72話 異常ナ力
カヴァタについて森を進む。
上空で魔物を喰らっているフィートはもう気にしないことにした。
「もっと速く歩けないのか?」
「速くと言われても、ゴーレムとしては速い方だぞ。これ以上は無理だ」
お前達には平気だろうがな。
「この速さだと1週間は掛かるんだが。仕方ないか。あんまりこの力は使いたくないんだがな」
そう言うと、カヴァタは銀の煙を生み出した。
銀の煙は、薄い円盤状になって渦巻き始めた。
「この中に入れ」
「大丈夫か?消えないのか?」
私の魔法を全て消し去った銀の煙だ。
入れと言われても抵抗がある。
「大丈夫だ。使いたくなかったが、今は仕方ない。これに入れば目的地に到着だ。安心しろ、命は保証する」
「ワープゲートなのか?魔法を消した銀の煙と性質が違うようだが」
「違うように見えるけど根本は同じだ。あの時は魔法を消した。今回は距離を消した。それだけの違いだ。まあ俺もこの力をよく分かってないんだがな」
随分と規格外な力だな。
距離を消す、カヴァタは簡単に言ったが、実際は世界の常識を覆す程のことだ。
それに、魔法を消すと距離を消す。
つまりこの銀の煙の本質は消す力だ。
と言うことはもしかすると。
「その力、何でも消せるのか?」
「正確には消すんじゃないけど、何でも消せるぞ。それこそ暴走しなければ神でも消せる」
神でも、だと……。
「暴走するとどうなるのだ?」
「この世界、この次元が俺諸共綺麗に消し飛ぶ。そこに何も残さずな」
全てが消し飛ぶ、だと?
なぜそれ程までに強力、いや、危険な力が存在しているのだ?
カヴァタがあまり使いたくないのも理解できる。
「とりあえず入れ、フィートはもう向こうに行ったぞ」
「分かった」
そして私は、促されるままに銀の煙で作られたゲートをくぐった。




