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レベル1の今は一般人さん  作者: 雪だるま
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第171射:懸念はつぶしていこう

懸念はつぶしていこう



Side:ヒカリ・アールス・ルクセン



「俺が空気読めないと思うならそれでいい。だが、間違ってもひっくり返されるわけにはいかん。だからドローンの偵察をしっかりするぞ。間違ってもリリアーナ女王やゴードルが襲われるところを見過ごしたなんてのが無いようにだ」


そう言われて、僕たちは浮かれていた気持ちを切り替えて、ドローンの偵察を再開する。

でも、何か違和感を感じている。


「……ねえ、田中さんなんかピリピリしてない?」

「……光さんもそう思いましたか?」


僕は撫子と組んで監視をしているんだけど、撫子も同じように田中さんの違和感を感じていたみたい。


「撫子もそう思ったんだ。でも、なんでだろう? まあ油断をするなってことなんだろうけど」

「……私もそういう意味だと思いましたが、何か焦りのようなものを感じました」

「だよね。あれだよ、クソ女の時の感じ」

「ああ、あのジョシーの時の雰囲気に似ていますね」

「でしょう?」


そう、僕たちが全滅しかけた相手、笑顔で人を殺せるクソ女。

田中さんと同じ傭兵団にいたとかいう話。

そして、田中さんが僕たちを囮にして殺した女。

田中さんが僕たちを囮にしないと倒せないと判断した相手と同じようにピリピリしているんだよね。

だから、田中さんの言うことに同意したというより、あのピリピリに反応してみんな返事をしたと思う。

なんでだろうと考えていると、不意に撫子があることを口にする。


「……まさか、同じように魔族の方でも召喚を?」

「それは……」


ありえないと言えなかった。

ルーメルの人が異世界から勇者を呼び寄せたように、魔族が異世界に助けを求めても何も不思議じゃないよね。


「……まさか、また傭兵が来るのかな?」

「否定はできませんわね。ちょっと、そのことを田中さんに報告してみましょう」

「うん。そうだね」



ということで、僕たちは田中さんの所へ向かい。

召喚の可能性について説明をすると……。


「なんか嫌な予感がしたが、その可能性か。何か忘れていると思ったが、そこか」

「タナカみたいなのが呼び出されたら勝てる気はしないね」


ノールタルさんの言う通り、田中さんが敵として現れたら、勝てる気なんてしない。

というか、すぐに殺されるね。


「となると、明日の話はリリアーナ女王とゴードルにこのことを伝えることだな。あとはこっちでデキラの位置を偵察するってのがいいだろう。最悪ドローンで爆破はできるからな」

「そうだね。ま、町の案内は任せてくれ。私の庭みたいなもんだからね」

「お城の方は、リリアーナ女王に聞けばいいしね」

「農場の方はゴードルさんですね」


一応、全部はカバーできるけど、召喚て隠れてというかしっかりした建物の中で行うものだからそう簡単に見つかるとは思えないんだよね。


「とりあえず、今日は目星を付けよう。幸いデキラは確認できているんだ。奴を監視していれば最悪召喚をしたとしても不意を突いてそれを叩き潰せばいい」

「なるほど」


その手があったね。

ドローンっていう便利なものがあるんだよ。それで変態デキラを監視すればいいじゃない。


「暗殺をとも思ったが、それをすると軍部が蜂起しそうだしな。ちゃんと手順を踏まないといけないのが面倒だな」


なんか、物騒なこと言ってるけど、本当に田中さんならやりかねないからなぁ……。


「ま、目標は定まったし、あとは四天王の二人がいつ戻ってくるかだな。探してみるか?」

「え? 探すって、四天王の痴女ともう一人?」

「光さん、痴女ではなく、レーイアさんです。そしてあと一人はザーギスさんですよ」


撫子が訂正してくるけど、あれは痴女で間違いない。

あと一人はなんかそんな名前だった気がする。


「でも、探してどうするのですか?」

「見つければリリアーナ女王にでも伝えてさっさと帰還してもらうように言うんだよ。ザーギスが見つかっていないなら、俺たちも手伝いにはなるしな」

「そっかー。人を探すなら多い方がいいよね」

「それに、四天王の二人が見つかれば、素早くデキラたちを批判できるし、ノールタルたちを故郷に戻せるはずだ」

「その気持ちはありがたいけど、無理はしなくていいよ。この監視は辛いからねー」


と、ノールタルさんはタブレットを見つめながら苦笑いして言う。

だけど、これは僕たちが戦わなくても済むかもしれないことだから頑張るしかない。


「よーし、気合を入れてがんばろー!!」

「そうですわね。頑張りましょう」

「とはいえ、明日からだがな。今は休むぞ」

「だね。今日はゆっくり休んで、明日から頑張ろう」

「あれ?」


そんな感じで、僕のやる気は空回りして、明日を待ってから行動を開始することになった。



「……ということで、こっちでも上空からザーギスたちを探そうと思うんだが、どう思う?」

『いいとおもうべ』

『私としても助かります。しかし、納得がいきました。そういう道具があるからこうしてこの国へこれたんですね。使い魔のようなものですね』

「……使い魔っていうのはよく聞くが、よく使うものか?」

『高位の魔術師はよく使うと思います。人の方はどうか知りませんが。ですが、空を飛ぶ鳥を使い魔にするのはなかなか難しいのです。鳥というのは意外とか弱く、すぐに死んでしまいますから』


インコとか一日餌やらないと死ぬって聞くし。

鳥は基本的に燃費がものすごく悪いっていうよね。

それを、人が意図して遠方まで飛べっていうと、燃料補給が出来ずにすぐに墜落ってことになるのか。


『基本的には小動物。なのですが、そのレベルになると、魔物を使役することが多いですね。テイマーとして魔物を使役したほうが戦力的にもいいので』

「なるほどな。と、話を脱線させてすまない。俺たちはザーギスたちを探すんだが、どっちの方角とか何かわかるか?」

『おそらくですが、ルーメルとは違う方向なのは間違いないかと思います。ザーギスは研究者ですので、軍人であるデキラとは基本的に相性が悪いのでそういうところは避けるかと』

「確かにな。わかったそっちの方向で調べてみる。で、そっちもデキラの方を探ってみてくれ」

『わかりました。まさか召喚をするとは思いませんが、その可能性もなくはないでしょう』

『んだ。あれはいざとなったら何でもやるべよ』

「ゴードルの方も頼む。とはいえ、まあ農作業をしている範囲でいいからな。町や城の方はリリアーナ女王と連携してやる」

『おう。こっちはまかせとくだぁ』


そんな感じで、僕たちは早朝に連絡をしてデキラの召喚疑惑と四天王の捜索を始めることになった。


「で、探すのはいいけど、ルーメル以外っていうと、ガルツ、ロシュール、リテア方面の三つもあるんだけど、どこを探すの?」


このメンバーで全方面の探索はつらいと思うんだけど……。

とはいえ、田中さんだしなー。あのピリピリ具合を考えるとやるのかなーと思っていると……。


「いや、今回はリテア方面に絞る。四天王の戦力がそう簡単に敗れるとも思わないからな。四天王を簡単に一蹴する力があるなら、最初からルーメルに攻め込んでいる。だから、優先するのはデキラの監視とその身辺の調査だ」


おー、助かった。

また徹夜モードになるかと思ったよ。


「とはいえ、アスタリの町の防衛改修工事もしないといけないからな。結城君たちはお姫さんたちと、アスタリ子爵とあって堀の作成だ」


あー、そういえばそんなこともあったね。

色々ありすぎて、すっかり忘れてたよ。


「では、デキラの偵察や、四天王の捜索はだれが?」

「そこは、ヨフィアやノールタルたちに頼むことになるな。まあ、デキラのほうはそこまで接近しなくていい。かなり上空から窺えればいい。詳しいことは俺がやる」


確かに、デキラは変態だけど四天王だし、迂闊に近づけないよね。

あの痴女もドローンに気が付いたし、そこは田中さんがやるべきだと思う。


「で、どっちがどっちをやる?」 

「あ、私が四天王の捜索で、デキラの偵察は町の形を知ってないと大変そうですし。でも、デキラの監視ですからね~、嫌ならこっちが引き受けますよ?」

「いや、私でやるよ。デキラには私が致命的な一撃を浴びせたいからね」


ということで、ヨフィアさんが四天王捜索、ノールタルさんがデキラの監視ということになった。

とはいえ、流石にこの二人だけでずっと捜索をするわけもなく……。


「もちろんキシュアやセイールたちは二人のサポートについてもらうことになるがいいが?」

「はい、まかせてください」

「だい、じょうぶ」


キシュアさんはもちろんのこと、セイールたちもうなずいてやる気を見せている。

まあ、そりゃそうだよね。デキラをとっちめるための行動なんだから、気合が入るってもんだよ。

これで交代の体制も整ったね。


「よし、早速行動だ。俺たちはアスタリ子爵のところに行って堀の製作だ。まだ戦争回避できたとは決まっていないからな。準備だけはしておく」

「「「はい」」」



ということで、僕たちは外に出て土木作業をすることになったんだけど……。


ドゴーン!!


「うははは!! 意外とたのしー!」

「光さん、少しハイになっていませんか?」

「なってないよ、そーれ!!」


ズドーン!!


こんな感じで僕は遠慮なく大火力の魔術をぶっ放している。


「いや、絶対テンション上がってるだろうお前!!」

「細かいな~晃は。別にいいんだよね田中さん?」

「ああ、今回は地面が相手だから、被害も考慮しなくていい、穴を掘る魔術をぶちかませ。掘った堀の整備はアスタリの兵士と冒険者ギルドがしてくれる」


とこんな感じで、堀を掘るために魔術をぶっ放しているわけ。

で、その掘った穴は、子爵、クォレンさん、ソアラさん、イーリスさんに田中さんが手を回してくれたので、後始末も気にすることなく、ぶっ放せるのさ!!


「……すさまじいですな。これは、普通に魔族に勝てるのでは?」

「……子爵。その発想はタナカ殿に首を狙われるからな」

「……勇者ってここまですごいんですね」

「で、あの勇者殿たちを従えるタナカはあれだしな……」


そうそう、僕たちに驚くのはいいけど、ラスボスは田中さんだからね。


「馬鹿か。防衛設備を作っているのは勝てないからだ。勇者の力を過信するな。というかいい大人が若者に頼りきりで情けないという事実を見直せ。あと、後ろにいる雇われ連中、金は出しているんださっさと働け」

「「「はい!!」」」


田中さんの言葉に子爵たちも含めて、兵士や冒険者のみんなが動き出すのはすごいと思うんだけど、なんか間違ってね?

と思う僕なのでした。




デキラが何かを召喚するのか?

その懸念は当たるのか?

四天王はどこでしょう?


すんなり、デキラたち好戦派を押さえることが出来るのか?

いよいよ、魔族との決着が近づいてきているのか!?

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