プロローグ
私は幼少期に生まれ持った大量の魔力で周囲から『天才だ』と言われていた。
家族からも愛情をそそがれ幸せな人生を送っていた。
しかし、その幸せも長くは続かなかった。
焔の異能を受け継ぐ紅焔家に生まれた私、紅焔刹那は明日六歳の誕生日を迎える。
「刹那、お前も明日誕生日をむかえ、いよいよ適性検査だ。おまえには期待しているぞ。もちろんわが家の異能、焔にきまっておるがな。」
紅焔家当主、紅焔総悟はそういった。
「そんなの当たり得よあなた。」
母の桔梗はいった。
「せつ君頑張ってね。」
「お兄様頑張ってくださいね。」
姉の舞香、妹の加奈も応援してくれた。
「ありがとうございます、頑張ります。」
この瞬間までは、みんな笑いあい幸せな時間が続くとおもっていた。
ーー翌日ーー
「紅焔刹那さん、あなたは無能力者です」
能力検査をした職員はいい、私の頭の中は真っ白になった。その時の家族の驚愕と父の侮蔑の顔を私は忘れない。
その夜私は、父の書斎に呼び出され、そこには家族が集まっていた。
「お前を一族から追放する。」
幼かった私は、はじめ父が何を言っているのかわからなかった。
「父上言っている意味が分からないのですが・・・」
「父と呼ぶな!!もうお前は息子ではない、二度と紅焔家の名をなのるな!この家からさっさと出ていけ!!」
気が付くと私は走り出していた。
嘘だ、夢だ、そう思いたくて、現実を否定したくて私はひたすら走った。
「ハアハア..」
どのくらい走ったのだろうか、周りよ見るとそこは森の中だった。
もう限界だった。辛かった、寂しかった、泣き出したかった。
そして、私は地面に倒れこんだ。
ガサッ…
木々の間から物音がした。
物音のした方向を見ると、そこには...
「グルルルゥ...」
狼の魔獣フォレストウルフだった。
捕食者の目だった。疲れ果てた私には抵抗するだけの力はなかった。
ーーここで死ぬのかーー
「死にたくない...」
涙があふれてきた
「生きたい...」
フォレストウルフがとびかかってきた。
死を感じ、私は目を閉じた。
しかし、いつまでも痛みはおそってこなかった。
「大丈夫か?」
声を掛けられ、目を開けると一人の老人がいた。
「おぬしのような子供がどうしてこんな場所に一人で..」
「あの..私捨てられて...」
「そう..か。」
私はこれまでの経緯を話した。
老人が苦虫を嚙み潰したよう顔をした。
「実の息子にそのしうちか..最低だな。」
「あの..あなたは?」
「そうじゃったな、自己紹介をしておらなかったな。わしの名は神薙重蔵。」
「神薙さん...ですか。助けていただきありがとうございます。」
「おぬしこれからどうするんじゃ?」
「それは..」
私は黙るしかなかった。もう私には誰も頼れる人はいない。
「行く当てがないのなら、おぬしわしといっしょにこんか?」
「えっ...」
「おぬしには才能がある、わしならおぬしを強くしてやれる。おぬしは無能などではない、異能がないだけで差別など間違っておるよ。どうだ?わしの下で修業せんか?」
神薙さんは笑顔で私にそう言ってくれた。どこまでも温かく優しい顔だった。
私の目からは涙があふれてきた。先ほどまでとは違う、うれし涙だった。
「はい、神薙さん私を強くしてください。」
「うむ、ではまず私生活ではおじいちゃん、修行中は師匠と呼べ!」
「えっと..あの..爺上でいいでしょうか..」
少し恥ずかしくて頬が赤くなった。
「よいぞ、ではこれからよろしくな、せつ坊」
「はい、よろしくお願いします爺上」
私の顔は、自然と笑顔だった。
つたない文章ですがよろしくお願いします。忙しいので少し不定期更新になってしまうかもしれません






