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⒎ 目茶(7) 解く

「もう――あんなところに入るのは、二度とごめんだわ」


 リンジーと別れてから数十分が経った後、ようやく未予は全身石化状態の魔夜がいる場所に近いマンホールから顔を出していた。


 未予は下水道を抜けて地上に足を付けると、彼女が最初に(おこな)ったのは勿論(もちろん)――、魔夜の石化を解くことだった。


 小瓶の中の液体を何滴か垂らすと、見る見るうちに魔夜の石化が解かれていった。


「って、あれ?さっき目崎さんに会ったと思ったのだけれど…ッ、イダァアアアアアアァァァ――――ッ!」


 思い出したかのように、痛ましい声を上げる魔夜。


「気が付いたかしら?メガネがあの男と見間違えた奴は別の目魂主(プレイヤー)であって、そいつに片目を抜き取られたのよ」


「…ちょっ、ちょっと待って。何がなんだか。一先(ひとま)ず痛みが引いてから………話を聞いてもよろしいでしょうか?」


「そうね。メガネが落ち着いてからで良いわ」


 そうして少し時間を置き――、先程は痛みで息が荒かった魔夜だったが、少しは痛みが和らいで来たのか、呼吸が安定してきたところで未予はこれまで起きたことを簡単に話した。


「そんなことが………チッ、……っつーか未予さんよぉ。私の貴重な命を奪われた代償は取ってくれるんだろうなぁ」


 舌打ちを合図に現れたメガネのもう一つの人格。


 ちと厄介そうなので、未予は適当に話を進めた。


「メガネが文句を言う気持ちは良く分かるわ。けど、これはそうならざる運命だったのよ。

 あんな厄介な目魂主(プレイヤー)が現れたのだから、私がほんの数秒あの場を離れなければ、最悪二人ともやられていたわ。それに今はまだやるべきことがあるじゃない」


「……目魂(めだま)の回収」


 どうやら未予の言っていたことに少しは納得がいったのか、魔夜はいつもの人格に戻っていた。


(存外、その面倒臭そうな人格も聞き分けが良いものね………可愛いじゃない)


 相変わらずの魔夜の豹変(ひょうへん)っぷりに関心していた未予は、彼女が普段通りの状態に戻ったことを確認してから本題に入る。


「それについての問題なんだけど、ここはあの男を探してみるというのはどうかしら?」


「それってどういう……」


「私なりに考えてみたのだけれど、(いま)だあの男が死んだという連絡が来ていない以上、彼はまだ生きている可能性があるわ。それほど長期戦でもない限り、目魂(めだま)の一つは回収した筈よ」


 今でも片目の件は引き()っているが一先(ひとま)ずは未予の言われるがまま、一緒に悠人を探しに行くことにした魔夜であった。

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