⒊ 武視(9) 焼きを入れる
「ちょっ……危なっ、危ないって、ほんまにやめてくれぇぇええええええええぇぇぇぇ――――ッ!」
ブシュラ邸の庭園では、何やら栞奈の悲鳴が聞こえていた。
「アハハハッ、栞奈さんの反応面白過ぎだよ」
そんな栞奈を追い掛け回している人物が一人いた。
新武器:《Bungee sabre》を携え、それをぶんぶんと振り回す小学生ー『黒乃雌刹直』である。
「面白かないわ。なんで……なんで私がこんな目に合わなきゃならんのよぉぉおおおおおおおおおぉぉぉぉ――――ッ!」
栞奈は大声でこの不幸な現実に不満をぶちまけていた。
何故彼女はこんな目に遭っているのか、それは数分前のこと――
客室での会話の中で出てきた、ある一言が原因だった。
「生き延びる為の絶対的な力ー【目力】を開花させるのは、早いに越したことは無い。時に栞奈、最も効率的にその力を目覚めさせる方法は何だと思うか?」
「……こいつはもう、嫌な予感しかしないんだが…………」
「簡単な話だ。自分の身に何かしら危険が及んだ時、防衛反応が働いて力が目覚めやすくなる。それだけのことだ」
「悪い予感が的中したじゃねぇか。……い、嫌だぞ。これまで鉄を打ったり、刀の柄や鞘だったりを作っていただけのロクに運動もしていないこの私が、他の目魂主と同等に動ける訳が無いだろうが。
それにお前、言っていたじゃねぇか。私にいなくなられては困るとかなんとか。
ってことは、どうせ私が巻き込まれてしまったら助けてくれるって口なんだろう?だったら別に目力の開花なるものは、そう急かさなくったって良いではないか」
「……そいつはまた、清々しい程に図々しいな。それを言うならばこういうものは万が一にも、最悪な場面が訪れてしまった時のことを一番に考えた上で、それでも何か頼れる力が―――、目力が開花しておらずともどうにかなると言えるのか?」
「……うぐっ、お前は痛いところを突いてくるな。確かに私のことだから、結果的に知りもしない自分の目力に頼ってしまうかもしれない……というか確実に頼ってしまうな。
あー、うん………そうだな。そうに決まっている。そもそも上手くその場で力が開花するって確証は無いだろうし、予め自分の力の本質を知っておけば、色々と身を守る為の戦術を立てることが出来るのは確かなこと。でもなぁ…………」
「そこまで理解しているなら、何をそう躊躇う必要がある。ここにいる誰かと手合わせする分なら、死ぬ危険は無いだろう。
そんなに恐いなら、そこの刹直と手合わせをしたらどうだ?流石に子供相手なら、そこまで怯えはしないだろう?元々彼女には、新武器を使ったテスト戦闘をさせる予定だったことだし、丁度良い機会だ。これから二人まとめて指導してやろう」
「これからってお前なぁ、何を勝手に話進めているんだよ。確かに少し考えを改めはしたが、こんなの事故ったばかりの人にやらすことじゃねぇぞマジで!」
「文句を言いたくなる気持ちが分からなくも無いが、いつ目魂主が襲って来るかも分からないのが【ピヤー ドゥ ウイユ】の恐さだ。それでも現実味がないから分からないと言うのなら………やれっ、刹直!」
「おっけぇー!」
突如としてブシュラはその手に握られた新武器を刹直に向けて投げると、彼女はそれをキャッチし、栞奈のいる方へと鞘に収められた状態の短刀を大きく振り被った。
バンジーコードに繋がれた二振りの短刀の内、一方の掴んでいなかった短刀が鞭のように撓る動きで栞奈に迫り来る。
栞奈は思わずその場でしゃがみ込み、すれすれで回避した。
「……あ、あっぶねぇ~………」
そして栞奈は慌てて客室から退散するように、刹直は逃げた彼女を追い掛けて行き――、今に至る。
「なんて情けない声を上げているのだ、栞奈!本当の敵は待ってくれないぞ!」
「だぁぁ――ッ!こっちは病み上がりなんだぞ、コンチクショ――!」
「アハハハッ、待て待てぇ―――ッ!」
それから数分後――。
「止まれ、刹直!一度、休憩を入れよう。栞奈がすっかりバテてしまっているからな」
「はーい!」
刹直は元気よく返事を返すと、足を止めて、執拗に追い掛け回すのをやめる。
「ゼェ、ハァ、ゼェ、ハァ………」
対して栞奈は激しい息切れをしながら、地面の上で四つん這いになっていた。
彼女の人生の中でこれ程までに、子供の体力を恐ろしく感じたことはなかった。
「上々だ、刹直。《Bungee sabre》を良く使いこなしている。また一段と【影法視】のコントロールに磨きが掛かったようだな」
「アイ・シャドウ……?」
「刹直の使う影の目力の名前だ。《Bungee sabre》に続く私からのプレゼントさ」
「【影法視】………うんっ!何かそれ良いっ!響きが好きっ!」
「そうかい。喜んでくれたなら、名前を付けた甲斐があると言うものだ」
「【影法視】………えへへっ」
刹直は年相応に素直に喜ぶ様子を見せていた。
「それにしても、お嬢様。何故、刹直様専用の武器としてあのような扱いづらい武器をお作りに?」
ブシュラ御付きのメイドー『ジョジョ・ユ=ルナール』が唐突に屋敷の主人に一つ質問を投げ掛ける。
「簡単な話だ。自分たちが巻き込まれているゲームは、まさにこの現実時間で繰り広げられているもの。
その戦場において、必死に命を掴もうと誰もが無抵抗に命落とすことは無いだろう。
時に、ジョジョよ。仮に武器持ちの相手と相見える時、お前ならどう立ち回る?」
「そう……、ですね。武器の有無による優位性を断ち切る為、それこそ………相手が持っている武器にもよりますが、大抵は敵の手を狙って投石するなり手首を捻るなどして、武器を持てない状態にする――、と言ったところでしょうか」
「まぁ、大方予想していた通りの回答だな。では、そこから次の展開を考えてみたとして………相手の手から武器が離れた後、ジョジョはその始末をどうする?」
「それは、奪って利用し………そうかっ!」
何か答えを見つけた様子のジョジョ。
ブシュラは話を続けた。
「余程の力持ちでも無い限り、武器を壊して完全に無力化させるなどという選択は殆ど無いに等しいだろう。ならば反対に、今度はこちら側が敵の武器を持って相手に使わせないだけで無く、武器の有無による優位性に立とうとするのが見解であろう。だがそれは、誰しも扱い易い武器、に限った話だ」
「ええ。奪われたことで返って不利になっていては、武器を用意してきた筈の相手はあろうことか、勝機を逃し兼ねない状況に立たされる訳ですから」
「Exactement.だからこそあれは、たとえ相手の手に取られたとしても、刹直以外には扱うことが難しい不便な仕様にしている。
刹直の真似をして繋がれた小刀の内の一振りを相手に向かって投げようものなら、バンジーコードの伸縮性とネオジム磁石が発する強い磁力によって強引に差し迫ってくる刀身に対処し切れず、自分自身を刺してしまうことだろう」
「確かに。彼女の影の力があってこそ実用可能という面では、刹直様以外の者がまともに扱うことが出来ない武器として、上手く完結されている一点物の刃であるかと」
そうして長々と刹那の新武器について語っていた二人だが、そろそろ自分の存在にも気付いてくれと言わんばかりに口を開き始める人物が一人。
「……ぜぇはぁ、ぜぇはぁ………いやほんと、無いってこんなの。
なんかもう、こんな目に遭ってまで生きる意味があったのか?かつての体力がこんなにも妬ましいと思ったことは始めてだ………」
ブシュラはその言葉に反応して返事する。
「妬ましい……ねぇ。そうやって過去に縋るのが悪いとは言わないが、少なくとも文句を言えるだけの体力があるなら、それを身体を動かす運動エネルギーへと働き方を変えてみれば、少しは動けたりするのではないか?」
「……要は口ではなく身体を動かせって言いたいんだろ。………けど、ちょっと休ませてくれ………水分補給したい」
そして、メイドのジョジョは屋敷からコップ一杯のお水をすぐに持って来た。
「どうぞ、栞奈様」
「悪いな」
栞奈はコップを受け取ってゴクゴクッと勢いよく飲み干すと、少しは落ち着いた様子を見せ始めた。
「ふぅ、これでちったぁ落ち着けるってものだ。にしても、この水うまいな。もう一杯もらえないだろうか?」
空になったコップをジョジョの前に差し出した栞奈。
「承知致しました」
コップを受け取り、ジョジョは再び屋敷へと引き返した。
その間――、ブシュラが二人のダメ出しを始めた。
「では、先程のやり取りから駄目だった点を言わせてもらう。
まずは栞奈。体力が無いことを言い訳に、ひたすら逃げ続けているだけと言うのは、体力と同時に思考力がどんどん低下していくだけの、ただの無駄な動きにしか過ぎない。
ならばいっそ、目魂主になったことで視覚が向上し、モノが良く見えるになっただろうから、そこは敢えて退かず、向かい合って相手の動きを観察し、少しの動きで攻撃の軌道を見て躱していきながら、隙あらば窮地を脱してみるぐらいの勢いが無いとまずは始まらない。下手に死ぬだけだ。
体力があろうがなかろうが、闘い方は一つではない。今の自分の度量に見合った闘い方さえ掴めば、弱点をカバーすることは幾らでもやり様がある。
さてと……次に刹直だが、相手が逃げてばかりだからと言って、手を抜き過ぎだ。
これは実戦では無いから殺さない程度に追い詰めてやるとは言っても、本気で相手の目を奪いに掛かるぐらいの無駄の無い動きで立ち回ることを疎かにして良いという訳では無い。
いついかなる勝負においても、一切の手を緩めない。それが大事だ。常にそれを意識して動かなければ、一瞬にして狩られる立場が逆転してしまうことがあることを忘れるな」
「はーい!」
理解したのかしていないのか、とにかく元気よく返事をする刹直。
対して、栞奈は一言も返事を返さなかった。
「どうした、栞奈?」
(ブシュラの奴、指導してやろうと言ってはいたが、まさかここまで的確な言葉をぶつけてくるだなんて……。ちゃんと人のことを見て、そしてしっかりと考えた上で話している証拠だ。
そんなのって当たり前なことだけれど、それは決して簡単に出来ることでは無い。非現実的なことが起こりに起こって、あーだこーだ言っているだけの私に文句をつけることなく、そうしてくれる……
……まぁ、私のことを必要としているみたいだから、そのくらいのことをするのは当然のことぐらいに思っているのかもしれないけど………)
本当にそうだとしても文句ばかり言い続けている自分を見捨てず、真剣に私のことを考えてくれているブシュラの何てことない優しさを感じていた栞奈。
「……いや、結構人のことを見て、考えて的確な指示を出すなぁって思っただけ」
「当然だ。これでも中学の教師をしているからな。人にあれこれ教えられなければ、私は教師失格だ」
「おまっ、中学の教師ってほんとかよ!どうなの?今時の中学生ってブシュラより背の高い感じ?」
「高い感じだ。そんなことより、お水のおかわりを持って来たようだぞ」
丁度――、メイドのジョジョが屋敷から戻って来て、水のおかわりを栞奈に渡した。
「お待たせ致しました。どうぞ、お水です。ペットボトルを何本かお持ちしましたので、もう一度おかわりでしたらすぐにご用意出来ます」
「ありがとう。……でも、私はもう良いから、そこの小学生………えーっと、刹直ちゃんって言ったっけ?ひとまずあの子にも水を分け与えて上げなよ」
「でしたら――、刹直様。お水はいかがですか?」
お水を刹直に勧めたジョジョ。
「え~、お水だったらレモンジュースが良い!」
「それでしたら、もったいないですし、代わりに私が頂くとしましょう」
そう言って横からミネラルウォーターを掻っ攫っていくのは、ジョジョとは別の使用人ー『町田リンジー』である。
「あっ、リンジー!使用人としての仕事をロクにしないで、そんなことなんかしてメイドの恥だと理解してます?こんなのが私と同じ仕事をしている者だなんて思うと、なんだか自分にも気品が無いように思われそうで、不愉快なのですよ」
「別に人と重ねなくても人は人、自分は自分ではありませんか。それなのに一人、不愉快になっていては目の下に小じわが出来たりして、別の意味で気品が無くなりますよ」
「リンジー、お前がそんな態度を取るからではありませんか!」
二人のメイドのやり取りに笑いながら、刹那と栞奈は休憩すること五分。
再び彼女らは【ピヤー ドゥ ウイユ】で生き残る為の、本格的な特訓を開始することにした。
最初に動き出したのは刹直。
彼女は目魂を開眼。
視線を下に落とし自身の影を目にすると、瞬く間に影は立体感を得て、鞘に収まったままの《Bungee sabre》にその影を纏わり付かせる。
蛇が蜷局を巻くように、渦巻き状に影が纏わり付いた状態のそれを栞奈の前に振り上げた。
栞奈はブシュラに指摘された通りにバンジーコードの軌道をよく観察し、冷静にそれを躱す。
一瞬でも安堵したその瞬間――、刹直が影を纏わせていた意味を成す。
突如として鞘部分を包んでいた影を手型へと変形させ、形作られた親指はサーブルに仕掛けされた丸形ボタンを押し込む。
射出された一本の鞘。
それは栞奈に向かって勢いよく迫っていき、不意を突くように彼女の後頭部目掛けて衝突―――……
するかのように見えたが、そこは栞奈も先程色々言われて思ったことがあったのだろうか、彼女の中の闘志に火が付いたようで、鍛冶仕事で鍛えられた肉体のプライドにかけて、ド根性とばかり力任せにすんでのところでそれを躱す。
「ふぇ~、あっぶねぇ。伊達にそいつを設計して作った者として、鞘の飛んでくる軌道は頭に入っているってもんよ」
だが、一度の危機を脱した栞奈の背後では静かに己の影が怪しく伸びていて、それは立体と成りて一つの手の形を形作れば、彼女の後ろへと飛んでいった鞘を人知れず……いや、影知らず空中キャッチし、そのまま頭をかち割るような勢いで振り向いた栞奈の後頭部に向かってバチーンッと鞘を振り下ろす。
「ッて―――う゛ぇぅッ!」
予想だにしていなかった瞬発的なその一撃を背後からもろに喰らい、思わず栞奈の口から思っても見ないおっさん染みた鈍い声が出る。
軽い目眩を起こし、バランスを崩して地面の上に倒れそうになる栞奈。
刹直は栞奈の影に注目すると先程までの手の形はどろりと姿を変え、彼女は倒れると同時に自身の影によって拘束をされた。
「……嘘だろ………」
刀身が露わになった短刀を繋がれたバンジーコードと共に振り上げ、彼女の右腕を突き刺す。
「ぐぁあああああああああぁぁぁぁ―――ッ!」
傷口からドクドクと流れ出す血液。
体力の少なさも相まって、力が入らずゲッソリした様子を見せる栞奈の姿があった。
(……また、私は駄目なのか。私にも………私にも力があれば…………)
目の前で《Bungee sabre》を振り上げる黒乃雌刹直。
弱った獲物を仕留めに掛かる勢いで短刀の刃が下ろされる時、栞奈にある異変が訪れた。
(……これは………これが私の力…………あれを使えば…………)
眼球に宿る力を突然知った栞奈は、ついに自身の目魂を開眼。
工場の地図記号のような形をした瞳孔に翡翠色をした瞳が現れると、その目が見つめる方向に何やら不思議な空間が出現した。
決して大きくはないその異空間の中に、何やら栞奈は左手を突っ込み始める。
すると何か細長いものが中から取り出され、それを盾に攻撃を防いだ。
よく見ると、それはどっかのアニメで見たような刀であった。
「そこまでだ!」
栞奈が奇妙な目力を開花したことで、ブシュラが二人を制した。
「見事だ、栞奈。その力、何やら謎の異空間を生み出していたようだが、あれは一体……?」
「……それはだな、簡単に言えば、今いる場所と別の場所を繋ぐ亜空間のようなものだ。………ってか病み上がりにまたまた血を流して辛いって時にそんなことを聞くって……普通は自分の好奇心より先に人の心配をするものじゃないのかよ。……詳しく話を聞きたければ、先に休憩させろって…………」
「ふっ……確かにそうだな。ならば、リンジー。栞奈を修復しておけ!」
「承知致しました」
そう言ってリンジーは、倒れ込んだ栞奈の前に歩み出た。
「えっ?何を言って………」
どうしてそこであのイヌ耳メイドが出てくるのか訳も分からず、まごつく様子を見せる栞奈を余所にリンジーは目魂を開眼。
閉じ目から一雫の涙滴を流した形の瞳孔に水色の瞳が開かれると、そこから一滴の涙が流れ出し、右腕の傷口にそれが垂れると瞬く間に完治していった。
「傷口が一瞬で……それに不思議と身体中から力が漲るこの感じ………これも目力なのか?」
「嗚呼、リンジーが持つ目魂が流した涙にはあらゆる怪我や病気、更には精気や気力、心身共にたちまち回復させる力がある。時に――、【視視涙涙】なんて名付けてみるのはどうだろうか?」
「名付け……はどうでも良いとして、マジで能力は人それぞれなんだな。……で、だ。さっきからずっと気になって仕方ないんだが、ブシュラ―――、お前が私に対して向けるそのジト目。
もしや………、さっきの涙の力で体力回復したことだろうから、そろそろ話したって良いだろうって言っているんじゃねえだろうな?」
「何だ、分かっているじゃあないか。下手な休憩をするよりは、この力で万全の回復をした方が確実である筈だからな。私の好奇心を甘く見るな」
「何だそりゃあ……まぁ良いや。どうせ何を言っても、無駄なことになりそうだ。望み通り私の能力の説明の続きをしてやるよ。目魂を開眼後、見つめた方向に亜空間を生成。その中に手を入れることで、頭の中に浮かんだ物を何でも取り出すことが出来る能力。今回は鍛冶屋稀街から試作品の刀を取り出したまでのことだ」
「別の場所から物を取り出す能力、まるで【物視取出】だな」
「これで気が済んだか?……つーか、忘れてないからなブシュラ。
言ったよな。この島から出ようとするとあの目神によって殺されるとかなんとか。
ってことは、鍛冶屋稀街は本日を持って廃業。そして私は住む場所が無い放浪者だ。
こんなこと言うのもなんだが、いなくなられては困るって言うのなら……」
「一緒にこの屋敷で住めば良い。始めから私はそのつもりだったさ。それに鍛冶屋稀街は廃業と言ったが、人に売り渡す営利目的の面から降りるだけだ。これからは私たちだけの専属の刀鍛冶になれば良い。代わりに私が養ってやる」
「…えっと、ひとまずここで住まわせてくれるのは言ってくれたことには、大変嬉しく思っている。だがそれとは別に専属の刀鍛冶になれってどういうことだ?そもそも、ここには刀を製造するだけの環境が何一つ無いぞ」
「ならば、必要な道具は何だ?作業環境は?――その程度、私が持つお金で全て用意してやる」
「そりゃ、マジかよ!じゃあさ、あれとこれと………」
栞奈はびっくりしたように起き上がり、その言葉通り遠慮なく、これでもかと注文の嵐をブシュラに叩き付けていくのであった。
〈能力解説〉目力:【視視涙涙】
その目魂から流れ出る涙からは生物が負った傷や破損を瞬く間に癒やし、目魂主の治癒力さえも大きく超える早い再生力を与える異能
腐らずに保管しておくことで、その効果はいつまでも持続し、涙の鮮度が高ければ、少しの傷どころか、破損した箇所に数滴垂らした程度で見事な再生力を見せる。
流したい時に涙が流せるようタバスコを常時携帯しているなんてことは無く、元より涙が良く出るのはこの目魂特有の特徴であったりする。
〈能力解説〉目力:【物視取出】
一度見たものを頭に浮かべることで、いつでもどこでもそのものを自在に取り出すことの亜空間を目の前に現出することの出来る異能
ちなみに工場の地図記号のような形をした瞳孔は亜空間の孔を表している。
情報提供者:M.K.




