「たすけて」
いざ川を下る
食料も何日か分はあるし、しばらくは大丈夫
たまにゾンビ出てくるけど動き遅いし瞬殺
ゴブリンもいたけどいまなら余裕で瞬殺
かれこれ3時間だいぶ移動したな
川幅も広くなってきた
あ、またゾンビ
パン
ふぅ瞬殺、瞬殺
そういえばゾンビいるなら人も近くにいるのかも
だってゾンビって元人でしょ
ゲームみたいなポップするやつなら別だけど
てかゾンビ多くねこの山
でも坂も少し緩やかになってきたような
そろそろ森から出たいなー
それからさらに2時間
どうせなかなか森から出れないんでしょ?って思ってたけど
木々の間隔が徐々に広がっていく
近い、森から脱出できるのも近い、そんな気がする
歩幅がだんだんと大きくなる
だいたいいきなり森スタートのゾンビと仲良く修行編とか難易度高すぎなんだよ
あぁまたゾンビだ
地面を這いつくばって、うなってるよ
「うっ、うう」
しかも今回は小さいな子供のゾンビだ
うーん、いくらゾンビでも子供だとなんか気の毒だな
いや一思いに倒してやるのが優しさか、
よしっ
10円を弾こうと手に力を込める
「た、たうsけ・・・」
ん?いましゃべった?気のせいか?
「だれか・・・」
え?いやいやもう騙されないよ
だってもう何度騙されたことか
ゴブリンから、ゾンビでも数回騙されたからね
きっと、空耳
森から出れる期待で幻聴が聞こえたんだな
「お・・ねが」
いや、騙されない。騙されないよ
きっと発音がいい、新種だな、うん
い、一応
「おーい、大丈夫か」
「あぁ、たすけ・・・え。みんあころあれる」
「お ねが 」
ばかか俺は!ずっと助けを求めてるじゃないか
あまりにゾンビに騙されてばっかで軽く人間不信になってるじゃねぇか
「おい!しっかりしろ。どうした、ゾンビにやられたのか?」
一応ゾンビに噛まれてないか確認する
だっていきなりゾンビになって襲ってきたら困るしな
「あ、ぁあ」
はじめて会った人間が死にかけかよ、しかも子供
ケガはしていたが、そこまで大したことはない
ただ肩を切られて血が出ているが、もうだいぶ止まってはいる
それとだいぶ体が細い、栄養足りてんのか?
とりあえず応急処置と水を飲ませる
「あ、ありがと」
あっ、今気づいたらナチュラルに日本語話してる
いきなりで忘れてた
通じたよ、こういうとこは異世界のご都合設定働くな
「おぉ、それより名前は」
人間との最初の対面
やっぱり名前からだな
「ヤスケ、お願い助けてほしいんだ、ゴホッゴホ」
「おいおい、無理して話すな、助けてって言われても俺もこれ以上できることはなにも」
子供だからよくわからなかったけど男か、名前的に
そこは女の子だろ
心の中で突っ込んでみる
「みんなが、殺されそうなんだ」
えーみんなってほかにも人いるのか、よかったー
じゃない!え、今すげー物騒なこと言わなかった
「どういうことだ?」
「町が、襲われているんだ」
えー町あるのやったーついにきたー
じゃない
町襲われてて、通りすがりの俺に助け求めちゃうの?
しかもゾンビがうじゃうじゃいる森の中で
てか、それ俺に何とかできるレベルなの?
まぁ行くだけ行ってみるか
行く当てもないし、やっと野宿生活からも解放されそうだし
「わかったとりあえず行ってみよう、どっちだ」
「あ、ありがとうございます。あっちです」
一応おんぶして進む。いや置いていけないでしょ
「お願い!急いで」
えーこれでも5時間歩きっぱなしで疲れてるんだけど
まぁ走りますよ
おっ森の隙間から家が、町が、見える
町かあれ、廃墟の間違えじゃね
木々が減りだんだん全貌が見えるが、
ぼろぼろじゃないか、人じゃなくて町がね
人住んでんのここ?
いや江戸時代みたいに古いわけじゃなく、レンガの家みたいな感じなんだけど
もう壁には穴が開き、窓は割れ、ほこりがかぶっている
昨日今日の話じゃない
・・・ちょっとぞくっとした
まさかこの子供幽霊とかじゃないよね
「みんなはどっちだ」
「多分協会の方、あっち」
悪魔とか出てくんなよ
ドォォォォォォォォォォォォン
ちょうどその時ヤスケが指差した方角からものすごい音がした
「いそいで、協会の門が破られたのかも」
町(廃墟)に着いたとたん騒動に巻き込まれるとは、
もう少し休ませてくれよ
と思いつつ
ヤスケに煽られ急いで向かう
曲がり角を曲がると
おっ、人が建物の前に集まっている!30人くらいか
あれは敵かな味方かな
一応隠れて様子見よう
「あいつらだこの町を襲ってきたのは」
やっぱ敵かー多いな、しかも武器も持ってるし
刀とか、斧とか、弓とか
スキルも持っているだろうし、勝てなくねーこれ
建物の前には金棒を持った短髪の少女が一人
額から血を流し、体中はボロボロになっている
遠くてよく見えないが、身長低いし若そうだな、高校生くらいか?
ボロボロだが着物みたいだな、しかも着物に似合わない帽子、キャスケットってやつか?
てか金棒とかこわっ
「ねぇちゃんがやられちゃう、にいちゃん早く助けて!」
どないせー言うねん
お金ぶっぱなしていいんか
いいんだな
いくぞ、今行くぞ
3数えたら行くぞ
3、2、1.5、1、0.5、0.25
集まっている人の中で先頭にいた一番偉そうなやつが右手を前にだした
と同時に少女が吹き飛ばされる
「いまなにが」
やばい、俺が尻込みしている間に女の子がやられた
あ、大丈夫だまだ動いて集団の前に
俺は期待していた、なにもしなくてもどうにかなるのを
ヤスケが後ろで俺に助けを求めるも耳を通り過ぎていく
ただ、少女が集団の前で土下座し、先頭の男があざ笑うと
少女の頭を踏み出した
俺は無意識に飛び出していた
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