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レベル1の今は一般人さん  作者: 雪だるま


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第437射:進軍遅れの原因

進軍遅れの原因



Side:タダノリ・タナカ



結城君から敵軍の速度がかなり落ちているという話を聞いて、俺は確認することにした。

別に軍の進行速度が落ちるというのは往々にしてよくあることだ。

現代だって補給がとか、後方とかの連絡がうまくいかず、立往生することなんて多々ある。


まあ、それが理由なら特に心配することもないのだが、遅れるという理由の中には、作戦を変更したり、妙な武器を持っていたりもすることもある。

つまり、敵の脅威度が上がっていることもあるのだ。

それを無視して、大きなダメージを食らった軍の話はよくある。


「どうですか?」


俺は結城君と一緒にテーブルの上に置いてある地図を見ているとそう声がかかる。

結城君は焦っているようだ。

これを見ただけでは、ただ遅れていることしかわからない。


「落ち着け結城君。これでわかるのは速度が落ちていることだけだ。とりあえず、結城君が言っていることはわかった。不自然に速度が落ちているな。その理由は、思い当たりがあるって言ってたよな?」


俺がそう聞くと、結城君ではなく、ルクセン君が手を挙げ。


「はーい。前にも言ったけど2日前に後方から援軍が合流したからじゃないかな?」


と、答えてくれる。

確かに、驚いたことに進んでいる敵軍に対して後方から援軍が現れたのだ。

数はおよそ一万。

おかげで敵軍は3万から4万へとさらに増強してしまった。

普通の数勝負なら震えあがるべきだが、こっちとしては蹴散らす数が増えただけ程度の認識でしかない。

そして、ルクセン君の言う通り、数が増えたからの速度低下というのは十分にあり得る。


「なんか再編とかで揉めたか?」

「そう思いますか? 私もこの手の援軍が来た場合指揮権とかでもめたのかと思いましたわ。私たちも色々ありましたし」


俺の意見に同意するように、大和君が頷く。

まあ、魔王領に攻めた連合軍とか大変そうだったしな。

ルーメルでも誰が指揮権を握っているとか、そういう話はいくらでも聞いてきた。

人が集まればもめ事が起こるというやつだ。


「まあ、まだ3日目だしな。これから速度が上がらないとも限らないが……。とりあえず、偵察を飛ばしてみる。結城君たちはそのまま監視を続けていてくれ」

「わかりました」


そういって3人は引き続き監視に戻る。

結城君の余計な心配であるなら万々歳。

敵が妙な作戦を取っていたり、兵器を迎え入れていたら対応ってところだな。

それを探る労力にかんしては、俺がドローンを操作して調査するだけだし、やらない手はない。

ジョシーたちが負けるだけのことではあるが、それはそれでこちらも迷惑をこうむるからな。

できうる限り勝率は上げておく必要はある。


「さて、動かすべきは……上空の5番だな」


俺はモニターを見つつ、空いている、動かしても問題のないドローンを選択する。

無ければ、こっちで作って飛ばしてもいいんだが、むやみにドローンを増やすと管理が面倒だし、モニターを見る結城君たちの負担も増えるので、なるべくあるドローンでやるのが正しい。

数はあればあるほどいいというのは間違いはないが、それは管理できる数に限るという条件が付く。

管理ができないのであれば、逆に足を引っ張ることになるのはよくある話だ。


そんなことを考えながら、5番ドローンを操作しつつ、以前の隊列の画像を呼び出す。

何が違うかを見つけ出すためだし、比較対象がいるのは当然だろう。


「さて、何が違うのか」


俺はとりあえず、ドローンの高度を上げて、全体が映るようにする。

以前の写真とまったく同じとはいかないが、それでも違いは分かってくる。


「列が伸びているな。これは当然か」


パッと見て、まず隊列が以前よりも長くなっている。

数が1万も増えたんだからこれは当然だろう。

あとは、物資を運んでいる個所も増えている。

これは、部隊の違いだろうな。

4万もの物資を同じ場所に集めているというのは一見合理的だが、逆に言えば管理されているともいえる。

部隊が違う、所属が違うのにその物資まで管理されると問題が起こるのだ。

あとは、物資を一か所に集めるのは襲撃されたさい、一気に全部喪失する可能性もある。

だから、特に問題はない。


「あとは、何が違うか……」


俺は軍の列を見ているがよくわからない。

やっぱり合流して、進軍が遅れているというだけか?

遠目からはわからないな。

後は、近づいてよく見てみるしかないな。

やっぱりというか、パッと見るだけで敵の狙いがわかることはないか。

とはいえ、観察するべきところは絞れる。


「パッとみて違いが判らなかったというと、作戦の変更か、兵器の運搬か、仲間割れかってとことだな」


いや、全部じゃんかとは思うが、絞れてはいるんだ。

見るからにけが人がいるとかは無いから、事故があったわけじゃないというわけだ。

まあ、こちらとしては仲間割れだといいんだがな。

そんな都合のいいことを想像しながらドローンが見つからない程度まで高度を下げて、隊列をつぶさに確認していく。

停止しているわけではないから、仲間割れかどうかは夜のテントで情報収集する必要があるな。

今できるのは、進行方向と物資の確認ぐらいか。

とはいっても、進行方向に関しては道は一つしかなく、向かう先はノスアムでしかない。

これは間違いない。

そうなると、物資を確認するだけか。

幸い天井を覆っている上等な荷車ではなく、本当に物資を運ぶだけの簡素な荷車なのでドローンからも多少は中身を確認できる。


「流石に、木箱やツボを開けることは出来ないからな。とはいえ、木箱やツボでも保存状態がいいとは言えないが、こっちの世界だとこれが当たり前か。さぞかし前線の兵士たちはつらい食生活だろうな」


俺はそれを考えて顔をしかめる。

こっちの食生活はろくでもなかった。

傭兵時代も軍のレーション系は食べていてクソだとおもったが、こっちはさらに下の下だ。

硬いパンならまだましで、最悪小麦粉を溶かした水だ。

食事と呼べないものだ。

とはいえ、こっちの文化レベルを考えれば、それが携行食としては最適なのは理解できる。

絶対に真似はしたくないが。

だからこそジョシーが連れている部隊には美味い飯や物資を提供して士気を保ってもらっているし、言うことを聞いてもらっている。

美味い食事と物資があれば大抵の不満はどうにでもなるんだよ。

そんな食事事情を推察しながら、荷車を監視していると不意に妙なものに気が付く。


「ん? なんだこれ? 木材か? テントようにしては規模が大きい……か?」


そう木材が大量に乗せられている荷車群が存在しているのに気が付いた。

最初はテントを建てるための木材かと思ったが、それにしては数も多いし、寸法も大きい。

かといって軍全員を休ませられるような数かというと違う。

絶対的に数はたりない。

となると……。


「兵器か……」


まあ、そう早合点する理由もない。

前と比較する必要はある。

なのでデータを呼び出して、一万の部隊と合流する前の荷車の画像と見比べてみる。

やはりというか、この木材を大量に乗せた荷車が決定的に違っていた。

テント用とは明らかに違う。

そして、観察しているとこの荷車が軍の遅れと関係しているのもわかった。

荷車が重いのだ。

おかげで、舗装されていない土がむき出しの道を進むのに苦労しているようだ。

敵がノスアムに向けて進軍している際に雨が降って道がぬかるんでいたのだ。

俺たちとしては「あー雨だなー」ぐらいだったが、こちらに進軍している兵士たちとしては洒落にならない。

進軍速度が大きく落ちる最たる理由だ。

何より、地面の状態の悪化により進軍速度の低下。

そして、兵士たちが雨に打たれることでの体力低下。

食料が湿気って使えなくなるなど本当に雨っていうのは厄介だ。

ということで、荷物の内容を調べてみると、おそらく破城槌と攻城塔だろう。

バリスタに関しては、こっちの世界では魔術があるせいで運用されて無いようだ。

まあ、魔術師という人が代わりをこなせるから当然と言えば当然か。


そんなことで、敵の情報を集めつつ対策も考えていくのであった。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「雨に、兵器用の ここで終わり? 尻切れているか、執筆途中かな?
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