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レベル1の今は一般人さん  作者: 雪だるま


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第359射:冒険者の地図と国が動きが鈍い理由

冒険者の地図と国が動きが鈍い理由



Side:ヒカリ・アールス・ルクセン



沢山お弁当を食べて、少し瞼が落ちてくるのをこらえ、僕は目の前の話に集中する。

話の中心は僕たちが冒険者ギルドのルクエルさんからもらった地図について。

ほかの地図同様に、褒められた地図じゃないけど、魔物の分布とか洞窟や遺跡の記載があるのはありがたいと思う。

そんなことを考えていると……。


『ゼランの商会が持っている地図と比べても、大まかな道にズレはなさそうだな』

『ま、そうだね。大きい主要街道は誰でも知っていることだし。かわっているとすれば、遺跡とか洞窟が主要街道の近くに可視記されているぐらいだね。あと村』


確かに地図を見れば魔族を押さえているとされる主要街道の近くには洞窟や遺跡、村が近くに点在しているのがわかる。

とはいっても戦闘が行われている地域だけじゃなく村はどこにでもあるもので、冒険者ギルドの地図のは多くの村の記載がしてある。

仕事で行かなければいけない場所ってことで記載しているんだろうねと僕はぼんやり考える。


『……上から2番目の近くの村を経由して裏に回ることは可能か?』


するとジョシーさんが主要街道の近くにある村を指摘して話を進める。

僕は一瞬何のことだろうと思ったけどすぐに察しがついた。


『可能だろうな。まあ、やってないことを考えていると、迂回するのは無理な道なんだろうな。できて少人数』

『少人数でも迂回できれば普通に問題ないけどな』

『そりゃお前だけだ。軍の駐屯地に単身突入なんざ普通はハチの巣だ』


なんか、田中さんとジョシーさんは愉快な話をしている。

言っていることはわかるけど。

ジョシーさんは多分村につながるルートにそれて敵の後ろから強襲できないかって心配しているんだろうけど、そんなことができるのは田中さんの言う通り、ジョシーさんぐらいだと思う。

敵が沢山いるところに少数で攻撃するとかありえない。

そう思っていると話は続く。


『ダストこそ何を言ってるんだ? それが現代の軍ならともかく、防衛もクソもないこっちの連中だぞ? そして何より、相手は私たちでも面倒だと思う化け物だ。性格もあれで強襲をしないっていうのがおかしいだろう?』

『……確かにおかしいとは思うが、やれるならとうの昔にやってるだろう。かれこれ半年近くはここで膠着しているようだしな』

『ま、その時間を考えているとそこに張り付く理由があるってことか』

『だろうな。まあ、実際現場に行ってみないとそういうことは分からないけどな。しかし、これを見ると村の連中は逃げているのか、それとも殺されたのか気になるな』

「え? どうして、逃げてるんじゃないの?」


僕は田中さんの言っていることがよくわからなかった。


『魔族の連中は町の人たちを生かしていたか?』

「「「……」」」


そう聞かれて僕たちは沈黙するしかない。

実際やっていたのは虐殺してゾンビにしてた。


『まあ。私たちが迂回して動けるっていうのはいいことかもな』

『逆に孤立して囲まれやられる可能性が高いと思うがな。不意打ちぐらい予想はしているだろうし。で、そこはいいとして、村の外に魔物の生息も多少は書いてある。この主要街道は魔物はウルフ。確かオオカミのタイプか。まあそれでも十分人は殺せるし、迂回はお勧めできんな。俺たちだと対応で銃を使うからそこで場所がバレる』

『獣は面倒だなぁ』


意外とジョシーが嫌そうな声音でいう。


「ジョシーは動物は駄目? 苦手?」


普通に驚いたので聞いてみると……。


『ああ。動物は野生の勘が効くやつもいれば利かない奴も多い。向こうは生きるために襲うからな。そうなるとどうしても銃を使わないといけないが、銃じゃ威力が低いんだよな。元々対人だから』

『だな。野生動物、たとえばクマとかは毛皮や骨が厚くてハンドガンとかは余程急所に当てないと致命傷を与えられない。ある意味俺たちにとっては一番厄介な敵かもな』


言っていることは分かるけど、あっさり退治しそうと思う僕は間違ってないよね?

と、思っていると次はユーリアが話をしてくる。


『タナカ殿、私からお話をしてよろしいでしょうか?』

『どうした? 会議で気になるのことでもあるか?』

『はい。おそらくですが、腰が重い理由について話し合うかと』


腰が重い理由?

確か、関係各所に色々根回しがいるって話だったよね。

話し合うっていってもそういうのって部外者である僕たちが何か言えることってあるのかな?


『俺たちから関与できることというと、物資か』

『はい。おそらく一番のネックは物資のはずです。一応このハブエクブ王国も連合の一部で魔族と交戦しているのです。少数の兵士は建前上送っているかもしれませんが、そういうのは出兵をした領主持ちです。ですが、今回の出兵は私たちを連れて行って戦果を挙げることが目的です。なので……』

『それ相応の人数が動くから、物資を集めるのにも一苦労ってわけか』


そっか。

僕は全然気にしてなかったけど、軍が動くってそれだけ物資がいるんだよね。

僕たちも旅の準備をしたときは色々考えて買い物したよ。

まあ、でもそれは最初だけで最近はアイテム袋があったからそこまで問題にはしたことがなかったな。


『そうです。タナカ殿たちが持つ缶詰なんて日持ちのいい食べ物などありませんからね。一応貯蔵している物資を集めてはいますが……』


こっちの食べものって持っても30日ぐらいだもんね。

まあ、我慢すれば半年ぐらいは行けるだろうけど、それでもあまり無理したくはないよね~。

小麦を解いて塩で味付けしただけのスープとか最悪だし。


『全部持っていくとかはありえないから、買い集める必要があるか』

『はい。実際動きを見せているのではありませんか? ゼラン?』

『ああ、こっちにも食料や矢玉の買い取り要請が来ているね。支部長から連絡が来ているよ』

『へぇ、こういう国って徴収って言って勝手に持っていくもんかと思ってたよ。ほらシャノウでもあったろ?』


確かにあったよね。

町の人たちが困るぐらいには物資を持って行ったから、僕たちというかゼランが田中さんの出した物資をそのまま流して町の人たちの感心を買おうとしたんだよね。

町の人たちはモノを領主に取られていらだっていたし、何かあったときは僕たちの味方をしてもらえるようにって考えてたこともあったけど。


『……そういうのは最終手段です。あの領主もそういう判断を下したと思います。何せ防衛できるかどうかわからないほどのゾンビが進軍していたのですから、と信じたいです。そうでもなければ、この国で商売なんてできませんから』

『ま、そりゃそうか。すぐに徴収されるなんて商売上がったりだもんな』

『そこらへんは国も気にしているだろうな。そうでもないと、物資が手に入らなくなるからな。とはいえ、絶対でもないがな。戦争なんてことになれば奪われるのは当たり前だから、事前に情報を集めて逃げるのが賢い方法だ。だから、のんびりしているこの国が不思議だったんだがな』


まあ、そりゃそうだよね。

簡単に戦争のために無償で奉仕しろとか言われると生活できないし。

だから、田中さんがいうこの国がのんびりしているっていうのはわかる。

危機が目の前に迫っていると僕たちは思っているんだけど、冒険者ギルドも含めてなんでか魔族と連合の戦いをあまり重く見ていないんだよね。

この地域にある国も半分が落とされているっていうのに。

とはいえ、その理由を探るために僕たちが情報を集めているんだけど。

今度冒険者ギルドにも現状をどう考えているのか聞いてみようかな?


『こほん。話がそれてしまいましたが、ハブエクブ王国が動くに必要なことは物資です。人を集めるにも時間はいりますが、それよりも先立つものがなければ意味がありません。なのでこちらか供出を提案しようと思っているのです』

『それで、時間稼ぎはさせないってことか』

『時間稼ぎとは相手は考えていないでしょうが、これから王都に集まる地方の領主は私たちに懐疑的でしょう。なにせ見知らぬ国の姫という立場しかないのですから。外に並んでいる戦車の意味が分かるモノなんていないでしょうから』

『ああ、物資を提示することによってそれだけ力を持っていると見せるわけか』

『はい。その通りです。いちいち戦車をうごかして実演をするのも面倒ですから。まあ、出発の直前にやってはいいですが、物資が集まらないのでは動きもできませんから。それでどうでしょうか?』


そう聞かれた田中さんはどうこたえるかと思っていると……。


『いいんじゃないのか? あえてリクエストを聞いてやるのもいいな。車両を使ってわざとシャノウの沖合に停泊している船から運び込むというのも手だな』


意外とノリノリだった。

しかもシャノウから車で輸送するとか、ハブエクブ王国の人たちがびっくりするんじゃないかな~?

そう思っていると、提案されたユーリアの方だけど。


『それはいいですね。戦車だけでなく輸送能力もその比ではないというのを見せつけるのにも便利ですね。それで行きましょう。そして、その輸送に指示ができるのはゼランさんの商会だけということで』

『かまわないけど、自分の実力じゃないのが残念だね。まあ、そういうつながりも商人の腕ということにもなるんだが』

「意味は分かるけどさ。それってゼランの商会が危険じゃない? 恨みとかさ?」


僕は心配でちょっと言ってみると。


『そんなこと今更だよ。妬みを恨みを受けつつ商売は広げていくもんさ。まあ、過多にならないように調整はしているけどね。今回に限りは命がけで航路を開いたんだ。それを誰が渡すかって話さ』


なるほど。

まあ、それぐらいの覚悟がないとやらないか。

そこから詳しい物資についての話の際に、僕たち、つまりこのハブエクブ王国に待機しているメンバーにも物資の補充ってことで田中さんが聞いてきたので、ごはんやお菓子系を中心にたのんでおいた。

食べれなくもないけどね? そこはね。



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