⒊ 視忍(7) 忍び寄る脅威
「……あんな奴、相手にしていられるか」
これは斬月の前に姿を曝け出した双髪少女が追い詰められていた時のこと。
短髪少女は仲間を裏切り、自分だけでも助かろうとなるべく足音を立てずにこの場から逃げ出していった。
二人の姿が見えなくなると足を止めた彼女は辺りを見回し、誰もいないことを確認すると、目魂を閉眼し能力を解除した。
「ハァ、ハァ、ハァ…………」
彼女の力は姿こそ見えないが、音をかき消すことは出来ない。誰かに勘付かれないよう、能力発動中は息をするのも一苦労である。
「ハァ………ふぅ」
一旦落ち着いた頃だろうか、悠人と未予がどこかへと走り去っていくところをふと目にした彼女は、彼の顔を見るなり何かを思い出す。
「そういやあの男、確かあいつも目魂主だったな」
悠人がこうも顔を知られているのも無理はない。
何せ彼はただ一人の男の目魂主である上に、どうしても目立ってしまう白髪を前に《目魂主リスト》では自然と目立つ存在にあるのだろう。
彼女のその様子からして、どうやら斬月に代わる次なるターゲットを悠人に変更したようだ。
「次こそは――」
彼女は能力を発動させて再びその姿を晦ますと、なるべく足音を立てずに彼らの後を追うのであった。




