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4 ことわざ

いつも読んで頂きありがとうございますm(_ _)m

アクセス解析の結果、多くの方に読んで頂けたことがわかり、とても励みになっております。


自分の知識不足のため、整合性が崩れないように資料を確認しながらの執筆です。

更新がゆったりとしてしまいまい、本当に申し訳ありません。


拙い文章ではありますが、これから勉強しながら書いていきますので、

どうぞ、今後とも宜しくお願いいたします。

『鬼の目にも涙』(諺)


・意味

 強い者の情けない様をいう。また、そのような状態の者のこと。

・用例

 僕の恐怖の対象だった鬼は、ゴーレムに蹂躙されている。まさに「鬼の目にも涙」といったところか。ゴーレムさん、そろそろ勘弁してあげて下さい。あれ、指示が通じない。




 頭に浮ぶのは、ことわざの新たな可能性。もしも、この状況に中学受験をする小学生が居合わせたならば、ことわざの誤用問題で減点されることになるだろう。



「お仕えするために生をうけましたのに、私心を消せず先ほどの仕儀。申し訳の次第ございません。拙者、かつては横暴なる朝廷に虐げられし民のために立てど、人質にて味方を裏切らせる汚き策略により、この首討たせてやりました。晴らせぬこの恨み、向ける先を間違え先ほどのように申しつる。以後、ご随意にこの身をお使い下され。鬼衆頭にて名を将門、その配下200名と共に主に従いまする。」


 あっ。やっと終わったのね。



 どうやらリーダー改め将門。誕生日は昨日。熊との闘いで呼び出されたらしい。呼び出された当初は小鬼。相手は熊。勝ち目はなさそうだが、そこは歴戦のつわもの。一寸法師戦法で倒したらしい。


 返り血を浴びると、鬼としての力を使えるようになった将門。残りの熊たちを、地面の赤黒い染みへと変えるのは容易いことだったのだとか。




 熊を倒し、賢者タイムに突入した将門は気が付いた。死んだはずの自分が再び生きていることに。そして歩き出す。喜びに唇を歪ませながら。


 それは、朝廷への反旗をしめすその一歩……になるはずだった。


 熊を倒した自分が、戦いの場から出ることができないことに気が付いたのだ。熊の死体に八つ当たり。血の入った水袋が破けるように。あたりは血に染まる。


 蹴鞠となった熊は、将門の行動範囲を超えていく。野伏(外に出た鞠を中へ蹴り返す補助役)はいない。


 高貴なる私に手ずから拾えとでも。


 血筋という誇りが穢されるような感覚を覚えながら、ダメもとで玉を拾いに行く。すると、広がった血の上を進むことができる。


 ここから自由になるため。熊が乾ききるまで、蹴鞠をつづけた将門。そして出来上がったのが、この単色の競技場だ。


 しかし、血が足りない。

 移動の自由を奪われた不条理への怒りは角を燃え上がらせる。


 生き返らせた恩がある。誠心誠意、自分に礼を示すのならば、従ってやるのもやぶさかではない。……そう思っていた。しかし止めた。どうにかして、自由の身へとなってやろう……そう心に決めたのだった。



 薮の奥から、自分の主が来るのが感ぜられる。

 熊と間違えて襲ってやりたいが体が動かない。やはり無理か。怒りは納得したことでも燃え盛るようだ。


 怒りを隠し拱手する。護衛が動かないことに気が立っているのか……未熟なり。そんなものでも恩はあるのだ。頭を下げ、地面につける。噛みしめた牙が見えないように。燃える角のような眼が見えないように。


 主の気が緩んだのが感ぜられる、敵の前での未熟な所作……。そんな者にこの俺が頭を垂れるだと。屈辱で腕の震えが抑えられない。


 落ち着け。機、来るべきなり


「礼なんていらないから……」


 来た。




 こうして将門の乱は起こったのだ。


 声に縛られていたため、『礼』という言葉を拡大解釈して自由になろうとした将門。不用心な口は災いを招く門という。口から始まる将門の乱。本当に洒落にならない。


 小太刀のことは事実だが、建前として使っただけらしい。じゃあ、ゴーレム君の横やりはナイスだったわけだ。



 さて、そのゴーレム君だ。


 僕よりも小さいから君付けしていたゴーレムだが…。目を緑色に光らせると大樹が生長するかのように大きくなり、全身が苔むしたかのような色へと変わる。苔むした(いわお)は、将門を一方的にボコボコにしていた。


 心強くも恐ろしい。


 手足を千切り、リーダーが出す子鬼を出したそばからすりつぶす。為す術もなく叩かれ続けるのを見ているとやりすぎという言葉が頭をよぎる。



 いや、敵なら仕方ない。蹂躙だろうとなんだろうとやるべきだ。覚悟を決めよう、などとかっこつけてみる。

 …ゴーレム君の威を借りるだけだから、何とも言えないのは自分でも分かっているから、言わないのがお約束だ。


  ゴーレム君の蹂躙をみていて気がついたのだが、リーダーもゴーレムのようだ。事実、土を握り「将門、出てこい。」と念じ投げると、血に汚れていない状態で現れた。


 体の断面はゴーレム君のような土色で血も出ていなかった。傷がゴーレム君とは比べものにならない程ゆっくりではあるが修復していった。


 将門自身、体の修復には驚いたのだろう。「な、なんじゃこれは。おい、こら。俺に何しやがった。」と素が出るほど驚いていた。


 おい、こら。言葉が乱れて…。ほら。ゴーレム君の何かに触れたようで、こちらが止めても止まらなくなった。



 先輩として、ゴーレムとは何か、体に教え込んだのだろう。後輩は従順な態度を見せるようになった。


 厳しい輩先ぱいせんのゴーレム君だ。


「さるにても、主のために体をはるとは。本当に兄貴のことは仰ぎ見ることしかできませぬ。」


 そしていつの間にか将門の義兄弟になったようだ。二体がうまく付き合ってくれるのはとても嬉しい。

ゴーレム同士は、相互に意思を伝え合う。将門を通してゴーレム君のことをついに聞くことができた。



 巌助。


 細石さざれいしの最終進化形態のいわお。そして、未来さきの、先の副将軍の名ぜりふにリーチをかける。


 巌助。


 呼ぶときに使えば苔まみれの状態で呼び出せる。

 勿論屋内は、土足厳禁、巌助大大大厳禁。



 ちなみに、リーダーも将門という名前を使わないで呼ぼうと土を投げると、小鬼として現れるらしい。鬼型ゴーレムは、すべて将門から生まれたものである。そんな小鬼たちは、現在絶賛成長期。小鬼は血を浴びると大人の鬼のような力を持てるのだという。



「十分に集まれば残りの200人も成長するので、血を宜しく。」だそうだ。


 子鬼たちが、キーキーとした声で「血をよこせ!!」と叫ぶのは中々に怖いものだった。夜は、将門として呼ぶことにしよう。み、見張りなんていなくてもきっと平気。



「主、兄者の後ろへ。人です。」


 小さい状態に戻っている巌助こと、助さんの後ろにすぐ隠れる。


 調子に乗るのは良くない、これが今日の教訓だ。狐は虎に隠れられる位置にいるべきなのだ。




 木の上から降りてきた。ぼろ布えお包帯のようにして顔を隠した小男。片目と口元しか見えないが、崩れているように歪んでいる。


「旦那、熊鍋が出来やしたぜ。毛皮と一緒に向こうに置いてありやす。って、ありゃあ、急に大きくなりましたな。これは困った。」


「なんだ、捨猿じゃねぇか。早ぇじゃねえか。ちゃんと火通してんのか。主、出てきて大丈夫です。この者、拙者の舎弟となり申した捨猿です。」


 あれだな。将門って、素の口調が山賊の頭みたいだ。


「旦那のご主人様ねぇ。ありゃあ。これはまた、玉のようなお人。旦那、趣味が良いですなぁ、ワシも小姓になりたいですなぁ。もう一人のお仲間は、ワシの同類のようですし。いや、ワシよりも。」


「主、お叱りは後ほど賜ります故、どうかここはお許し下され。卑しい者なればこそ、このような口調なれど、心根は清き者なり。どうか。」


 あー。未だにこの時代の言葉を理解するには時間がいるな。まぁ、性格の統合は平成マインド中心だから仕方がないか。


 とはいえだ。兄弟、下衆なことを言ったのは雰囲気で分かるよ、バカヤロー。(ビートた○し風)



「猿、主の前では口を開くな。とくとく案内せよ。」


「おぉっと、またやっちまいやしたね。こちらですぜ。」




 そうして、前僕未踏の森の奥へと進んでいく。


「あの廃寺ですぜ。んーむ。どうすべきか。あぁ、旦那。ワシは水を汲んできやす。先に寛いでいて下さい。」


 切り立った崖に挟まれた隘路を抜けた先に、ぼろぼろの寺がみえる。捨猿が道を戻ると、見えなくなった。


「主、下衆の無礼な態度、お許し下され。」


「全然気にしてないから。にしても、あんな怪しい奴信用出来んの。」


「出来ませぬな。なにやら、熊を倒せし拙者に目をつけ話しかけましたが、もともとは人買いの求める子供を捜すとか。かの下衆の背に斥候5体を忍ばせておりまする。主が召還できまする故、後ほど報告を聞けるかと。」


 なるほどね。まぁ、難しいことは後にして廃寺でくつろぎたい。先ほどから良い匂いが鼻をくすぐっているのだ。


 僕は足早に廃寺の扉を開いた。

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