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レベル1の今は一般人さん  作者: 雪だるま


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第299射:あれからのルーメル

あれからのルーメル



Side:ヒカリ・アールス・ルクセン



「結局、バウシャイは放置かー。なんか見つかりそうだと思ったんだけどな」


僕がそう言っていると、同じテーブルを囲んでいる晃が口を開く。


「仕方ないだろう。俺もバウシャイで過ごすのは嫌な予感しかしない」

「私もですわ。あそこは敵の拠点かもしれませんから、うかつにいかない方がいいですわ」


どうやら晃と撫子もバウシャイに再び行くのは反対みたい。

まあ、気持ちは分かるけどねー。

あそこはゴーストタウンになっているし、気味が悪い。

何が起こってもおかしくない。

だからこそ何かある気がするんだけどなー。

と、そんな風に雑談していると……。


「ほれ注文の品だ」

「ありがとー店長」

「「ありがとうございます」」


冒険者駆け出しの時にお世話になっていた店長が料理をもってやってきた。

そう、今僕たちはルーメルで自由行動をしている。

前と違ってそれなりに名前も売れたし実力も上がっているから、何かあっても大丈夫だろうって田中さんが判断してくれてこうして、久々にこのお店に来ている。


「おう。どうしたヒカリ。なんか浮かない顔だぞ」

「あー、今ちょっと冒険に詰まってるって感じかな」

「冒険に詰まるって、お前たちは勇者だろう? タナカもいて何に困ってるんだ?」

「それがさ……っていっていいのかな?」


バウシャイの話をしようとして、とりあえず晃に確認を取ってみる。

だって秘密のことなら教えるのってまずい気がするし。


「別にいいんじゃないか。別大陸に行ったって言っても誰も信じないだろう?」

「ですわね。それに店長さんならこちらの情報を漏らすとは思えません」

「そうだね」


ということで、店長さんに海向こうのバウシャイとか大陸で戦争していることを話すと……。


「なるほどな。ま、俺はただの冒険者だったから、全体の戦況っていうのは分からないが、妙なところにとどまるのは悪手だな。それはタナカの判断に賛成だ」

「やっぱり、店長もそう思うかー」

「ああ。そこはあぶねぇから避けた方がいいだろう。味方と一緒に向かうべきだな。方針に関しても、シャノウだったか? そこの町で情報を集めるのが大事だ。まずは向こうの情勢を見極めな。しかし、魔族ねぇ。ノールタルの嬢ちゃんやゴードルの旦那みたいなのが暴れているのか?」

「全然似ていませんわ。全く別の生き物でした」

「ええ。完全に化け物でしたよ。というか、ゾンビを沢山混ぜた感じですかね?」

「そりゃ、嫌な魔族だな。ま、そういう状況がわからないときにやみくもに動くのはやめといたほうがいい。しっかり情報を集めて動くのがおすすめだな」


うん。やっぱり情報を集めるのが一番かー。

でもなー、ドローンでの監視も辛いんだよね。

あれはつらい。

と、憂鬱になっていると、晃が店長に話を続ける。


「そういえば、俺たちのことはいいとして、ルーメルは今どうなんです? リリアーナ女王が魔族を纏めてある程度経ったでしょう?」

「ん? ああ、魔族の国ラスト王国が正式に認められて、復興の最中だな。おかげで出稼ぎの仕事ができて戦争での難民も減っているみたいだ。ま、ルーメルは直接的な被害はなかったけどな。ロシュールやガルツは今回の終戦で助かっているな。魔王のおかげで同士討ちをしていたんだからな」


あー、そっか。

世間的にはそうなってるんだっけ?

ま、戦争がなくなったならいいのか。

無事に復興しているといいな。

それで思い出したけど……。


「そういえば、途中で別れたローエル姉ちゃんってどうしてるんだろう?」

「ああ……そういえば、どうなったんだろうな」

「すっかり忘れていましたけど、普通に統治や従軍をしているのではないでしょうか? 何せガルツの第二王女様ですし」

「まあ、そうだけど、別れた時は一応軍を率いてノルマンディーに来るって言ってなかったっけ?」

「いや、それを言うと、一か月もたたないうちに連合軍を移動するとかできないだろう?」


あ、そっか。

ローエル姉ちゃんだけが移動するわけでもないもんね。


「それに、元々ローエルさんはノルマンディーへの防衛を整えるのと、支援物資を運ぶというのが主な目的ですからね。私たちと一緒にほかの大陸に行くというわけにはいきませんわ」

「ナデシコの言う通り。ローエル将軍は戻って小国の要請でルーメルまでの魔物退治に出ているって話を聞くな。とはいえ、まだ一か月そこらだ。進軍速度を考えるとそこまで早くはないだろう。ノルマンディーの難民騒ぎに関しては、ルーメルの方からも支援を出しているって話だな」

「あー、そっちもちゃんと上手くいっているんだ。よかった。あのままじゃノルマンディーが干からびるしねー」


ノルマンディーに到着したときは、いつ食料が底をついて暴動が起こってもおかしくなかったんだよね。

ギリギリ私たちが間に合って田中さんが物資を供給して事なきを得たんだ。


「でも、そうなるとローエル姉ちゃんと合流するのはまだ先だよねー」

「というか、大陸向こうまで行くわけにもいかないだろう? お姫様だし」

「晃。それを言ったら、連合軍の大将であるエルジュとか、ラスト王国の女王とかも来てるんだけど。あとユーリアも」

「今更ながら、ものすごいメンバーですわね。何かあれば国が一気に傾きそうですわ」

「話を聞いた俺も驚きだよ。まあ、魔族の関係でのトラブルだしな。連合軍が出張るのも当然だがな。ここで放置して騒ぎが大きくなればそれこそようやく落ち着いてきた各国が戦争に傾きかねない」


そこなんだよなー。

なんで、また魔族なんて名乗ったのかなー。


「そういえば、店長はノルマンディーの魔族騒ぎは知っているみたいだけど、各国はこの話を知っているんですか?」

「うん? まあ、知ってるだろうな。俺が知っているぐらいだ。各国の情報網で得られないわけがない」

「うげっ、それってまずくない? リリアーナ女王たち魔族がまた戦争に巻き込まれる?」

「いや、それはないな。今は戦争が終わってようやく落ち着いてきたところだ。真実がどうであれ、わざわざ人を襲いもしない魔族に対して戦争を仕掛ける理由もない。なにせ戦争は金も物資もかかるからな」

「なるほど。命の危険もないのなら戦争をする理由がないのですね」


そっかー。

今まで必死に魔王と魔族を倒せって言っていたのは敵だったからというか、こちらの身を脅かす存在だと思っていたからか。

だから、リリアーナ女王がトップになったラスト王国と戦争を起こす理由もないのか。


「ああ。今まで魔族と魔王は人を脅かす存在って言われてきたが、悪いのは魔王だけでその魔王は倒した。魔族は魔王を押さえていた良き友人だったわけだ。実際、魔王を倒してから平和になっているしな。ま、妙な野心を持っている国がいない限りは静かだろう」

「じゃ、心配はいらないんだねー」

「いや、さっきも言っただろう? 各大国が魔族は敵でなかったという宣言は出したが、それで納得しない奴もいる。魔族は絶対的な悪だっていう連中もいるしな。いままで不幸事はすべて魔族が悪いって言っている連中にとっては嫌なことだろうよ」

「そういうのがいるのかぁ」


どこにでもそういうクソはいるよね。

誰かが悪いと思ってないとやってられない奴。


「ま、そういうのはいるが表立って動くこともないだろうさ。ルーメルも含めて4大国は今手を取り合っている状態だ。お互い痛い思いをして魔王を倒したんだ。ここでわざわざ戦争なんか起こすような態度をとれば、4大国から総攻撃を受けることになる。そんな馬鹿をするわけはないだろう」

「念のために行動しているというわけですね」

「ああ、そうだな。ここで魔族を虐殺されれば魔族が本当に人の敵になるかもしれないからな。わざわざ助けた相手を殺すのも国としては面倒だ。何より、今回遠征に行った連中は少なからず嫌がるだろうからな」

「それはそうだよねー。助けた人たちをわざわざ殺すとかしたくないし」


まあ、田中さんなら敵なら殺すとかあっさり言いそうだけど。


「じゃ、しばらくは平和ってことですね」

「そうだな。あそこまで大規模な軍が動いたんだ。各国はまず今までの戦争とか軍事費を回復するためにしばらくは平和だろうさ。ま、小国が動き出す可能性もないことはないが、やっぱり分が悪いしな。今回のことで従属国に無理な支援を求めなければ戦争なんてことにはならないだろうさ」

「ふーん。あ、平和ってことなら各国に移動できるってことだよね?」

「まあ、別に国境が封鎖されているわけでもないからな。なんだ、行ってみたい国でもあったか? まだ海の向こうで用事があるんじゃないかったのか?」

「ああ、うん。シャノウでの情報収集は大事だけどさ。僕たちも帰る方法を魔術だけじゃなくて遺跡からも何かヒントがないか探そうと思ってさ。ほら、魔術のこととなるとマノジルさんとかに任せきりでさ」


そう、この大陸が平和になったなら、こっちでも古代の遺跡でも探してゲートみたいに帰る方法があるかもしれないから探してみてもいいと思うんだ。


「なるほどな。確かに古代の遺跡なら、ヒカルたちが帰る方法もあるかもしれないな」

「何かそういうお話は聞いたことはありませんか?」

「いや、残念ながらそういう道具がある遺跡が見つかったみたいな話はないな」

「でもさ、その道具を道具って認識できてるかな? 見たこともない物でしょう?」


使い方がわからないと、凄い道具でもただのガラクタだし。

実は今まで見つかっている遺跡でそういうのがあるかもしれない。


「ああ、そういうことか。なら、今まで見つかっている遺跡の情報でも聞いてみるか?」

「はい。教えていただけるなら。でも、ただで良いんですか?」

「別に隠すことでもないからな。冒険者ギルドの資料庫にも載っているようなものだ。俺の話を聞いて詳しくギルドで調べてもいいだろうさ」

「へー。結構遺跡ってあるんだ?」

「あるぞ。昔国があった名残とかな。意外と探すとあるんだよ。そのなかで変だと思う、何かあるようなところだが……」


こうして店長から怪しい遺跡の場所を聞いて明日調べようと思うのだった。

でも、こっちの大陸にいつまでいるんだろう?

明日田中さんに聞いてみるかな。



一応ロガリ大陸は落ち着いているようです。

その間に遺跡から何かしらのヒントが見つかるのか?


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