脅迫
山逆戻り DAY3
朝、途中で八重ちゃんと見張りを変わり起きる
「おはよう」
「おはようございますアルさん」
「おはようねぇちゃん、にいちゃん」
「おはよう!」
「・・・おはようございます」
朝ごはんを食べる
また黙々と登る、予定では今日山頂を通り過ぎ降る予定だ
もう聞くことはほとんどない、八重ちゃんや子供たちと世間話をしながら進んでいく
そして・・・午後には山頂へ
そこでお昼ご飯を食べる
「あとは降りるだけですね」
「意外と早く進めてそうだね」
「そうですね」
八重ちゃんそっけない、まぁいいけど
少し休んだらまた進む
しばらくしてルリちゃんが近づいてくる
「・・・アルさん話があるの」
「えっ崖から落とすの?」
「違う!!」
冗談、冗談あはは
「・・・私ずっと考えてた、アルさんがいい人か悪い人か。いい人かどうかはわからない。でも昨日私たちのことを心配して言ってくれた。そんな人が悪い人とは思えない」
「それが君の答えなの?」
ちょっと答えを出すのが早すぎない?
「・・・うん!」
それは確信に満ちた表情だった
まぁいいか
「それで?」
「・・・私は外の世界を知らない」
いや、俺もだけど
「・・・私は弱い」
うん、俺も
「だから・・・私強くなりたい、でもヤエねぇちゃんは危ないからって教えてくれない。・・・だから私に教えてほしいの、・・・強くなり方を」
「えっ!?俺に」
「はい、私の師匠になってください」
「いやいや、俺そんなたいそうな人間じゃないよ」
「・・・でもアルさんは盗賊30人を倒したすごい人」
いやいやそうかもしれないけど
なに教えればいいんだろ
それに・・・
「あと2日で教えられることなんてないしなぁ」
「・・・・・・・・・・・」
いやぁそんな悲しそうな顔しないでよ
「・・・じゃあもっといて」
「・・・私たちともっと一緒にいてよ、アルにいちゃん」
いやいやそんなこと言われても、俺も日本への帰りかたを探さないと
てか、いつの間にかルリちゃんもにいちゃん呼びになったな、親密度が上がったみたいだ
でもさっきっから八重ちゃんがめっちゃ細目で後ろをにらんでんだけど、怖いんだけど
え、俺何かしました?会話の内容は聞かれてないと思うけど、今日の朝からのルリちゃんの様子が変なことから怪しんでいるのかも・・・誤解だ、脅してないよ!
「いやぁー俺にも予定が、それに俺にメリットもないし」
うんやっぱり断ろう
「・・・じゃあお金、今はないけど、これから稼いでアル師匠に渡すから」
わぉ!もう師匠呼ばわりされちゃったよ、にいちゃんからの進化が早いよ
「俺はお金は別に今必要としてないんだよね、というか子供からお金取るほど落ちぶれてないよ」
「・・・師匠の役に立つ、私強くなる、師匠の目的も手伝うから」
「いやいや大丈夫!もう足りてます」
さすがに子供に手伝ってもらう気はない
「・・・どうしてもだめ」
「だめ」
そんなうるうるした目で見てもだめ
俺は負けないぞ
「・・・じゃあ体で払う」
「ブフォ、ゴホゴホ」
ファッツ?
「どこで覚えたのそんな言葉!?」
「・・・このまえねぇちゃんが言ってた」
あぁ言ってたね、てかまねしちゃだめ
「意味分かっていってんのか?まったく」
「・・・わかってる、大丈夫今は小さいけど、もう少ししたら大きくなる・・・はず」
「いやいやそういう問題じゃあ」
「・・・うふん」
いやいやなんだその無機質は”うふん”はだれも惹かれないよ
「・・・だめだ」
「・・・じゃあ師匠になってくれないなら、ここで師匠に抱きつくから」
???
「なんだそれ?どうなるんだ?」
「・・・おねぇちゃんの怒りをかう」
なぬっ、今度は脅しか!!
たしかにさっきから八重ちゃんのにらみ方が鋭くなって怖い
眼力やばい、俺なにもしてないからね
てかこの子昨日の今日でそこまで考えて・・・恐ろしい子
「・・・いいの?断ってもいいし、逃げてもいいけど、まだ手は考えてある、これ以上ひどくなる前に了承することを勧める」
なぁーにぃ、なんて子だ、これ以上があんのか!?
まてまて考えろ・・・
えーっと
ルリちゃんが手を広げて近づいてきた
「・・・おにぃー・・・」
八重ちゃんの金棒を持つ手に力が入る
まずいまずいまずい
「わかった!!とりあえず2日間様子を見よう、それでルリちゃんが強くなったら弟子にしよう」
降参だ、まいった。ルリちゃんのほうが上手だった
ルリちゃんの覚悟が上回った
俺の負けだ・・・
八重ちゃん勘違いしないでね、俺が脅されてたんだよ
「・・・よしっ」
めっちゃガッツポーズしてるよ
「・・・じゃあ私の体で払うから」
「ブフォッ、ゴホゴホ、いらん!!」
今のは冗談だよな!
「・・・クスクス」
あぁこの子の笑顔はじめてみたなぁ