教えちゃダメルリちゃん
「そうだ!なんでステータスが5年前のなの?」
やばいやばい、ネガティブモード入ってた、向こうもなんか気まずそうになってるじゃん
まぁスキルはそこそこ役立つし、ここはステータスは目をつぶろう
「あ、はい。それはお金がないからです。王国の兵が攻め入られたときにゴールドは大抵持っていかれたか、焼けてしまいました。金目のものがあってもゴールドには換金できませんでしたし」
でもたかが20円でしょ、それくらい・・・まさかレートが違うのか?
「ちなみにいくらくらいかかるの?」
「それは一律20万ゴールドです、アルさんもそうですよね」
「ブッ」
あかん、吹き出してしまった
ステータス見るのに20万だとー!
「あぁ、そうだけど20万くらいなら何とかなるかなーと思って」
20円ですけど
「もちろん20万くらいならありましたが、ステータスを確認するくらいなら、緊急事態にスキルを使用したほうが有意義かと。まぁそのお金もほとんど森のモンスターからの自衛に使ってしまいましたが」
「じゃあステータスの確認は5年前はいつしてたの?」
「まぁ通常は誕生日です、1年間でどのくらい成長したか見るのもかねて。私の家は村でも裕福だったのでそうしていましたが、お金のない家なんかは2年に1回とかみないなんてところもありました。この子たちも小さいときにあんな事件に巻き込まれたものですから、自分のステータスを見たことがない子もいます。なのでスキルも知りません」
「そうなんだ、じゃあ次のレベルアップの経験値はいくらくらいなの」
「それこそ見たことなんてないですが、100万ゴールドだそうです」
たけぇー、高すぎでしょ、だれも見ないよ
この様子じゃあ質問とか詳細はけた違いの金額だろうな
こういうところは俺はお得なんだな
そういえば・・・
「他人のステータスって見れたりしないの?お金払えばさ」
まぁ無理だと思うけど
「できますよ」
できるんかい
「じゃあ他人に見てもらって教えてもらうのもありなんだね」
「出来ますが、普通しません。お金が10倍かかるからです。他人のステータス見るのに100万ゴールド払うぐらいならその人に10万ゴールド渡します」
確かにね、ちなみに俺の場合いくかかるんだろう
試してみよう
俺は小声で唱えた
(八重ちゃんのステータス表示)
『ステータス表示に2000円かかりますがよろしいですか?』
10倍だった、けど2000円ならどうってことないな
(払う)
氏名:百目木 八重
性別:女性
年齢:17歳
種族:鬼
HP:70/70
MP:23/23
力:105
防:70
速:51
幸:8
スキル:重力(2段階 Lv8) ※5万ゴールド/10秒
2段階:方向変更 ※10万ゴールド/10秒
特殊スキル:鬼化
力が俺の6倍以上・・・
俺のステータスくそじゃん
しかもスキル棍棒じゃなかったんだ、"重力"すごそうだけど燃費悪いな
10秒に5万とか、つかえねぇー
方向変更?上にしたら浮ける的な?
でも10秒でプラス10万は払わないなぁー
あと特殊スキルか、鬼化?すでに鬼なのに?なんだろうすごいのかな
まぁいいや
でも他人のスキルを見れることはわかったな
「どうされました?」
「なんでもないよ、ありがとう参考になったよ」
「いえ、他に聞きたいことはありますか?」
「じゃあ・・・・」
このあともいろんなことを聞いた
天の声でも聞くことはできたが、お金がかかるし、答えられないこともある
なにより一般的目線での意見が欲しかった
おかげでいろんなことが分かった
今日は途中で現れるゾンビとたまに出てくるゴブリンを討伐して1日が終わった
夜は交互に寝ることにした
途中まで俺が見張りをし、そこから八重ちゃんが見張りをする
おかげで何事もなく1日を終えることができた
山逆戻り DAY2
2日目もずっと山登り、さすがに子供たちも疲れたようで、八重ちゃんに甘えている
大変だな八重ちゃんも
時々気になったことを聞いてその日も終わった
夜・・・・
八重ちゃんは寝ている
俺はゾンビの見張りをするが、今日は少ないな
焚火がパチパチと音を立てる
「・・・あの」
おぉびっくりした、いきなり声かけるから
「ルリちゃんか、どうしたの?寝れないの?」
ルリちゃんは少し黙って
「・・・話がある」
「・・・・・・・・・・・・」
—1分経過
「・・・・・・・・・・・・」
—5分経過
「・・・・・・・・・・・・」
—10分経過
「・・・・・・・・・・・・」
まだ!?
えっ話はっ
俺から聞いたほうがいいの
でもなんかもう少しで話しそう
どうしよう
「・・・アルさんは悪い人・・・ですか?」
「悪い人?それはどういう意味で?」
話したと思ったらそんな抽象的な・・・
「・・・私たちを騙してる・・・角を売るの?」
えっそんな悪人に見える?
まぁほかの子供たちとだいぶなついてたのに、この子だけ町を出てからよそよそしくなったからな
「ルリちゃんは何歳?」
「11歳・・・なんで?」
まだ子供、小5ぐらいか
まぁしょうがない、その質問に意味がないことをこの子は知らない
まだ純粋なこどもなんだ
「俺は、良いひとだよ。君たちの角は狙ってないよ!」
俺は愛想よく言う
「・・・本当?」
「もちろん本当だよ!」
「・・・でも盗賊の人があなたは人を騙してるって」
「それこそ君を騙してるんだよ、相手は盗賊でしょ?どっちのほうが信憑性がる?」
「・・・確かに」
「・・・よかった、盗賊の人がアルさんは悪者で騙してるから、崖から落とせって言われた。・・・でも私にはアルさんはそう見えないから。・・・やっぱりアルさんはいい人なんだ」
あぁそれ言っちゃうか、それは言っちゃダメでしょ
そうあの時、盗賊とルリちゃんの会話を裏で聞いていたのは俺だ
もちろんそれからルリちゃんの態度が変わったのも気づいていたし
崖に誘われたら落ちたふりして、そこからお別れするつもりだった
だって子ずれの女の子連れてこれから日本に帰るための冒険なんてできないでしょ
ここはあっさりと別れるのが互いにベストでしょ
向こうも俺のこと信用してないし、無理に信用されることもない
なにより知りたかった情報は手に入った
あとは約束通り山を越えきる直前まで連れて行って崖でさらばすれば問題なし
ちなみに落とされたら
50円玉に村で手に入れたひもをつけて、木にでも縛りつけといて登ればいいやと思っていた
なんで、俺がそんないいタイミングで盗賊との会話を聞いていたかって?
んなもん不幸の先回りですよ
だってこう調子がいい時に必ず悪いこと起こるからね
あるとしたら捕まえてた盗賊がなにかするとふんだ、そして子供に何か吹き込むんではないか
とおもって朝様子を見に行ったらビンゴですよ
そこでちょうどいい別れ方思いついたのに、台無しだ
だが、この子には少し人を疑うことをわからせなければいけないな
「うそだよ、俺は悪い人さ、君たちの角を寝てる間に奪いとる予定だったんだ」
「・・・えっ」
「いやぁ、君が正直者の馬鹿でよかった、おかげで崖から落とされることを先に知ることができた」
「・・・だってさっきは・・・」
「もちろん、きみから情報を引き出すための嘘にきまってるだろ」
「いやぁ最後の日に君たちが安心しきったところで奪い取るはずだったんだが、まさか君に疑われていたとは、これは殺さないとな」
「大丈夫、八重ちゃんたちにはいきなりゾンビが襲ってきて助けられなかったってことにするから」
「・・・まって」
「おっと叫んだら、みんなが起きる前に全員俺のスキルで殺すよ」
「ッ・・・・そんなひどい」
「だって俺は悪者だからね。自分が悪者かいい人かなんて質問、悪者って答えるひといるわけないだろ」
ルリちゃんが涙目になってきた、少し心が痛んできた
「君たちはまだ子供だ、しかもほとんど外の世界を知らない。外の世界は嘘でいっぱいだ。いい人なんてほとんどいないんだよ。君たち子供たちは俺を信用しているが、普通はしない。八重ちゃんぐらい俺を疑わないと」
「おねぇちゃんも・・・騙されてるって」
「いやいや見ればわかるでしょ、めっちゃ疑ってるでしょ、俺に一定距離には近づかないし、俺の質問には答えるけど、不必要な会話は一切してないでしょ」
「・・・おねぇちゃんはいつもあれくらいそっけない」
・・・八重ちゃんもう少し子供にやさしくしなよ
ルリちゃんに言われてるよ
「ふぅ、君たちはこれから外の世界で暮らすんだ、もう少し真実を自分の目で見極めないと生きていけないよ。君の不用意な一言が、みんなを不幸にするかもしれないことを知るべきだ」
「・・・だって」
「厳しいことを言うようだけど、君たちは甘い。八重ちゃんですらね。まぁ君を殺すのは嘘だけど、このままだと、どのみち殺されるよ。そのうちにね、その時に君はまただってしょうがないじゃないかっていうの?子供だからしょうがない、知らなかったんだしょうがない。そうやって言っている間はとても生きてはいけないね」
「・・・・うぅ、グスッ」
やばぁーい、めっちゃ良心が痛む
めっちゃ泣いてるやん、どうしよう
「俺も、昔似たようなことがあったんだ。でもだって、なんていってもだれも振り向いてくれなかったんだ。見極めなきゃ、自分の目で、何が正しくて、何が悪いのか。俺がいい人なのか、悪い人なのか、ルリちゃんの目で見極めなきゃいけないんだ」
「・・・うんっ グスッ」
「ルリちゃんは素直で純粋だ、悪いことじゃない。でもそれだけじゃあ生きていけないんだ。君が、八重ちゃんや友達を大切だと、守りたいと思うなら、だれかに助けられたままじゃダメだ。君が、強くならなきゃ。君にできなくて八重ちゃんにできることがあるように、君にしかできなくて八重ちゃんにできないこともある」
「・・・うん」
「俺がいるのはあと3日、それまでに俺がいい人か悪い人か自分で見極めるんだ、いいね」
「・・・うん」
「まだ先は長い、今日は寝て明日に備えるんだ」
「・・・わかった」
それからルリちゃんはしばらく鼻をすすっていたがしばらくして眠ったようだ
でもいい薬にはなっただろう
あの子はきっと強くなる
そんな気がした