鬼の少女
えぇぇぇー
人が頭狙わないように、足撃ってんのに
あの女の子、頭にフルスイングしたよ
絶対遠慮とかしてない一振りだったねあれは
一応生きてそうだなあの頭領
ピクピクしてるけど
よっぽど頭踏まれたの根に持たれてたんだな
じゃなきゃあんなこと普通出来ないよ
どうしよう、この沈黙
女の子は何も言わない
「えっえーっと」
女の子が金棒を構える
えぇぇーなんで!?
このこともやらなきゃダメ
女の子にお金は撃ち込みたくないな
「おっ落ち着いてっ、手を出す気はないからっ」
焦る、あのスイング見た後ならね
「誰?何が目的?角?」
構えながら少女は問いかける
「俺はアルっていうんだ、目的とかないけど、角?ってなに?」
「・・・・・・・・・」
なんかいってーーーー
いきなり攻撃してこないよね、あんなので殴られたら頭がつぶれる
「えっと、とりあえずこの盗賊たち縛って拘束しない?」
「・・・・・・・・・」
いやーっ、だれか助けてー
「ヤエねぇちゃーん」
たすけーじゃないヤスケー
お前いいところで
「ヤスケっ無事?」
「うん、途中で盗賊につかまりそうになってはぐれちゃったけど、この兄ちゃんが助けてくれたんだ」
ナイスフォロー、ヤスケー
「あ、ありがと」
「いえいえ」
とりあえず金棒は降ろしてっ、お願いっ
「助けてくれたことには感謝している、でも部外者は信用できない」
そう、こいつも私たちが鬼族なのは気づいているはず
角の価値に気づいたら、攻撃してくるかもしれない
これだけ高威力のスキルホルダーがここにいるのも怪しい
それこそ盗賊と同じく角狙いならつじつまが合う
それにこいつのスキルは危険だ
何を投げているかは知らないが、速すぎる上に、連射・同時撃ちが可能、命中率も高い
殺される可能性も視野に入れなければ
やはり人は信用できない
「ヤスケ、私の後ろに」
「ね、ねぇちゃん大丈夫だよ」
少女は金棒を下さない
どうしよう、立ち去ってもいいのかな
「えーっと、おじゃましました?」
よし立ち去ろう、やっと会えた人だけど
どうやらご迷惑のようだ
「まて」
まて、この人が王国でこの町のことをしゃべられたらまずい
移動するにしろ時間を稼がなければ
盗賊たちもこの人が言うように拘束するか、殺すかしないと
「・・・はい」
立ち去れませんでした
「あなたは王国の兵?冒険者?なにもの?」
「俺は兵士じゃないし、冒険者でもないよ。うーん、なんだろフリーターかな」
・・・・・ふりーたーってなに?
でも王国の兵士でないなら
「助けてほしい、お礼はする」
ここは信用しない範囲で利用するしかない
あてはないが、どこかに移動する必要がある
少なくなっているとはいえ、まだ山にはゾンビがいる
子供を7人抱えて山越えは危険すぎる
だがこの人のこの力なら、越えられるかもしれない
「えっ」
助けてって、今助けたやん
お礼って言われても、金なら腐るほどあるしなー
「山を一緒に越えてほしい」
「そうだよ、ねぇちゃんこの人強いし」
ヤスケは黙ってなさい
ヤスケをにらむ
どうやら気づいていないようだ
「山を越える?まぁいいけど」
今降りてきたばっかなんだけどなー
「お礼は・・・・お金はない、私小さいけどもう15。経験はないけど頑張る」
角を渡すわけにはいかない、今ステータスが低下したら子供を守れない
これしか方法が
「・・・・なにいってんだお前」
「だ、大丈夫。今は成長途中だけどこれから大きくなるから。それにっそれに・・・えっと」
やっぱり大きくないとダメかっ
やばい、ここでこいつを利用できなければ子供たちが危険になる
なんとしても・・・
「はぁ、なんか緊張して損した。子供が大人の真似して変な気まわしてんじゃねぇ」
髪を掻きむしる
俺は困っている子供を、足元見てそんなことすると思われてんのかっ
馬鹿にすんじゃねぇ
「断る」
「まっ、まって子供じゃないもう15、大人とそんなに変わらないっ。それに、それに・・・・お願いっ助けて」
お願い、せめて子供たちだけでも
「馬鹿にすんな、フリーターだがそこまで落ちぶれてねぇよ。てか15はまだガキだ」
まったく
「勘違いすんな、今の条件なら断るって言ったんだ」
そうだ、今俺は金や女性より情報が欲しい
そう何を聞いても嘘をつかない相手が
「ゾンビがいるからここから出たいんだろ、それぐらいいくらでも手を貸すさ」
「ただこっちもお願いがある」
「お願い?」
なんだ・・・
「俺はこの世界に疎い、この世界の常識をいろいろと教えてほしい」
「常識?そんなのでいいの?」
わからない。この人がなにをしたいのかが
でもそれなら私にとっても好都合
「あぁ、まぁ俺もどっちみちこの山を越えなきゃいけないしな」
よくよく見たらこの町人いないし周り全て山だし結局また超えないといけないじゃん
というか仲間ができた!!
「じゃあよろしくお願いします」
「にいちゃんといけるの?やったー」
「「「「「「ねぇちゃーん」」」」」」」
協会の床から子供たちが出てきた
「ほかにもいたの!?」
「・・・・・・・・・・・」
やばい、言うの忘れてた
それから再度テンパル少女がお願いされ、盗賊たちは拘束して
それぞれ自己紹介して・・・・・2時間かかった