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レベル1の今は一般人さん  作者: 雪だるま


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385/523

第382射:解放作戦開戦

解放作戦開戦



Side:アキラ・ユウキ



正直に言って、ドローンから届いた情報は俺たちにすればちょっと物足りなかった。


「ん? 意外と落ちついているねヒカリたち」


俺たちの様子に不思議そうに見ているのはジョシーさんだ。

ああ、そういえばジョシーさんは俺たちが魔王と戦う際に大軍と戦ったって話はしてなかったっけ?


「そうだよ。アスタリの町じゃ万単位と対峙したしね~」

「へえ、なんだかんだ言ってそういう経験はしっかりしているんだね。とはいえその経験があって、城ではあの体たらくだったのかい?」

「いやー、銃相手とか初めてで」

「なるほど。相手がしょぼかったわけだ。まあ、ここでビビるよりはいい。ほれ」


ジョシーさんはそう言って、俺たちにアサルトライフルを取れと言って来た。


「え? いいの? 僕たちはまだ拳銃ぐらいだけど?」

「今更だな。使い方は覚えているだろう。そっちのメイドもちっこいのも、そしておっきいのも」

「あははー。ヨフィアだって言ってますよね?」

「今更だろう。とはいえいいのかい? 私たち魔族にも銃を渡して?」

「んだ。姐さんの言う通りそっちを狙わないともかぎらないべ?」


ノールタルさんやゴードルさんはありもしない心配を口にするけど。

それを聞いたジョシーは笑いながら。


「やれるものならやってみな。背中から撃たれる確率って戦場じゃ高いからな。味方の射線には基本的に入らないんだよ。それに、私たちが撃つことにはならないさ。そんな距離まで近づかれれば終わりだよ」


確かに、戦車に乗っていてアサルトライフルを使うようなことになれば、すでに戦車は機能していない状態だろうし、敵も山ほど。

そんな時にアサルトライフルを数人で撃ったって抵抗できる時間は……。


「いやー、普通に大丈夫だと思うよ? だってさジョシー、相手は別に銃持っているわけじゃないし。僕たちは魔術も撃てるしさ」


うん、光の言う通り敵が銃を持っているわけでもないし、俺たちには魔術があるから戦車までとはいかないけど広域を攻撃できる手段はもちろん回復もこなせる。


「ああ、魔術か。まあ、その時は頑張ってもらうとして、基本的に戦車に敵が近寄る様なことがあれば作戦が破綻しているってことさ。損耗を避けるためそんな事態にはならないって話だよ。市街地戦でもないんだからね」

「なるほど。確かに、この程度で損耗するような戦いはさけるべきですわね。では撃ってはダメだと?」

「あの距離で当てられるならいいが、銃も損耗するからな。まずは戦車で蹴散らすことが優先なんだよ」


確かに敵が布陣しているのは遠くに見えるけど、あれを狙って当てられるかというとむずかしい。

一人二人は狙って当てられるだろうけど、そのあとは動くに決まっているし、それなら戦車の砲撃で吹き飛ばした方が早いよな。


「さて、後は突撃指示があればだが……」


そうジョシーさんがつぶやいていると、伝令兵がこっちにやってきて。


「ルーメルの皆様方、本陣より前衛を空けるので敵陣に突撃せよと。実行されることを願います」


そう簡潔に告げて去っていく。

しかし、最後の言葉こっちを信用してないなー。

まあ、車両の数は全体的にみれば少ないから戦車の火力をしらないと心配なんだろうな。

そんなことを考えていると……。


「こちらヘッドクオーター。アルファへ通達、連合軍よりルーメルに突撃指示があった。動けるか?」

『了解。こちらはいつでも動ける。作戦開始時刻を伝えられたし』

「味方の前衛が前を開けて戦車隊が前に出るのに時間がどれぐらい掛かるか分からない。とはいえ、一時間もかかるとは思わないから、即座に展開できる位置に動いてくれ」

『了解。作戦開始位置まで10分』

「了解。健闘を祈る」


ジョシーさんは早速田中さんと連絡を取り状況を確認する。

どうやら無事に田中さんは敵の後方についているようだ。

そこは安心だな。

それで、俺たちはというと……。


「よーし、全員装甲車に乗り込みな。目の前が空き次第前に出るからね。トイレも済ませときな」


ジョシーさんはそういうと、戦車の中に入ってしまう。

俺たちも文句を言うことなく即座に車に戻って銃の再確認を行いつつ、ドローンで戦況の確認をする。


「どう?」


光が俺の持っているタブレットをのぞき込んでくる。


「まだ動いてない。……いや、なんか人が動き回っているような」

「あれかな? 伝達が出て動いているのかな?」

「多分な。でも盾を構えたままとか結構慎重だな」

「それはそうですわ。その隙に敵が突撃してきたら被害が大きいですから敵の動きを見ながら一気に素早くやるか、ゆっくり対応できる陣形を整えながらやるべきすから。何より今回は私たちという見た目は数が少ない戦車に前面を任せるのですから、慎重になっているんのでしょう」

「信用無いな~」

「仕方ないさ。戦車のことなんて知らないだろうし。後方からも撃てるっていうものな」

「下手に前に出られると誤射しますからそこはいいとしておきましょう。と、動き出したようですわね」


撫子に言われてタブレットに映る映像に目を凝らしてみると確かにまとまって前が動き出している。

そろそろ出番かなと思っていると。


『こちらアルファ、作戦開始位置に到着。いつでも動ける』

『了解。こちらもようやく前が開けそうだ。展開が終わったら連絡をする』

『了解。こちらは予定通りそっちが攻撃開始と同時に通路を封鎖して、後方を遮断する』


そんな会話が聞こえてくる。

分かり切ったことだけど、田中さんは相変わらず冷静のようだ。


「相変わらず、冷静沈着ですわね」

「だね~。ま、慌ててもらっても僕たちは困るけど」

「だな」


田中さんたちが混乱していたら、それはそれでかなりまずい。

だからこの状況は俺たちにとっては安心できるというと、アレだけど心強い。


「そういえば敵はどんな感じ? なんか変わってる?」


光が俺の持っているタブレットを覗き込むように見るが、真上からの撮影であり、それなりに高度を取っているから、詳しい敵の内容は分からない。

とりあえず、緑の頭部が見えるのは……。


「ゴブリンがいることぐらいだな」

「ゴブリンが数いてもそこまで苦戦しないよね~。あ、この茶色ってオーク?」

「多分。ですがこの大陸特有の魔物がいても可笑しくはないでしょうし、強い個体もいるかもしれません。油断は禁物です」


そう言えば、撫子の言う通りこっちに来てから魔物と戦った記憶がないな。

運がよかったのか?

何でだろうと思っていると……。


『よし、前が開けた前進するぞ。全員動くから注意しろ』


ジョシーさんの連絡が届いたと思ったら車が前進を始める。

でも、これって田中さんが遠隔で操作しているんだっけ?

それを考えると妙な感じだ。

まあ、戦車を操作しろとか言われてもできないから仕方ないんだけど。

タブレットの映像で自陣を見てみると、戦車が一台ぐらい通れる隙間があり、そこを俺たちが進んでいく。

戦車隊が一番前で、俺たちが乗っている装甲車両が中央となっている。

これって後ろからの攻撃も気にしているんだなーってわかってしまうとなんか微妙な気持ちになる。

注意は必要だってのは分かってるけど、こうやって田中さんがしっかりを気を配っているとなると、杞憂レベルじゃないぐらいの確率なんだろうなーと思っていると、ルーメルの戦車隊の展開が完了する。

すると……。


『アルファ、こちらヘッドクオーター。これより降伏勧告をした後攻撃を開始する』

『了解』


その一言で俺たちも銃を改めて握りしめる。

遂に始まるのだ。

こと戦闘に関してはユーリアやマノジルさんも口出しは出来ない。

全て田中さんやジョシーさんがやることになっている。

そして……。


『こちら、東側連合のルーメル軍。これより貴軍に対して攻撃を開始する。無駄な被害は望まない。降伏するさいは武器を捨て、両腕を頭の後ろに回しうつ伏せになれば、降伏を認める。それを覚えておいてくれ』


意外なことにジョシーさんは降伏の時の作法を教えている。

いや、情報が欲しいからある意味当然なんだけど、今までの雰囲気から撃って生きてたら情報源にするって俺は思っていた。


『あと、降伏勧告を一応するが……しないよな?』


ちょっとおどけた様子でそう言ってみるが、敵は動く気配はない。

まあ、ここまで戦っているんだ。

そう簡単に降伏するわけもないというのは分かっている。

でも、言うだけ言ってみるって言ってたもんな。


『……よし、これより攻撃を開始する』


反応がない敵軍をしばらく見つめていたジョシーさんがそういうと……。


ドンドンドン……!


そんな音を響かせて戦車が火を噴いた。

南側の戦いが今始まったのだ。



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