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レベル1の今は一般人さん  作者: 雪だるま


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231/523

第230射:夜の城へと

夜の城へと



Side:タダノリ・タナカ



『こっちは予定通り突入するつもりだが、そっちの方はサポート行けそうか?』

「問題ない。レジスタンスの方もある程度話がまとまっているからな」

『へえ、意外だな。難航すると思っていたんだがな』

「デキラのやつが恐怖政治をやってくれているおかげでな」

『なるほど。まあ、あのリリアーナから政権を無理やり奪ったから、そうするしかなかったか』

「ま、そうだろうな」


と、俺はどこかのダンジョンマスターと話しながら、夜の町を歩いていた。

理由は仕事。


「しかし、なんでまた急に今日になった」

『いや、レジスタンスの結成が失敗したら、合流される前に、トップを潰しておきたいだろう?』

「なるほど、戦力が増えるのが嫌だったか」

『そうそう。デキラのやつが使える戦力を減らしたいからな。連合軍もロシュール側の関所を突破することになっているから、そこで戦力を消費するのに、敵の数は増やしたくない』


そりゃそうだろうな。

敵が増えるのは避けたいのは当然だ。

それが阻止できるなら阻止するのは当たり前か。


「話は分かった。で、デキラの位置はどこだ?」

『場所は執務室だな。ま、こっちが仕掛けるのは深夜だから、寝室に移動していると思うが。狙撃位置は確保できそうか?』

「執務室、寝室どちらとも射線が通る場所があるから問題ない」

『おう、流石傭兵さん。頼りになるね』

「お前が寄越した図面があるからだよ。それに、ドローンでも場所を確認しているから問題ない」

『じゃ、後は魔王を倒すだけか』

「ああ。俺の手を煩わせてくれないことを祈る」

『俺も同じだな。直接向かうから一番危険なんだよな』

「その時は、俺がお前にとどめをさしてやるから心配するな」

『味方を撃っているからな?』


こいつをここで始末したほうが、世界のための気がするが、……今はやめておくか。

色々大変になるのは目に見えているし、こいつを殺せるとは全く思えんからな。


「冗談だ」

『冗談には聞こえないけどな。間違っても嫁さんを撃ったら戦争だからな?』

「わかってる。だから冗談だって言ってるだろ。で、俺がやるのはしくじった際の援護だけでいいのか?」

『基本的にはそうだな。狙撃手なんて位置がばれたら終わりだろう? お前がデキラも全てやってくれるのならそれはそれで楽なんだが?』

「バカか、そんなことできるか。俺たちはあくまでもサポートだ。お前たちが手柄を上げるのが大事だろうに。ついでに、リリアーナ女王のケジメもあるだろうが」


そう、わざわざ乗り込んでデキラを倒す理由はそこだ。

色々な不確定要素はあるが、リリアーナ女王がデキラの最後を見届けるのが目的だ。

本当にただデキラを倒すだけなら城ごと爆破するだけでいい。

それで生きているなら、それはそれで魔王の実力が測れるから儲け物だ。

今後のラスト国の統治に関わるからな。


『ま、別にリリアーナ女王は連合軍を呼び込んだ功績があるからな。問題はないんだが。本人がどうしてもってな』

「そりゃな。あれだけやられたんだ一発二発は殴りたいだろうさ」

『話は聞いているし、怪我をしたときの姿もみているからな。それは分かるが、危険度が大きいんだよな。死なれても困るし、城ごと消し飛ばすわけにもいかないときたもんだ。面倒だ』

「……」


コイツと同じ思考なのが少し腹立たしい。


『ん? どうした?』

「いや、究極的にはそうすればいいんだろうがな。連合軍を動かしている以上、魔王は必要で、簡単に討伐できる状況が必要ってのが問題だな」


そのためにコイツと俺は動いている。

ああ、いや、俺の方は魔族の一般人が戦争に巻き込まれるのを阻止するためってのがあるんだが。


『まったく面倒な話だ。とりあえずできることだけはする。そのためのお前だ。頼むぞ』

「できることしかしないからな」

『それでいい。倒せない時は、逃亡のサポートぐらいはしてくれ』

「了解」


そんなことを話しているうちに、町を抜けて城へとたどり着く。


「さて、これから侵入するからこっちから喋ることはしないぞ」

『おう。頑張ってくれ。俺たちが行動を開始するのは2時間後だから、頑張ってポジションについてくれ』


それは当然。

既にルートは確立しているから、さっさと堀を泳いで中に……。


ドンッ!


そんな音がしたと思ったら、俺の目の前には人の大きさほどの石が投げられて転がっていた。


『どうした大きな音がしたが? 壁のぼりにしくじったか?』

「いや、どうやら、デキラの警戒網を侮っていたようだな」


俺はそう言いながら、石が飛んできた方向に振り向くと。

そこには、大男が立っていた。


「ふん。どこの誰だが知らんが、今は外出禁止が告げられているのを知らんのか?」

「ああ、すまない。最近ずっとこもりきりで、外の空気が吸いたくなってな」


とりあえず、俺を人とは認識してないようで、話しかけてきたので受け答えをしてみる。

見逃してくれるとありがたいんだが、こんなところで騒ぎはごめんだ。

散々結城君たちに気を付けろと言っていて自分が見つかるとか恥ずかしい限りだからな。

というか、メルの親父さんがさっそく行動を起こしているってことが確認できてうれしい限りだ。


「昨日の今日で我慢のできんやつだな」

「悪い。今から戻るから勘弁してくれ」


俺はそう言って、横を通り過ぎようとするが……。


「ふんっ」


ドゴンッ!


持っていたハンマーを思い切り振り降ろしてきた。


「おいおい。見逃してくれるんじゃないのか?」

「お前はデキラ様に盾突くリリアーナ派の連中だな。デキラ様が言っていた。夜に出歩く連中は敵だと」

「おー。意外と働いてるじゃないか」


デキラがこうして警備要員を回しているとは思わなかった。

事前の偵察でも見当たらなかったしな。

いや、一本取られた。

だが……。


「ちょっといいか」

「なんだ? 仲間の居場所を吐くのか?」

「いや、そのつもりはないが、ほかに仲間はいないのか? 巡回にしても二人一組じゃないのか?」


そう、なぜかコイツ一人しかない。

てっきり他のやつが連絡に行ったかと思ったが、足音も聞こえない。

となると、こいつは何だということになる。

まさかとは思うが……。


「はっ! それは俺が優秀だからな! この四天王になったジェスタ様なら不可能はない!」

「……」


どういうことだ?

四天王はゴードル、レーイア、ザーギス、そしてデキラじゃなかったのか?


『あー、そう言えば、リリアーナから聞いたな。ザーギスとレーイアがいなくなったことで、代わりにジェスタが四天王になったとか言ってたな』

「初耳だな」

『必要な情報か?』

「ま、それもそうだな」


目撃者は消すっていうのがこういう潜入行動のお約束だ、寝かせるなんて面倒な真似はしない。

幸い探しに来るやつもいないって本人が教えてくれたからな。

心置きなくここで消せるってもんだ。


「何をぶつぶつ言っている! 命乞いは無駄だ! お前も広場に吊るしてやる!」

「それはそれは、アレはお前の趣味か」


ちょっとまて、こいつを消したらそれはそれで問題があるんじゃないか?

そんな考えがよぎって、バカに対する攻撃をやめて回避に徹する。


「くそっ!! ちょこまか逃げるな!」


力は確かにある。地面を殴れば石畳が割れて飛び散る。一発でももらえばきっとミンチだろう。

だが、俺をとらえられなければ意味がない。

さて、火力は分かったが、これじゃな……。

とりあえず、攻撃をかわしつつ、雇い主へ連絡を取る。


「おい、お馬鹿とはいえ四天王を消したら警戒しないか?」

『警戒しようがないだろ。今日トップを消すか、バレる予定だからな』

「ああ、それもそうか。むしろ……」

『ここで消した方が、後々面倒がなくていいぞ』


ということで、やっていいと雇い主から許可が出たのなら話が早い。


「きさまぁー!」


なんか怒っている様だが、俺からすれば、なんでこんなどんくさい奴に捕まる奴がいるのかという不思議な気持ちでいっぱいだ。

まあ、おそらく部下の兵士に捕まえさせていたりするんだろうが……。

そんなこと考えつつ、ホルスターからサプレッサー付きの銃を引き抜き、狙いを定めることもなく、目の前の大男であるジェスタとかいうやつに向かって引き金を引く。


プシュ、プシュ、プシュ……。


あれだけ体が大きいのだ、別に狙わなくても当たる……のだが。


「ええい! じっとしろ!!」


……何やら全然効いていないようだ。

バケモノと言うやつか?

確かにあの筋肉なら銃が防げても……ってそんなわけないか。

おそらく、魔力障壁を物理障壁として使っているからバカの肉体まで貫けないだけか。

結城君たちの訓練でその規模の魔力障壁の展開はしてもらったからな。

流石は、バカとはいえ四天王と名乗っているだけあるのか?

ま、だからといって手段がないわけじゃないがな。


「いい加減にしねぇ!!」

「ああ、そうだな」


俺ものろのろと迫ってくるバカの意見には同意だ。

ここで無駄に時間を食っている暇はない。

この後が本番だからな。


ガオンッ!


先ほどとは比べ物ならない音が辺りに響く。

さっさと片づけたかったとはいえ、やりすぎたか? と思うが、下手な銃ではこのバカが傷をつけられないからな……。


「……あ? な、んだ?」


ま、その判断は正しかったようで、ジェスタは突進をやめて、口から血を吐き出しながら、そうつぶやいて倒れ伏した。


ドズン……。


「倒れた音の方が銃撃音よりひどい気がするのは微妙だな。とはいえ、流石S&Z M29」


俺は手に持っているリボルバー式の44マグナム弾を発射したM29に視線を向ける。

流石エンジンをぶち抜くとされる、大型の猛獣用の弾丸。


「あ、ぐ! きざば、なにを……」


しかしながら、そこは四天王と名乗っただけあってまだ生きている。

普通の人なら、マグナム弾は腕や足に当たっただけでも吹っ飛んで、ショック死するものだが、このジェスタは胴体に当たっても喋ることはできるみたいだ。

とはいえ……。


カチャ。


俺は引き金を引いて……。


「や、やめ……」


どうやら、バカでも俺が持っている物が武器だと認識できたようで、そんな言葉を口にするが。


ドズンッ!


命を助けるわけもない。


「あーあー、手がしびれる。こんなバケモノ銃を使うぐらいなら手榴弾の方がよかったな」


相変わらずマグナム弾は衝撃が強すぎる。

人を倒すにはこんなバカでもない限りオーバーキルだな。

とはいえ、デキラも同じような能力を持っているとみていいだろう。

それだけは、今回の戦いで得るものはあった。

だから……。


「ゾンビにならないように焼いてやるよ」


とうことで、ガソリンをまいて火をつけてから俺はその場をさって、今回の現場へと向かうのであった。



新参四天王ジェスタ登場!

しかし、44マグナムという、バイオのボスたちですら容易に屠る武器に敗北!


かがくのちからってすげー!(ポケ〇ン風)


そして、田中とユキはラスボス戦へ。



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