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レベル1の今は一般人さん  作者: 雪だるま


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第271射:魔族という存在

魔族という存在



Side:ナデシコ・ヤマト



意外なことに、魔族であるノールタルさんがやってきても避難民の人たちは慌てることはありませんでした。

私はノールタルさんが声を出して気を引いた瞬間、パニックになるのではと血の気が引いたぐらいです。

下手をすれば私たちの手で避難民を制圧しないといけなくなる可能性もありましたから。

それで、物資を配り終えた後に話を聞いてみると……。


「ああ、大和君たちの人望を信じた。パニックになっても避難民をおさえてくれるってな。ほれ、聖女さんもいるんだからそれぐらいはできるだろう?」

「え? あ、はい。無用なトラブルは避けるように努力はしますけど……」


いきなり話を振られたエルジュはできないとは言えずとりあえず返事をします。


「ほら。大丈夫だろう?」

「……わかりました。で、田中さんはノールタルさんを連れてきて魔族に対する反応を見ていたわけですね」

「え? そうなの?」


光さんが驚いた表情になります。

ただ単にノールタルさんはお手伝いに来たとばかり思っていた顔ですね。


「光。忘れてないよな? ノールタル姉さんも一応魔族だぞ」

「アキラ。一応じゃなくてちゃんとした魔族だ。なあ、リリアーナ」

「はい。姉さんは立派な魔族ですよ。小さいけど」

「んだ。小さいけど、本物の魔族だ」

「ええ。魔族です」

「セイール以外は悪口に聞こえるね」


確かに悪口に聞こえますね。

まあ、本人たちは小さい可愛らしいという意味で言っているのでしょうが。


「ま、ノールタルが小さいのはこの際いいとして、物資を配り終わったゴードルを見ても避難民は驚いた様子はないから確実に魔族っていうのは別のことを指す言葉なんだろうな」

「ひどいっ!? ヒカリ、かわいそうなお姉ちゃんを助けてくれ」

「なんてかわいそうなノールタル姉さん! 小さいのがそんなに悪いのか!」


なにか、田中さんの横でちょっとした劇が始まりましたわね。

ですが、それも長くは続きません。


ジャコ。


「話を進めてもいいか? それとも運動でもするか?」

「「すみませんでした」」


銃を構えた瞬間、2人は即座に謝ります。

最善の行動ですね。

田中さんはやると言ったら絶対やりますから。


「よし。じゃ、話を再開するぞ。魔族っていうのは避難民にとっては別の意味を指す言葉のようだ。となると……」

「彼らが本当に別の大陸から来たというのが濃厚ですわね」

「よかったじゃん。これならあとは避難民の人たちに魔族っていうのはやめてって説得すればいいんだしさ」

「そうだな。これでこっちの魔族は安全だが。これから俺たちは避難民が恐れている魔族に対しての対策を立てないといけない」

「え?」


光さんは意味が理解できてないみたいで首をかしげています。

なので、私から……。


「その魔族とやらが、海を渡ってこちらに来る可能性があるわけですね」

「そうだ。その可能性がある」

「えー。海を渡ってくるかなー」

「別にそれならそれでいい。だが、何も知らないで慌てるのは勘弁願いたいからな。敵の情報は集めているに限る」

「そうですね。脅威があるのなら知っていて損はないはずです。私はタナカさんの意見に賛成です」


そうエルジュも賛成してくれます。

こういうところはちゃんと押さえる。

流石聖女というところですね。連合軍を率いていただけはあります。

姉のセラリア女王はまだまだといっていましたが、私から見れば十分にすごい人です。

と、そこはいいとして、今は話の続きですね。


「聖女さんの同意はもらった。あとは、ルーメルの方の許可だが……」

「私も問題ありません」

「そうですな私も異存ありませんぞ。むしろ賛成ですな」

「じゃ、これから避難民たちのいう魔族について情報収集をするとしようか。で、誰が代表者とか聞いているか?」


その田中さんの質問に私たちは全員首を横に振る。


「申し訳ございません。私たちは治療に専念していましたので」

「うん。あとけが人たちの中に代表者とかいても話は聞けないしね」


光さんの言うようにあの中に代表者がいても話は訊けないでしょう。

というか、病人が代表者のわけがないです。

代表者がいたとしても別の方が代わりをしているはずです。

そうでもなければ身動きも取れませんから。


「ま、そりゃそうだな。じゃ、物資を運んでいたゴードルたちの方は?」

「おらたちの方は倉庫だべ。警備の責任者ぐらいだべよ」

「ですね。おそらく、避難民の大半は停泊している船で寝泊まりしているようですから、食事を運ぶついでに代表者とお話をすればいいのではないでしょうか? あと、領主様の許可がいると思いますので、一度物資の受け渡し、治療の報告もかねてはいかがですか?」

「採用」



リリアーナ女王の提案に即決した田中さんに従って、私たちは物資の運び込みと、治療の報告を領主様に会いに行ったのですが……。


「ああ、助かりました。本当に助かりました」


と、会うなり目に涙をためながらお礼を言ってきました。


「このまま物資が尽きればとんでもないことになっていましたから」


確かに、ノールタルさんやセイールさんのお話では物資は空っぽに近くもうあと一週間の分もなかったようです。

しかも、それは兵士たちの食い扶持も含めてです。

……下手をすれば兵士たちが反乱、避難民たちと激突というのもありえたそうです。


「本当にギリギリだったんですね」

「はい。陛下から物資を送ってもらっても追い付かず、目の前が真っ暗になったときに連合の方々がやってきてくれた。本当にありがとうございます」

「感謝は受け取りましたわ。ですが、これで終わったわけではありません。それはわかっておりますわね?」

「はっ。ユーリア様。これから、私たちは避難民の居住地の確保と交流を深めていかなければいけません。受け入れたのですから」

「ええ。その通りです。一度受け入れた者たちを追い返すことにならなくて本当に良かったです」


ユーリアもほっと一息つきます。

確かに、助けるといって迎え入れた人たちを追いだすというのはとても外聞が悪いですからね。

下手をすると領民と避難民が戦うことになっていたかもしれないとなると、とんでもないことです。


「で、さっそくなのですが、私たちは避難民たちが話す魔族について調べなければなりません。誰か避難民でお話をできそうな方などはいませんか?」

「ああ、確かにその話は大事ですな。目の前の緊急事態にどう対応するか必死になっておりました」

「ま、物資の奪い合いは悲惨だしな。何も間違ってないと思うぞ」

「ありがとうございます。タナカ殿。貴方もその手の苦労があって?」

「寒村にいけばどこでもそうさ。そして戦場もな」

「……世知辛いですな」

「なに、どこにでもある話さ」


意外なことに田中さんが同意を示して、領主様も苦笑いをしながら話をするが、ちょっと、ハードすぎる内容ではないでしょうか?

いえ、田中さんの言う通りきっと地球のどこかでは寒村と呼ばれるような村があり人が死んでいるのでしょう。そして戦場でも。

とはいえ、それをこともなげに話す田中さんと領主様はきっと……本当にどこでもある話なのでしょう。


「はいはい。苦労したのはわかったけど、話が脱線しているよ。そういうのは夜におっさんたちだけでやってくれないかい?」

「お、すまん」

「これは失敬。では、マノジル殿、ゴードル殿も交えて夜に飲みますか」

「いいねー」

「おー、それはいいですな」

「んだんだ」

「誰が酒飲みの話をしろっていったよ?」

「「「すみませんでした」」」


意外と余裕がありますね。

いえ、こんな話ができるぐらいになったと思うべきでしょうか?

まあ、そこはいいとして。


「3度目はないよ。で、避難民の代表者はどこにいるんだい?」

「はい。避難民の代表者でしたら、船の方に」

「船っていうと、避難民がのっていた船かい?」

「ええ。今のところ下ろしているのはけが人病人だけですからね。なにせ600人もの避難民を受け入れる場所がありませんから、そして何より彼らも私たちから出ていけと言われるのを覚悟しているのでしょう。せめて病人、けが人だけでもということでしたから」

「向こうの代表者もこちらの事情を察するだけの立場にあるということですね。それは幸いです。それなりの情報は持っているでしょう。それで、その代表者のお名前は?」

「その方のお名前は……」


領主様がそう名前を口にしようとすると……。


「ゼランという」


私たちが入ってきた扉の方からそんな声が聞こえてくる。


「へ? なんて?」

「ゼランだよ。貴方たちがいう避難民の代表者さ」


振り返ると、そこには綺麗な青色の髪をポニーテルにまとめた二十歳ぐらいの女性がたたずんでいた。


「いらっしゃい。ゼラン殿」

「お邪魔しているよノルマンディー殿。私の話をしていたみたいだからお邪魔させてもらったよ」

「ええ。構いませんよ。こちらとしても好都合です。皆様、こちらが今お話になっていた避難民の代表者であるゼラン殿です。ゼラン殿、こちらは我が国の庇護者であるルーメル王国のユーリア姫様。そして、そのルーメル王国と比肩する3大国をまとめ上げた連合の大将であるエルジュ殿です」

「ああ、彼女たちがけが人、病人たちを治してくれたんだね」

「あれ? 知ってるの?」

「知っているさ。ありがとう。おかげで助かったよ。で、物資もあんたたちだろう? そっちの大男が荷物をもって行ってるって聞いたよ。そっちもありがとう。本当に助かったよ」


そう言ってゼランさんは私たちにお礼を言います。

すると、エルジュが一歩前へ出て答えてくれます。


「いえ、困ったときは助け合うべきです」

「そう言ってもらえるとありがたいよ。渡すものなんて何もないが、何か手伝えることがあれば言ってくれ。恩は返す」

「そうですか、では早速。今までのお話を、そして魔族に関しての情報を教えていただけますか?」

「そんなのお安い御用だよ。といいたいけど、待ってくれないかい。話すのはいいが時間がかかる。ここに来たのは今日の分の物資の交渉に来たんだよ。で、領主殿、今日はこの人たちが物資をもってきたわけだから、多少はマシかい?」

「ええ。今日は全員分ありますよ」

「そんなにかい!? この人たちが持ってきたっていっても、数量に限界が……」


なるほどゼランさんは私たちがアイテムバックを持っているとは思ってないんですね。


「驚くのは自由だが、さっさと持っていく手はずを整えないと夜になる。俺たちが話を聞く時間も少なくなるからまずは行くぞ」

「あ、ああ。わかったよ」


ということで、私たちはまずゼラン殿たち避難民の物資を運ぶ手伝いをするのでした。



別の生き物の魔族がいるようです。

さてさて、どんな奴がでてくるのか?

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