表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル1の今は一般人さん  作者: 雪だるま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

303/523

第301射:魔族という敵

魔族という敵



Side:ナデシコ・ヤマト



「それは当然だ。今後の行動方針を決めるためにも、敵の正体や、味方の強さなどは知りたい」

「わかった。そっちから話そうか」


私たちは今、シャノウにあるゼノンさんの倉庫にいます。

それはゼランさんが情報を集めていたので成果が上がったということです。

何か有益な情報があればいいのですが……。


「私が今回得た情報は、私たちが戦っている敵のことと、味方になってくれそうな連中のこと。そして戦況だね」

「そうか、意外と集まったな。情報封鎖しているかと思ったが。ま、これが俺の方で手に入れた地図だ。どこらへんで殺り合っているとかわかるか?」


田中さんはそう言いながら、かなり雑な地図を広げて説明を求めると、一応ゼランさんがペンをとってサラサラと記入して私たちに説明をしてくれます。


「良し、まず初めにこのラインだ」


そうゼランがペンをトンとして示したのは、地図の中で一番長い線。

それが何を意味しているのか。

地図を真ん中から横断しているのではなく、左側の方が明らかに押している。

何だろうか? いえ、おそらくこれは……。


「これが現在の魔族との戦いの状況だね。私たちがいるシャノウのがここだ。バウシャイがここ」


私たちがいるシャノウはどうやらそのラインを引いた右側にあり、それよりもさらに右奥にあるのがバウシャイということは……。


「本当に連中は後方を狙ってきたってことか」

「え? どういうこと?」


田中さんが言ったことがわからず光さんは首をかしげます。

まあ、ここまでだとちょっと情報が少なすぎますよね。


「えーと、田中さん。ゼランさん。確認だけど、この右側の方が俺たちがいる場所で間違いないよね?」

「ああ、そうだ」

「あっているよ。そして反対側が魔族と名乗る連中に占領されちまった地域さ」

「えっ!? もう半分以上取られてない!?」

「押されていると聞いていましたが、ここまでですか」

「とはいえ、前少し言ったと思うけど、魔族の連中は中央を押したせいで包囲されている状況なのさ。それに制圧した地域にも生き残りがいて後ろから引っ掻き回しているって話だ。だから、魔族は手が足りていないみたいでこれ以上は押されていないんだよ」

「ほっ」

「だからバウシャイなどの後方を少数で襲ったってことになっているから、ルクセン君安心はするなよ」


そう、田中さんの言うように後方が襲われているのです。

敵がまた後ろから襲ってこないとも限りません。


「あ、そうか。でも、軍はバウシャイのことはどう思っているの?」

「確かにそうですわね。後方が襲われたというのであれば、何かしら対策をとるはずですが……」


この土地の連合軍はバウシャイが落とされたことに対して何か動いたのでしょうか?


「それに関してだが、まだはっきりとしていないようだよ。何せ、被害を訴える連中がいないんだからね。あるのはただ一夜にして町が無人になっただけだ」

「はぁ!? 町の人たちが全員消えたんだよ! なんで!!」

「落ち着きな。ヒカリ。敵に襲われたかもはっきりしていないんだ。住人の死体も存在していない。そんな状況で戦線を支えている軍を動かすなんてありえないってことさ」

「確かに……原因がわからなければ、軍なんて動きませんし、ましてやこんな後方となると」


対処をするわけがないですわね。

そもそも国内の問題と取られてもおかしくはありません。

連合で対処する案件として見られるか……。

と、考えていると、晃さんが何かに気が付いた様子で……。


「……まさか、これが狙いで人を残らずってことですか? 田中さん?」

「あり得るな。生き残りがいればバウシャイの町は魔族に襲われたっていうのが流れる。だから一人残らず行方不明にした」

「え? でも、それじゃ連合軍は来ないと思うけど?」

「どっちでもいいんだよ。ばれれば前線の兵士は減るし、何も動かなければそのまま支援している国を疲弊させられる。向こうにとってはどっちでもいいのさ」

「つまり、戦況は最悪ということでしょうか?」

「どうだろうね。確かにバウシャイが魔族に落とされたと認識しているのは私たちだけ。でも、連合軍は戦線を維持している。敵はそれを崩したくて動いているって考えると、敵はそうしないとまずいってことでもあるからね」


なるほど。

そういう考え方もできるのですか。

確かに、押されてはいますが、シャノウでは押し込まれているなどという戦争の噂は聞こえてきません。

ただ単に情報が届いてないのかと思っていましたが、勝てるとも思っているということですか。


「ま、バウシャイの状況はいいとして、今はこのラインで連合軍が戦っているわけだ」

「ああ。敵の正体についてはやっぱり魔族で間違いないよ。私たちは、というか連合軍は間違いなく魔族と名乗る連中と戦争をしている」

「ちゃんと断言するってことは、魔族側から宣言でもあったってことか」

「そうだよ。奴ら国を落とした時に、占領した国にいた国民を恫喝するために魔族だと名乗ったらしい」


そう言ってゼランさんは魔族が占領している土地の奥深くちょうど占領している地域の中央地点を指さす。

なるほど、そこから魔族の進行が始まったのですね。

と、私たちは普通に納得していたのですが、田中さんはそうでなかったようで……。


「……どういうことだ? なんでここから魔族が出てきた? というか、国名を名乗ってないのか?」

「ん? そういえばそういう情報は聞いてないね。ただの魔族だと宣言を受けて攻撃されたって聞いてる。魔族がどこから出てきたって話はこの国だ。元の名はフィエオンっていう小国」


ゼランさんはそう言って同じ地点をトントンと指でたたく。

でも、それでも田中さんは納得していないようで。


「なんだい? 何か疑問でもあるのかい?」

「ある。なんで魔族なんだ? 俺たちがいた大陸では魔族は人種を表す言葉だ。リリアーナ女王が納めている国はラスト王国という名前があった」

「あ、そういえばそうだ」

「そうですわね。戦線を布告したのに国名を名乗らず人種を名乗るというのはちょっと不思議ですね」

「ふむ。確かにそういわれるとそうだね。わかった国名がないか聞いてみよう。案外、国名を聞いたけどそれを認めるわけにはいかなかったのかもね。そうなれば……」

「敵を国と認めることになるからな。どこかで交渉で終わらせることを考えないといけなくなるってことか」

「だね」


私はその会話が理解できたのですが、光さんには難しかったようで……。


「どういうこと? 国と認めるとだめなの?」

「そりゃな。地球風に言うなら、紛争地帯だな。地元に住む人たちは独立国家だというが、その領土を持っていた国としては、独立を認めるわけがない。何せその分領土が減るからな」

「あー……そういうこと」


そこまで言えば光さんもわかったのが顔をしかめています。


「ま、わかりやすく言っておくか。ただの紛争、あるいは見知らぬ盗賊でもでたならたたき出せばすべて元通りになる。だが、相手を国だと認めると、滅亡させる前に停戦になる確率が高い。相手を全滅させるまでの総力戦っていうのは早々やりたくないからな。だからそこそこ遣り合ってお互いの領土を決めることになるだろうな。でもな、それを認めると土地を奪われた連中は……」

「土地が戻ってこないってことですね」

「そういうことだ。まあ、この話が正しいってわけでもないけどな。情報がまだ不確かだ。だが、相手が魔族って呼称になっているが不安をあおるな。そして、二つ目が、魔族がどこから発生したかってことだが、どこかの山脈、海を越えてやってきたならよかったが、どう見てもフィエオンって場所は周りに山脈もなければ海のない場所に見える。そこは間違いないか?」

「ああ、フィエオンは大平原を所有する中規模の国だ。それは間違いない。海がないからどうも寄り付きが悪い国だっていうのは覚えてた。特産品も小麦だからね。わざわざ買い付けるのはねぇ」


ゼランさんはそう言って苦い顔をする。

貿易相手としてはかなり儲けの内容ですわね。

それも当然ですね、ゼランさんたちが生かせる船を利用できないのですから、この国はそもそも交易をする対象にはならなかったのでしょう。


「で、田中さんはこのフィエオンに何かおかしいことがあると思っているんですか?」

「いや、どこからどう見てもおかしいだろう。魔族はどこからかやってきた存在じゃないってことになる。このフィエオンから出現したってことになるだろう? 普通別の場所からやってきてるなら、いきなりこんなど真ん中の国を落とすか? 普通後方が安全な山脈側とかから落とさないか?」

「あ、確かに。元々どこからかやってきたなら、補給とか援軍とかを招き入れるために通過しただろう拠点を制圧するはずだからフィエオンが始まりって言われるのは変だよな」


晃さんはそう言って山や海がある地域を指さして、そこからフィエオンまでの道をたどってみせますが、私たちから見てもなんでそこで旗揚げしたのか意味が分からない状態ですわね。


「ま、どこまでゼランが仕入れてきた情報が正しいかって話になるがな」

「まちな。私の情報が間違っているとでも言いたいのかい?」

「じゃあ、絶対にあっているといえるか? お前はこの不自然な魔族の発生。どう説明するんだ? これじゃまるで……」

「フィエオンが魔族を作り出したって言いたいんだろう?」

「作り出したかはしらないが、このフィエオンが魔族と何かしら関りがあるのは間違いないな」

「……ま、言いたいことは分かったよ。私はこの点をもっと詰めて情報を集めてみるよ。それまでまってな」

「ああ、しっかりと情報収集頼むぞ」


こうして、私たちの第一回目の魔族情報収集の会議は終わりを告げます。

ですが、どうにも嫌な予感が止まりません。

だって、あの魔族たちは不自然につなぎ合わせて作ったような……。


まさか……。



魔族という敵がいるのは分かったけど、新たな謎が出てくる。

魔族はどこからやってきたのか?

それとも……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ↓へ 必ダン読めばわかるがマッドは別の場所で資料漁ってる時期 創って配備されれば登録されるから...... その可能性は考えなかった
[一言] どこかの、元四天王のマッドサイエンティストが継ぎ接ぎパッチワークしたとか、女神すら足蹴にするダンジョンマスターが召還したとか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ