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レベル1の今は一般人さん  作者: 雪だるま


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第479射:コンパニオンジョシー

コンパニオンジョシー



Side:タダノリ・タナカ



面白いことになって来たな。

いや、向こう側としては当然の話だが、それを実践するために城を破壊するわけにもいかないだろう。

かといって、人をひき殺すわけにもいかない。

どういう風に証明するか楽しみだ。

あ、いや違う。


「おい、ジョシー。残虐ショーとかはやめろよ」


こいつなら敵を委縮させるために、見せしめをやりかねない。

敵はハチの巣にして良しってタイプだしな。

もちろんそれで効果はある。

恨みも多大に買うわけだが。


『流石にそういうのはしないさ。とはいえ、どうやってこちらの力を見せるかって話になるが……』

「そうだな。別に隠しているわけではないし、砲撃を見せてもいいぞ」

『いいのか? 一応こちらの攻撃手段を知らせることはよくないんじゃないか?』


なんかまともなことを言っているな。

こういうのは隠すからこそ効果が変わってくるし、被害を大きく与えられるわけだが……。


「別に全部ってわけじゃない。遠距離攻撃方法があるってことを教えておけばいい。迫撃タイプはやめて、戦車砲だけでいいだろう。それだけでこちらが遥か彼方から攻撃する手段があるってことがわかるはずだ」


そう、別に手札すべてを見せる必要はない。

こちらがこういう手段を持っているんだと知らせるだけだ。


『あ~、それで何をされたかを理解できるってわけか』

「もともと、向こう側も投石器や衝車とかを持ってきてたから、こちらもそういう兵器を所有しているっていうのは把握しているだろうしな」

『確かに、そこを考えると砲撃ぐらいは見せておいて損はないか』

「上手くいけば、話し合いを有利に持っていけるだろうな」

『逆に私を狙ってくる可能性もあると思うけどな』

「あるな」


ジョシーが所有している戦力を正確に把握すれば、その戦力を少しでも手元に残したいと思ってもおかしくはない。

まあ、ジョシーを押さえるだけで全て手に入るのなら。

という前提がいるが。

何せ戦車などの兵器を運用しているのはジョシーではなく、俺だ。

ジョシーを押さえられた、あるいは殺されたからといって戦車の所有権が動くことはない。

とはいえ、それは向こうのあずかり知らぬこと。

だから、ジョシーを狙ってくる可能性はあるってわけだ。


「なら、いっそのこと向こう側に潜ってみるか?」

『それも一つの手だが、なんか話を聞く限り、微妙な所だろう』


ああ、今更ながらだが、ジョシーは先ほどの戦車の性能を見せるとで準備をしている状態だ。

戦車のところまで行って整備しているふりをしているわけだ。

ちゃんと監視も辺りにあるが、戦車の中まではどうしようもない。

それで、微妙というのはデシアという将軍は俺たちと交戦をしているのでまだいいが、向こうの長ったらしい役職名のダサナとかいうおっさんもどうやら戦争には反対って意見だったようだ。


「微妙は微妙だが、基本的に大きな組織にはそういう反対派閥は存在するのは当たり前のことだ。向こうの言っていることもわかるだろう?」

『まあな。色々手を打って勝てると思えば、逆にノスアムを取られているなんていう状態だ。当初の方針に意を唱えるのは間違いない。だが、その勢力が戦争派より強いとも限らないんだよな』

「そこは当然だな。というか、戦争を仕掛けてきているんだから、反戦派の力は弱いっていう証拠だな」


それが現実ってわけだ。

だが、今は違う。


「ルーメルが加わってノスアムまで押しているんだから、そこは強みになるだろう」

『なるな。とはいえだ。ここで戦争を続けるにしてもやめるにしても、私たちにメリットもデメリットもよくわからん状態だろう?』

「そこは……そうだな」


あくまでもルーメルは東側連合に協力しているだけにすぎないし、別に戦争に勝ちたいってわけでもない。

なにせ勝って領土をとっても持て余すだけだしな。

こちらが欲しているのは、今更だが、結城君たちが故郷に戻れる方法の模索だ。

ジョン・スミスという人物が描いた本に少しだけヒントがあるから、それを追っているっていうのが現状だ。

それだけで考えれば戦争が終わるのはメリットに思えるが、意外とそうもいかない。

戦争が続いていれば、それだけルーメルが名前を売れるわけだ。

その名前でこちらの調べたいことを押し込むこともできるわけだが……まあ恨まれるデメリットもある。

どちらが良い悪いというと微妙なんだよな。

もちろん、結城君たちにとっては戦争が終わることが一番だろうが。


『ここで、言質をとっても東側が何かしら文句を言うのは目に見えているしな。というか、返事はどうなったんだ? 本国への問い合わせが戻ってくるとか言ってなかったか?』

「もうそろそろだとは思うけどな。そこ次第ではあるが、今は西側の反戦連中にこっちの戦力を多少見せるぐらいはいいだろうさ」

『ま、それしかないか。あとは場所はどこになるかだが……。とそこを話すから話は切るぞ』


俺の返事を待つことなく、言葉を切り戦車の外へと出ていく。

そこにはリサナの連中が集まって戦車を遠巻きに眺めている。


『準備が整いました。では、移動する前にまずは、こちらにどうぞ』


そういって、ジョシーは丁寧に戦車の説明をするようだ。

いや、まあ軍事展示なんかはああいう風にするんだが、ジョシーにイベントコンパニオンみたいなのができるっていうのは違和感がありすぎる。

そして、俺の困惑をよそに戦車の装甲について説明を始めている。

まあ、そこから始めるわな。

戦車におけるアピールとして、一番わかりやすいのは砲撃能力とかではなく、装甲だ。


どれだけ丈夫なのか。


敵の攻撃をどれだけ防げるのかというのが一番大事なのだ。

なにせ都市制圧戦で歩兵の盾となるものだからな。

敵を市民諸共皆殺しにでもしない限り、生き残りは出てくる。

制圧部隊は必ず残党部隊との戦闘になり被害がでるわけだが、その盾になるのが戦車だ。

今では対戦車砲や武装が用意されているが、それでも装甲によっては戦車を抜けないので、本当に大事な要素なわけだ。

基本的には、装甲というのは複合装甲で複数の鉄はもちろん別の素材を用いて衝撃を殺し、内部に破損を与えないようにしていることがほとんどだが……。


『この断面のように、鋼材であっても、種類の違うモノを用いて重ねることにより、より丈夫になっております』

『『『……』』』


説明を受けているデシアとダサナたちはポカーンとしている。

それはそうだろう。

この世界、いやこの地方で複合装甲という概念自体がない。

なにせ、鎧を厚くすれば重くなりすぎて動けなくなるからだ。

確か地球で全身鎧の重量を調べたとかいうのがあったが、40キロ以上だったような気がする。

それでも銃弾を防げるような装甲を持ってはない。

具体的に全身鎧の厚さは1ミリから1.6ミリだったらしく、一部無謀というか根性というべきか、プレートアーマーとして、体の一部を守り厚さを6ミリまでしたネッド・ケリーという猛者もいるが、鎧のないところに被弾して捕まったという話がある。

つまりだ、鎧を厚くして銃弾を防ぐというのは実用的ではないということ。


まあ、こちらの世界だとレベルにより超人的な能力を持つ人物がいるので、銃弾をはじき返す鎧を着ている人がいてもおかしくないが……。

それって鈍重極まりなく、それなら速度に割り振れよという話になるわけだ。


カイーン!


と、俺が色々考えている間に、その装甲に武器を振り下ろしては弾かれているリサナの連中。

もちろん人が振るえる程度の力で装甲が傷つくはずもない。

なにせ、同じ戦車からの砲撃すら通さない化け物っぷりだしな。


『こちらを正面装甲に用いて、そして側面には少し劣りますが……』


こうして、さらに装甲の説明をして言って、リサナ側は唖然としているが、本番はこれからなのであった。



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