみた。
「ネオン。起きて・・・・」
「!?ぴゃっ!!」
(ぴゃ?)
その瞬間ネオンの身体がビクンッと痙攣した。
バッツが驚いてそのままの体制で固まっていると驚いて眼を覚ましたネオンが真っ赤になってプルプルした。
(し、しまった)
これは怒られるかもしれないと身構えているとネオンの口からとんでもないセリフが出てきた。
「み、耳は弱いから、いやなの」
(え・・・・え?)
目が点になったバッツにハッとネオンが我に返る。
しばし辺りを見渡して更に真っ赤になった。
「バッツ、何でここに」
「ご、ごめん。暇なら一緒に出かけようと思ったんだけど誰も居なかったからつい・・・ごめんなさい」
バッツは両手を上げて謝った。ネオンは何故かホッとした顔をした。どうしたのだろう。
「そうなの。じゃあ起きて支度するわ」
「あ、あのネオン?耳がどうとかって?」
思わず聞き返してしまったバッツにネオンはピタリと固まって少し考えた後、いきなりバッツの膝に乗っかりバッツの首に手を回した。
(え!!!!)
「耳は気持ち良いから触っちゃ嫌って言ったの」
ネオンは狼狽えるバッツの耳元でそっと囁いた。
(き、気持ちいー!?)
硬直するバッツからサッと離れるとネオンはバッツの顔を見ないまま部屋を出て行った。バッツはしばし硬直したまま、しばらくしてパタリと横に倒れた。
(あ、あれ?俺また何か失敗した?)
具体的に何をどうすれば良かったのかサッパリ分からない。
(きっとこれは本人に聞かない方がいいよね?と、なると)
バッツの頭の中で自分の知っている人物が何人か浮かび上がり一人に絞られた。
(今度エルディに聞いてみよう!)
決して正しくない助言相手を選択し、バッツは気をとりなおして身体を起こす。
失敗を引きずらない。バッツの長所であり短所でもある。
その後まるっきりいつも通りのバッツに、やや不満ながらもネオンはバッツと楽しい休日を過ごしたのであった。