表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/158

⒉ 真目(3) 隠し事

「あんなに人懐(ひとなつ)っこかった子がそんな風に………」


 紫乃の会話が終わり、それを聞いていた悠人はそう(つぶや)いた。


「ってか、お前あの学校でぼっちだったのか。今までそんなこと、俺に相談もしてこなかったじゃんか。

 そんなんじゃあ、学校行ってもつまらないんじゃ………」


「心配しすぎだよ、兄さん。私なら大丈夫。良い先生もいることだし」


「そ、そうか?お前が大丈夫って言うのなら、良いけれど………でも、本当に辛い時は俺に話すんだぞ、良いな!」


「うんっ!兄さん!」


 万が一には話をしてくれると約束したところで、今度は彼女の会話の中で疑問に思ったことを話した。


「そういや………麻結(まゆ)ちゃんが言っていたっていう、『平和ボケした奴ら』ってどう言うことだ?」


「それは………」


 実は紫乃が言った会話には、悠人に()げていなかった続きがあった。


「――じゃあまた明日ね、紫乃ちゃん」


「うん、また明日」


 そう言って、立ち去ろうとする紫乃。


 だが、その歩みも田所麻結(たどころまゆ)が言ったこの一言で止まることとなる。


「《ピヤー ドゥ ウイユ》でもよろしくね」


「えっ?」


「そこまで言えば分かるでしょう。あいつらを平和ボケした奴らって言った訳が」


「まさか、麻結ちゃん………」


「いつまでもとぼけないでくれる、紫乃ちゃん?」


「兄さんには私のこと、言わないで!」


「えっ?あれっていつでもリストから確認出来るんじゃ………――ああ、理解したわ。要するに今の時点では、上手いこと隠せているって訳ね。そうねぇ、どうしようかな~」


「兄さんには迷惑(めいわく)をかけたくないの。だから駄目(だめ)と言ったら、親友でも殺さ(ヤら)なくちゃいけなくなる。

 出来ればそんなこと、したくない。だから…………」


「じゃあ、そうしようかな」


「なんでそんなこと………」


「決まっているじゃない。親友として一日でも早く、あのふざけたゲームから解放(かいほう)して上げようと、紫乃ちゃんを殺して(ヤって)やるのが一番の手段だと私は思うの」


「麻結ちゃんと手を組むことは出来ないの?」


「互いが救われ続けていけたところで、《ピヤー ドゥ ウイユ》はいつ終わるかも分からない地獄のゲーム。そんな困難(こんなん)(かか)えながら生き続けたところで、なんの解決(かいけつ)にもなりやしない」


「それでもねばり続けていれば、いつかは………」


「確信のないことを(ねが)っていたところで、それは正しい救いにはならない。だからこそ紫乃ちゃんを殺して(ヤって)あげるのが親友としての(つと)めよ」


「そんなのって………」


 キーンコーンカーンコーン


 ここで昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴り(ひび)いた。


「話の内容はあれだけど、久しぶりにお(しゃべ)り出来て嬉しかったわ。またね、紫乃ちゃん」


 こうして二人の昼休みは終わり、それが今日の出来事の全てであった。


「……おい、大丈夫か紫乃。何をボーっとしているんだ」


 彼のその言葉で、紫乃は慌てて(われ)に返った。


「ご、ごめん兄さん。それでなんの話だったっけ?」


「ほんと大丈夫か、お前。だから平和ボケした奴らってなんのことかって話だよ」


「あ~、それはね………私にも分かんないや」


「分からないなら、始めからそう言えば良いだろう」


「そ、そうだよね。あははは………」


 紫乃は本当のことを話さず、そのまま時間だけが過ぎていくのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ