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彼女と彼と、  作者: 結記
3/3

俺と姉

俺(盾の公爵継承者。彼女の弟)

俺の姉は狂っている。


その事に気づいたのは、いつだったか。

確か、あの人に出会った日だろう。



あの日、剣の公爵家の継承者と婚約をするため、顔合わせに出掛けた姉。

帰ってきたとき、とても嬉しそうな笑顔を浮かべていたのを覚えている。

そして、俺に『剣の公爵の継承者に恋をしたの』と密かに教えてくれた。


喜ぶべきこと。そう、思っていた。

貴族の結婚は、互いの利害による政略。その政略相手に恋をしたのだ。


でも、あるとき、俺も後継者として挨拶することになって、剣の公爵家に訪れた。


そこで、俺は真実を知った。

姉が愛していたのは、後継者では無かった。

後継者の兄で、他に婚約者を持つ男だった。

初めは、姉を騙しているのか!?と思ったがそれも違うようだった。

どうも、その彼は迷惑がっている……と言うよりも、恐怖を抱いているように見えた。


姉がいない機会を経て、彼に接触し、話を聞けば聞くほど、それは確信を帯びた。


俺は、姉にも話を聞き、姉の恋している相手は、他に婚約者がいると伝えた。が、なににもならなかった。


「?恋敵(ヒロイン)が出てくるのは、もっと先なのよ?」


恋敵(ヒロイン)が出てきても大丈夫なように、私、頑張ってるの!」


「早く、あの方と結婚したいわ」


姉は、妄想の中にいた。

いや、もう、狂っていた。


この話を直ぐに、彼に伝えた。


その時には、すでに婚約話は破断しており、姉にもその事実は伝えてあったため、もう剣の公爵家に近づけないはずだった。が、周囲の監視を掻い潜り、彼に接触していた。

姉が、剣の公爵家へ向かう度に、頭を下げる両親の姿は日に日に窶れていた。


ある日、両親は、姉を修道院に送ると言った。


言葉通り、姉は修道院に行き、彼は当初の予定通り婚約者と結婚し、騒動は収まったはずだった。




数年後、姉が彼の前に現れるまでは。


姉は彼を刺し、彼の妻が見ている前で、服を脱ごうとしたところを衛兵に連れていかれたらしい。


衛兵曰く、姉は「愛しい、愛しい旦那様。愛していますわ」と繰り返しいっていたそうだ。


その姉は、牢屋の中で隠し持っていた針で首を刺し、死んだ。




俺は、盾の公爵家を継ぎ、日々を暮らしている。

今もなお、姉がなぜ彼に執着し、揚げ句ありもしない妄想の中で生き、死んでいったのか、分からなかった。

俺:盾の公爵家長男で継承者。剣の公爵家の継承者と同い年。姉の狂喜にだんだん気付きだした。


姉:盾の公爵家の長女。剣の公爵家の継承者に嫁ぐ予定が、ある問題でなくなり、修道院に送られた。


彼:剣の公爵家の長男。継承者ではない。

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