不穏な出発
いつも読んでいただきありがとうございます
思っていたより多くの方に読んでいただいてて感動しています
いかんせん初めての投稿なので至らないところや、変なところあると思います
ごめんなさい
よかったら感想いただけたら、不満でもいいので参考になります。よろしくお願いします。
もし評価いただけたら今後の励みになるのでよろしくお願いします。
これからも1日1話で更新できるように頑張ります!!
結局山越えは明日の朝に出発になった
準備もあったし、もう暗くなってきたから夜動くのは危ない
子供たちは泣く子もいたが、しょうがない
もう、ここにはいられない
しかしあのアルという男はどういう男なのだろうか・・・
ご飯を用意したら泣いて喜んでいたし
子供たちには危ないから近づくなといったのに
気づいたら仲良くなって遊んでいる・・・・
私と遊んでもそんなに笑わないのに・・・・
布団も用意したら泣いていた
1ヶ月ぶりとか言っていたが、どんだけ山にいたんだ修行?
ちなみに夜は一応覚悟していた
もしかしたら部屋に来て、求めてくるかもしれない
しょうがない、来たらしょうがない
ドキドキする、なかなか寝れない
結局来なかった
というか寝れなかった
「おはよー、いやー久しぶりに安心して寝れたよー」
のんきにいって、こっちは一睡もしてないのに
来ないなら、来ないって言ってよ
まぁ来るとも言われてないけど
「おはようございます、アル様。朝ごはんは用意できてます。」
「八重ちゃん、ちょっと固くない?呼び捨てでいいよ」
なぜだろう子供たちより距離を感じる
子供たちが1メートルなら5キロメートルくらいありそうだ
「それではアルさんとお呼びします。いつ頃出ますか?」
みんな騙されているが、私は騙されない
そうやって心を許したところで人は裏切るんだ・・・きっと
「ま、まぁいいか。いいならご飯食べたら行こうか?俺的にはまだこの生活してたいんだけどね」
アルさんとかアル中の人の呼び方みたいでやだな
「にいちゃん、昨日の話して!」「私も聞きたーい」「おいヤスケだけずるいぞ俺にも聞かせて」
「・・・・・・・・・」「ちょっとみんなで行ったらアル兄が迷惑でしょ」「ニナはすぐそうやって偉ぶりやがって」
ギャーギャーギャー
騒がしいなっ
「だめだあれは寝るときに聞くもんだ、今日の夜な」
「えー今聞きたい!ふすまの中はどうなってたの」「決まってんだろ鶴がお金盗んでたんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・」「鶴の恩返しっていってたでしょ」「それじゃああだで返してるよ」
「「「「あははははは」」」」
バリンッ
キャー八重ちゃん茶碗を握り潰したー
ギロッ
「食事中は静かに!」
子供たちは八重の怒りを感じたのかおとなしくご飯を食べる
ちなみに子供たちとはだいぶ仲良くなった
ヤスケがだいぶ俺に親密になってくれたのもあったが、ふざけてたり、寝るときに昔話したらだいぶ気に入ってもらえたようだ
ちなみに子供たちは女の子がニナ、ルリ、サクラ
男の子がヤスケ、タケル、キョウタ、ツバサの計7人
というかご飯がごはんしかないんだけど、あと漬物のみ
これで足りるの?修行?
まぁだいぶ自給自足の生活してたっぽいからしょうがないか
ご飯も食べ終え、最後の準備に
子供たちも、八重ちゃんも寂しそうだけど本当にいいのかな
よく事情知らないけど
そして全員集まる
「よしっ、行くか」
「はい」
「「「「うん」」」」
「ていうかどこに向かうの?」
「・・・・・・・・・・・・」
「とりあえず山さえ越えられれば」
もちろんあてなどない。町の外など出たことがない
どこかの田舎の村に隠れ住むしかない
「まぁいいけど」
でももうちょっといたかったなー
久しぶりの風呂に、久しぶりのまともなご飯、久しぶりの人との会話
あぁ、また山に逆戻りかー
これから向かう先は俺が下りてきた山とは反対方向の山
理由を聞いたらそっちのほうが標高が高く、越えるのに時間がかかる
反対の方は標高もそこそこで、山道もあるため歩きやすいとのこと
ただし大人でも山越えに通常3日、俺たち子供連れだと5日くらいかかる想定である
まぁ30日かかったんだ、今更5日増えたところでどうとうこともなくもない
てか山超えたところで俺も行くあてないけどね
山のふもとまできた、ここから山生活が再び始まる
いざ、再び山へ―――――
—――2時間前
鬼灯村の寺の中
朝ごはんを食べる30分前の出来事
「くそっ、なんなんだあいつはっ、いてっ」
あの鬼族の女も絶対に許さねぇ
頭が吹き飛ぶかと思ったぜ
手足を拘束され、ほとんど動けない
30人いた仲間も拘束して別々の場所に隔離したみたいだな
なんとか脱走して仕返ししてやる
鬼族は全部で8人
合わせて3億2000万ゴールド
一生遊んで暮らせる
見逃すわけにはいかない
ガタッ
「・・・・・ごはん」
ガキがきた
「なぁおい、この縄ほどいてくれよ、もうなにもしねぇから」
「・・・それは」
「ルリ!耳を貸すな、八重ねぇちゃんから言われてるだろ」
「・・・ごめん」
タケルに怒られた
ちっ、くそダメか
俺の前におにぎりが6個並べられる
多くないか?
「俺たちはここを出ていく。もうもどらない、ほんとうは飯をやる必要ないが、余ったご飯を捨てるのはもったいないからって八重ねぇちゃんから渡せって言われてるんだ」
「なぁ!?餓死しちまうじゃねぇか、こんなところに人なんてなかなか来ねぇよ」
「俺たちを襲ったお前たちが悪いだろ、最後の飯を恵んでやるだけ感謝しろ」
「まっ、まて」
まじで、死んじまうじゃねぇか
「じゃあな」
「おっおい!」
タケルはスタスタといってしまう
「・・・」
「まってくれ、嬢ちゃん」
「・・・話したら怒られるから、じゃあ」
「俺、本当に死んじまうよ、頼む!!一生のお願いだ!そうだ、縄をほどけなんて言わない、せめてお前らが、ここを出てった後に自由になるようにしてくれ。俺たちだってお前らを殺す気なんてなかったんだし」
「・・・でも」
止まってしまう、後ろ髪を引かれるようだ
「なに簡単だ、前らがここを出ていくとき、小さいナイフでいい、、この寺のどこかに隠してくれ。そして俺がそれを探す。そうすれば見つかるまでおれはここから出れない」
「・・・その状態で探せるの?」
「無理だ、だから足の拘束は解いてくれ。ただし手に長い縄を括り付けてどっかの柱に縛ってくれ。そうしたら探せる」
「・・・・・・・・・・」
どうやら悩んでいるようだ、これだからガキはちょろい
もう一押しだな
「そうだ!もし、そうしてくれたらいいことを教えてやる。お前らのねぇちゃんもほめてくれると思うけどな!」
「・・・なに?」
「それはやってくれたら教える」
「・・・わかった」
ルリは言われたようにする
「・・・・で?」
「おぉありがとうよ!そうだな教えてやるよ」
さぁ~て
「あのアルって男だよ、あいつはな人さらいさ!俺たちは物取りだが、あいつは違う。昔王都で指名手配の紙を見たんだ。おそらくやつはお前らとうまく仲良くなり、油断したところでまとめて誘拐して奴隷として売るつもりだ。だが、これはお前らの仲間の誰にもいっちゃあいけない」
「・・・なんで?」
「なぜならお前らのねぇちゃんも、お友達もみんな信じ切ってしまってるからさ。おそらく、話しても信じてくれないさ。逆にアルってやつに話されて、あとで殺されるかもな口封じに。だっておかしいだろ、たまたま俺たちに襲われたタイミングで5年間誰も来なかった町にちょうど来て、お前らを助けてとりいった。消去法でこれしかない、君みたいに頭のいい子なら考えればわかると思うんだがな」
「・・・どうすればいいの?」
「しょうがねぇ、教えてやるよ。罠にはめればいいのさ。お前らは北の山道を通っていくんだろ?なら途中に崖がある、そこにおびき寄せて突き落とせばいい。そこなら山越えまであともう少しだし、お前らも困らない。お前らのねぇちゃんも大喜びさ!なぁにあいつが悪者だってこともどっかの町で指名手配書みればすぐにわかるさ。」
「・・・・・・」
考える、確かにあのアルって男は急にみんなと親密になった
今思えば怪しい点がいくつかあるし、ねぇちゃんがやたらとあの人に協力を求めていたのも気になる
「まぁ山を出た後のお前らのことはどうでもいいからな、好きにすればいいさ」
「おーーーーい、ルリ何してんだ、はやくいくぞ!」
そしてあのガキは何も言わずに出ていった
ふふふっうまくいった
その壁向こうで、話を聞いていたのがもう一人いたことに誰も気づかなかった