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⒎ 目茶(3) 外出許可

 ブシュラ邸の庭園から季世恵が逃げ出した後――、一同は取り()えず屋敷の中へと戻っていた。


「お嬢様よろしかったのですか?あのような(やから)(のが)してしまって」


 玄関先でブシュラの靴を綺麗に揃えながら、リビングへと移動しようとする家主に恐れながらと口を開いたメイド(使用人)のリンジー。


 彼女はどうしても主人のお屋敷に無断で足を踏み入れた奴の存在が気に食わないといった様子で、しつこく奴の後を追って一刻も早く始末したいと言わんばかりにそんな話を切り出したのだ。


(かま)わん。特別強い能力者という訳では無かったのだ。ここで逃したところで、あの場面で一手かますぐらいの度胸も無く、清々しいまでに颯爽と逃げに徹するような奴が一人……。

 さしたる脅威(きょうい)になる相手でも無かろう」


 ブシュラは足を止めることなく、先に進みながら返事を返す。


「ですが、お嬢様。あの者に私や刹直(セツナ)様の能力を見られてしまった以上――、生かしておくのは危険かと」


 リンジーは慌てて主人の後ろについて行きながら、納得がいかないと言わんばかりに返事を返す。


「ジョジョはそれに追い掛けられていたと言っていたな。その際――、能力は使用したのか?」


 後から屋敷の中へと入って来た刹直(セツナ)とメイドのジョジョ。


 刹直(セツナ)が投げ捨てた(くつ)を揃えていた彼女は唐突(とうとつ)に主人からそんな話を()られ、一瞬(なん)のことかと思いながらもすぐに理解し、その場で返事を返した。


「はい。ですがその者に変身する瞬間は見られていなかったので、おそらく大丈夫かと」


「そうか。だが能力を使ったとなれば、用心の為に始末しておくのも悪くない。

 よかろう。今の内に潰しておきたいと言うのなら、リンジー。お前の好きにしろ」


「ありがとうございます。申し訳ありませんがジョジョ、負担を掛けますが後の家事は全て任せました」


 ブシュラに礼を言ったタイミングで後ろを振り返ると、同職のジョジョに頼みごとをしたのちメイド(使用人)のリンジーは屋敷を出て行くのであった。

ちなみに、この二人のメイド(御付き)には主な役割分担が大きく分かれており、ジョジョは屋敷の身の回りの家事全般、リンジーは主人の護衛全般を任されている使用人になります。

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