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レベル1の今は一般人さん  作者: 雪だるま


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第428射:予定には遅れが付き物

予定には遅れが付き物



Side:ナデシコ・ヤマト



砦の工事が始まり既に2週間目。

最近では、内部の工事に移っていて、住民に震動に対する警告を出すこともなく助かっています。

当初は、地震の説明をして事前通告をしていたも混乱する人がいましたからね。

そのフォローで物資の供給はもちろん……。


「おーい。これを運んでくれ」

「分かりました。よし、3班行くぞ」


こんな感じで仕事の斡旋も行い、ようやく馴染んて来たところです。

砦の中にノスアム以上の町を作っているようなものなので、人手はいくらあっても足りないですからね。

私は現在、ルーメルの上層部の一員ということで現場監督をしています。

まあ、全体のではなく、一部のですけどね。

それだけこの砦は広いのですから。

とはいえ、モニター監視とかもあるので、辛い二重生活というべきでしょうか?

あれは本当に辛い。


今後の予定表を確認して、今日はモニター監視が無いことを確認して安心します。

流石に、この場所の現場監督をしているので、モニター監視に関しては多少緩くなってはいるのです。

そうでもないと死んでしまいますから。


「監督。確認したいことがあるのですが」

「はい。なんでしょうか?」


私は声をかけられて、そちらに振り返ると、雇われた町の人が立っている。

彼は7班の班長を務めている人で、私と一緒に室内の内装を行っているのです。


「こちらの……」


そういって彼は砦の地図に視線を向けて仕事の話を始める。

幸い、私が担当するようになった彼らは私の言うことは聞いてくれて、予定よりは少し遅れている程度で済んでいます。

普通予定より遅れているなどというのは、あってはならないことだと思って最初の数日は焦っていたのですが、それを見たり聞いた田中さんやジョシーさんが……。


『ああ、まあいい経験だ。物事を予定通りにできるような連中はそうそういない』

『味方とはいえ他人だ。こういうことは遅れるのが当然ってことまであるからな。初めてで驚いている? そりゃー今まで恵まれてたな。私やダストなんて、味方に何度足を引っ張られたか』


と、2人とも私が謝る姿を見て笑っていた。

これも良い経験と片付けてくれた。

失敗も良い経験だと日本にいた時でも親や教師、大人はもちろん、テレビなどでも聞いた言葉ではありましたが、こうして身をもって体験するのは違うとはっきりわかります。

そして、これからはこういうことも覚悟して動かなくてはいけないのでしょう。

そういえば、光さんなどは、学校で一緒の時に提出物が遅れたりはよくありましたから、フォローしていました。

ああ、ああいうことの延長ということなのでしょう。

光さん本人に言えば失礼なーとか言いそうですね。

そんなことを考えながら指示を出し終えて、私は改めて砦の地図を確認する。


「さて、これで第3宿泊施設の家具の運び込みがすみました」


私はそう呟きつつ、地図に記を付ける。

家具は運び込んだ。

とはいえ、それだけで終わりではありません。

文字通り運び込んだだけ。


「第2宿泊施設の配置と整えは……まだ終わっていませんね」


ちゃんとしっかり置いて、整えなければ効率は悪くなります。

放置で、入った人任せでは混乱が起こるのは必至。

一人一つなんて言っても守る人は早々いないのです。

少しでも自分たちが楽にと思うのは当然ですから。

まあ、この砦を今働いている人たちが利用することないのが理想ではありますが。

あとは、東側連合が利用するときに勝手にやれと言いたいのですが、それはそれで面倒になりそうなのでこちらで整えた方がいいと田中さんたちは言っていますし、私もそう思います。

正直な話、私個人としては東側連合は信用しておりません。

あまりにもノスアムから得られる情報と、東側連合が持っている情報との差が激しすぎる。

核心的な話はないのですが、こちらに渡しても問題ないだろうという話まで全く知らない。

つまり、私たちを信用していないのか、本当に情報を集めていないのか。

どちらにしろ、駄目としか言いようがありません。

情報を渡していないのも当然、そして情報を集めていないのも軍として駄目すぎます。

そんな連中を信用しろなんていうのはありえないのです。

だから、そんな連中に好き勝手されるようなことが無いように準備を整えろと、田中さんやジョシーさん、そしてユーリアやマノジルさんも言っていました。

とても理にかなっています。

隙を見せるなということです。

だからこそ、予定の遅れは焦りが出ているというわけですが……。


「落ち着いて考えましょう。今更遅れているからと言って、早くやれと言って早く終わるわけでもありません。ミスが増えたり、事故が起こる原因になりかねません」


そうなればもっと時間がかかる。

本末転倒です。

となると……。


「ん~? 遅れてるって? ああ、仕方ないよ。別にさぼっているわけじゃないんでしょ?」


そんな声が聞こえて振り向くと、私と同じように現場監督として人をまとめて仕事をしている光さんが居ました。

現場監督といえど、基本的にはデスクワーク。

つまり各監督は同じ場所、執務室で書類仕事をしているわけです。

全員がバラバラの事務所なんてのは非効率ですからね。

ああ、とはいえ、現場の監督でもあるので、現場を見に行っていることもあるので、その場合は席を外していることもありますが、今は光さんもいるようです。

で、その光さんは遅れていることに対して、特に焦りもなく、叱責することもなく対応していきます。


「今どのぐらい? うんうん。まあ、そこら辺の調整はしていくからさ。落ち着いてやってよ」


そんな指示を出すと、テーブルに向き直って私と同じように仕事に戻るのですが、そのタイミングを狙って光さんに話しかけます。


「光さん。今いいでしょうか?」

「ん? 撫子どうしたの?」

「先ほど今日の予定が遅れているという話をしていたのが耳に入りまして」

「ああ、ごめんねー。まだ慣れるのに時間がかかるみたい」


普段の私であれば2週間もたっているのに遅れるとは、というのでしょうが、今回に限っては私も同じような状況です。

ですので……。


「その遅れのフォローはどうするおつもりでしょうか?」

「フォロー?」

「ええ。私も同じように遅れが発生していますので、どうしたものかと悩んでいたのです」

「撫子もか~。となると、これ僕たちだけじゃないかもね」

「というか?」

「なんていうか、僕ほらクォーターじゃない? 外国に行くというか、お爺ちゃんたちや親せきと会う時に外国に行くんだけどさ。その時に日本とやっぱり違うなーってことがあるんだよ。撫子は経験ない?」

「まあ、それはあります」


それはむしろ当然だと思ってすらいます。

育ってきた環境が違うのですから。


「つまり、僕たちが把握していない原因があるんだよ。撫子さ遅れている理由ってわかってる?」

「遅れている理由ですか? そうですね。話を聞く限り、荷物が重いのか、量が多いのか、時間内に運び込めていません。光さんの方は?」

「僕の方は防壁内部の物資運びと配置なんだけど、やっぱり撫子と同じように荷物の運搬に問題が出ている感じかな? 配置にはさほど問題はない。いやこっちは時間内にやっているね」

「同じ、ですが」


そうなると、問題点は私というよりも、環境に問題がある?


「ちょと搬入の場所を見に行こうか」

「そうですわね」


共通の問題点を見つけた私たちは、そろって問題があると思しき運搬の中心、荷物の搬入場所への確認へと向かいます。

荷物の搬入口は、特に別に設けてはいません。

まあ、砦として機能すれば、もっと強硬になるのでしょうが、今は普通に出入口をそのまま利用しています。

勿論雨ざらしなどになっては困るので、出入口の左右に存在している屋内に運びこんでいるのですが、そこで意外な人たちに出会います。


「ん? ああ、お疲れ様。2人とも」


真っ先に気が付いたのは晃さんで、その隣に田中さん、そしてゴードルさんが難しそうな顔をしているのが確認できました。

何か事件でもあったのでしょうか?




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