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⒋ 分目(4) 豹変

 現代における厳しい環境下の元――、髪へのダメージはごく自然のこと。


 高校生になるぐらいの年が経つ頃には、平均してそれは目に見えるくらいの変化が起きるものであり――、環境の影響で変色した茶髪(ちゃぱつ)の髪に、相変わらずデザイン性が(とぼ)しいNEMTD(ネムテッド)株式会社製のカチューシャを頭に付けた眼鏡少女ー『裏目魔夜(うらめまや)』は別の意味でかつてない状況に(ひん)していた。


「取り()えず、貴女のことはこれから『メガネ』と呼ばせてもらっても良いかしら?」


「な、何故(なぜ)でしょうか?」


「どうにも私は人の名前を覚えるのが、あまり得意では無いものでね」


(な、なるほど。目崎さんがこの男呼ばわりされていた理由が、(なん)となく理解出来たかも……)


 魔夜はそう思いながら、ここは苦笑いをして流れるようにその場を受け流していった。


「それで、私たちは何処(どこ)を目指しているのでしょうか?」


「すぐに分かるわ」


 そうして二人が着いた場所はそこかしこに自動車が廃棄(はいき)されたスクラップ場だった。


「これはまた、如何(いか)にもピヤー ドゥ ウイユが行われそうなくらい人気(ひとけ)のない場所ですね。おっと、そう言っている間に誰か現れましたね」


「んだオメェら!こんなところにいるってこたぁ、目魂主(めだまぬし)(たぐ)いか?」


 何やら虚勢(きょせい)を張って出て来たのは、そばかすが目立つ一人の少女であった。


 相変わらずオシャレの欠片(かけら)もないNEMTD(ネムテッド)PC(ピーシー)を着たその少女の後ろには、更に別の二人の少女が姿を見せる。


「ちょっと、苴枝(さえ)さん。また何か変なものでも見つけたんですか?」


「え~なんすか、この可愛い子達は。私、嫉妬しちゃいます」


 三人の登場は未予が前以(まえもっ)て【未来視(ビジョン)】の能力で知っていたことだが、思わずこんなことを口にする。


「なんとも個性的な三人ね」


「同感です」


 これには魔夜も同様の反応をした。


「それじゃあ私は手を出さない訳だけど、あっちの頭数(あたまかず)が上で本当に()れるかしら?」


「大丈夫です。私の能力を持ってすれば、何人いようとたやすいことです」


「言ってくれるじゃない」


「ですがそれだけ危険な能力ですので、失礼ですが保呂草さん。私の視野から離れていて下さい」


「……そう。なら後ろで見物しているわ」


 そう言って未予が後ろへ下がると、どうにもそれがそばかすの少女(苴枝と呼ばれた人物)の怒りを買ってしまったようで………


「おいおい、そこのメガネよぉ。テメェ、良い度胸(どきょう)しているじゃねぇか。

 どうも能力に自信があるみてぇだけど、こちとら命を()ってこのゲームに(いど)んでいる以上、一人相手に死んじまうほどやわじゃねぇよ」


「……良いねぇ、その生きの良さ。消し甲斐(がい)がある()()()()()()!」


 直後――、魔夜の()調()豹変(ひょうへん)するとさっきまでの物腰が(やわ)らかい態度から一変し、その本性を(さら)け出した。


(へぇ、どうやらあれがメガネの本当の顔のようね。あの男がこれを知ったら、一体どんな反応するのかしら?ふふっ、面白いことになりそうじゃない)


 突如豹変した魔夜の姿を見ても一切ブレないどころか、面白がる未予の姿がそこにはあった。

挿絵(By みてみん)

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