第511射:兵器にも整備は必須
兵器にも整備は必須
Side:タダノリ・タナカ
帰還の食事会も終えて、俺は改めて結城君やゴードルに今までの砦の運営状況について確認をしている。
「もっと休んでもよかったんじゃ?」
「だべな。食後すぐって急いでいるだべな」
「ま、別に激しい運動しているわけでもないしな。ああ、結城君やゴードルは書類を渡してくれたんだし、休んでてもいいぞ」
別に二人にも無理に動けというつもりはない。
必要なものは渡してもらったし、これで十分にやれる。
「いや、付き合いますよ。ジョシーさんの追加物資のこともあるんでしょう?」
「だべな。そこの整理で倉庫の掃除とかをギリギリまでしていたんだべ」
「そういえば言っていたな。なんか荷物でも入れていたのか?」
砦の倉庫は基本食糧庫や生活必需品、物資、武器庫、など分けてはいるが、余裕があったはずだ。
そんなに小さい砦ではない。
大砦と言われるぐらいには規模は大きい。
何せ、戦車をそのまま乗り付けて砲台に出来るぐらいには大きいからな。
「いえ、放置していたので埃が溜まっていたんですよ」
「ああ、そっちか」
使わなければ綺麗なままっていうのは無いからな。
まあ、多少の汚れは何のそのの戦車ではあるが、保管庫は綺麗にしてほしいよな。
整備もそこでするような設計にしてはいるし。汚れは少ない方がいい。
と、そんな話をしながら、他の設備の確認もしていく。
各種に置いている武器庫の方は、特に異常はなし。
まあ、こっちの弾薬庫は基本つわないからな。
どこか失陥、あるいは敵の侵入を許してしまったときの為のところだ。
この砦を攻めるとなると、基本的には物資の場所、つまり倉庫を狙うだろう。
そこを叩けば武器弾薬はもちろん、食料などの物資補給が出来なくなる。
物資が無くなれば、継続戦闘は出来なくなり、士気はがた落ちになる。
とはいえ、現代戦の場合、超距離ミサイルでのピンポイント攻撃で反撃能力は全て奪われるだろうし、敵が来るのはそのすぐあとの電撃戦になるだろうから、いくら隠し武器庫を用意していても全滅必至だろうがな。
それでも備えが無いよりはマシだろうとは思うが。
そんなことを考えている内に戦車用の保管庫に到着した。
ここは屋外倉庫を利用している。
戦車だからすぐに出発できるようにな。
もちろん、予備は奥にしまうが、こっちはこっちで必要なわけだ。
見せ札としてな。
「じゃ、さっさと出していくか。時間は無いことだし」
俺がそういって戦車を出していくと、ゴードルが疑問にも思ったのか質問をしてくる。
「そんなに早くジョシー殿は早く戻ってくるだべか? ヅアナオで色々やっているとは思うだべが?」
「ん? ああ、それはゴードルの言う通りだ。ジョシーはデシア将軍と一緒に言うことを聞かなった好戦派の連中を締め上げにかかっている。それにヅアナオの門破りのこともあるしな」
あの連合軍の馬鹿はやっちまったんだよな。
自国の町に対して。
敵国ならともかく、身内の町に対してやらかしたとなればそれは後ろを狙われる可能性も高くなる。
補給を絶たれかねないし、部隊の入れ替えって名目ですぐに動くはずだ。
それに一度停戦したという話をしないといけないからそうそうにな。
ここまで言えばゴードルは理解できたのかちょっと目が遠くなり……。
「ああ、言うことを聞かない連中を連れてとか、ただの罰ゲームだべよなぁ……」
元々、魔王命令で懲罰部隊の運用も任されていたからなぁ。
その言葉には本当に重みがある。
しかも別に本当に命令違反をしたとかではない。
魔王とは違う思想だっただけで、投入された部隊だ。
民間人とまでは言わないが、そんな連中を連れて戦ったとしても成果が出るかどうかは怪しいものだ。
「ま、そういうことで、連中の罪は暴かれて即刻ヅアナオから退却することになるだろうさ」
「そう簡単に引くんですか?」
「下手すると、ヅアナオの離反を招くからな。敵を増やしましたてへっじゃすまない内容だ」
「ああ、確かにそれはさっさと引かないとまずいですね」
「実際に門破りをして、物資を奪うようなことをしているからな。っと、それはいいとして、こんなもんか」
話している間に、戦車100両の内50両を出し終える。
「早いですね。まだ10分と経ってないですけど……」
「ま、駐車位置はちゃんとペイントされているからな。その目標に置くってことを意識すれば問題はない。とはいえ、確認はしないとな。二人とも手伝ってくれ。ずれていたら大変だ。まだ衝突は起こっていないが、ぶつかってしまえば大惨事だからな」
「わかりました」
「わかっただべ」
そういって、二人は戦車の様子を見に行く。
俺もそれを確認しつつ、残り半分を置いて行っていると……。
『おう、ダスト。そっちの方はどうだ?』
噂のジョシーから連絡がくる。
「無事にノスアム大砦に戻って、戦車を生産中だな」
『生産中って……いや、そうか。間違いはないのか』
「まあ、生み出しているからな。予定通り100両と予備を作っているところだな」
『普通なら、調達するのに数か月かかるな』
「数か月でも無理だな。生産してくれっていって頷くところはまずない」
『傭兵に戦車を売るなんて中古ぐらいだしな。新品なんてありえない』
戦車とか、戦争で使う道具を個人とか、会社が簡単に所有できるわけがないしな。
まあ、傭兵会社とかは、戦闘ヘリとか戦車は保有しているが、それでもあって4、5台が良いところだ。
維持費もかかることながら、戦車を投入するような仕事場はまずないからな。
そういう戦場は大規模戦場で、国と国のぶつかり合いをしているところで、戦車の一小隊なんて大した障害にならない。
下手すると集中砲火を受けかねないしな。
歩兵隊で参加する方が安全じゃないかと思えるほどだ。
とはいえ、それでも戦車を保有しているというのはそれだけ財力があるということだから、持っていないよりは持っている方が良いんだがな。
「だから新品の不良品なしなんだ。喜べ」
『まあ、そこは喜ぶべきことだね。どっかに修理に出して、修理費はもちろん、不具合が出ないかおどおどしながら使うのは勘弁してほしいよ』
「それは同意だな」
中古を買うのはいいが、その後使えるようにするのも一苦労だ。
修理をして実際は修理できていないというのもよくあることだしな。
そんなのに乗って戦場にでるとか、本当に嫌だからな。
「不良品で思い出したが、今回の遠征で使った車両の方はどうだ? こっちに届く情報ではオールグリーンって所だが」
ジョシーに預けている車両は全部データをモニタリングしていて、作動不良になるようなことがあれば連絡が来るようにしている。
とはいえ、それは戦車が動くかどうかというレベルで、装甲がへこんでいたり、汚れていたりするのは分かったりはしない。
そんなのでエラーが出ていると、今頃モニターは真っ赤だろう。
戦場じゃ泥だらけになるのは当然だしな。
『ん~? ああ、装甲にへこみとかはないな。馬鹿が勝手に触って傷がついているのはあるが、それぐらいのもんだ。あと雨上がりで車両は泥だらけだな』
「それだと、倉庫に入れて整備する前に水洗いだな。流石に無視はできない」
ちゃんと整備をするなら泥は落とすのが基本だからな。
その程度のことで動きが阻害されることはないが、それでも積もり積もれば不具合の原因になるからな。
清掃は……。
「……戦車用の洗車設備出しとかないとな」
『あるのかよ?』
「いや、俺が覚えているから、どうにかなる」
『いや、ホースとかじゃなくてか? というかどこで見たんだよ?』
「行きつけの整備やの親父が趣味で作ってたんだよ」
『あ~、あの変態か』
「ああ、機械に興奮する変態だ」
普通の洗車機を改造して、戦車用の洗車機を作った。
とはいえ、こびりついた泥とかは自力だが。
それでも他が補えるし、泥も多少は取りやすくするから、あった方がいい物だ。
「まあ、準備は整えておくから、デシア将軍の手助けして、撤退の支援してやれ」
『わかってるよ。まあ、あと2、3日はここに釘付けだろうな』
それでも、2、3日で軍を撤退に動かせるんだから、凄いんだがな。
と、それは洗車設備の設置に動くのであった。




