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レベル1の今は一般人さん  作者: 雪だるま


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第159射:犯人の名前は

犯人の名前は



Side:ヒカリ・アールス・ルクセン



「とりあえず、監視する前に情報をしっかりと確認致しましょう」


撫子はそう言って、コピー用紙を机に広げる。


「えーと、撫子。情報を確認するってどういうこと? もう、ノールタルから話は聞いたから、あとはリリアーナ女王を監視するだけじゃないの?」

「監視するだけでは足りませんわ。とりあえず、わかる限り、お城の間取りを調べて、こちらから仕掛けやすい場所や隠れやすい場所等を調べるのが大事です」

「え? どういうこと?」


説明されてもさっぱりわからない。

ドローンで会って話すればいいだけじゃないの?

僕のその返答に、撫子は難しそうに腕を組んで……。


「どう説明したものでしょうか……。ああ、そうだ。例えば、人通りの多い場所でドローンで話しかけたらどうなるかわかりますか?」

「そりゃー、人目が多いと……って、ああ、そういうことも考えないといけないのか」

「わかっていただけて何よりです。見つかった場合でも即座に離脱できるようにするとか、叫ばれても誰も来ない位置を選ぶとか。そういったのが大事です」

「あー、なんとくなく駄目だなってところを明確にするんだね。あれか、日本でいうハザードマップとか避難所って感じ?」

「そんなものですね」


なるほど。確かにそういうのはいるよね。

そんなことを撫子と話していると……。


「えーと、ハザードマップとかはよくわからないけど、お城の間取り、地図を作るのは有効だと思うよ。このドローンは飛ぶだけで、ドアとかは開けられそうにないからね」


ノールタルの言うことももっともだ。

ドローンは飛ぶだけだからね。ちゃんとルートを把握しないといけないわけだ。


「まあ、最悪ドローンがリリアーナの部屋の窓にぶつかって呼び出すってのもありかもしれないけどね」

「それは他の人にばれる可能性もありますから、なるべく使いたくはないですわね」

「まあね。ああ、あとは、リリアーナが窓を開けて夜風を浴びているとかかな?」

「それがあればいいよね。だけどそれを待つのは……」

「現実的ではありませんね」


だよねー。


「こちらから話を持ち掛けるのが主な目的ですから、相手の行動に期待するのはやめておきましょう。時間がいくらあっても足りない可能性があります」

「そうだね。それは同意だよ」

「そう、思う」


コクコク……。


ノールタルたちも同意してくれる。

というか、言葉はいまだに拙いセイールに喋れない他の女性たちだけど、こうして一緒にいると意外と感情っていうのはわかるもんだね。

いつか喋れるといいんだけどね。

と、そんなことを考えているうちに、撫子はいつの間にか、コピー用紙にお城の間取りを描き始めていた。


「いや、中も見てないのによく書けるね」

「別に見てないところは書いていませんわ。外観を書いて、中にどんな通路があるかはわかっていません。でも、窓はありますので、ドローンの記録映像を見ていれば、窓側の部屋の数ぐらいはわかるでしょう」

「ああ、なるほど」


確かに、窓の数はわかるよね。

それである程度予想を立てて書いているわけか。


「とりあえず光さんたちも……といいたいですが、皆さん間取りの書き方とか知っていますか?」


撫子のその質問に速攻で首を横に振ってこたえる僕たち。

そんなのかけるわけないじゃん。


「ですよね。じゃあ、この地図は私がある程度作りますので、光さんたちは、リリアーナ女王や周りの人たちの動きを監視してください。記録映像からでもいいので、いつもどんな人がいるのかとわかるだけでもいいです」

「わかったよ。ノールタルさんたちもいい?」

「ああ。それぐらいしか手伝えないからね」



そんな感じで安請け合いしたんだけど……。


「えーっと、まずはどこの日から見ればいいんだろう?」

「もちろん初日からですよ」

「初日!?」

「はい。そしてどんな人が出入りしているとかをメモにしたりしてください」

「……それってものすごく大変な作業じゃない?」

「ええ。もちろん。だから皆さんで頑張って下さい」


うわ。こっちが楽だと思ったら、こっちもこっちできっつい仕事だったよ。

とはいえ、やると言った以上やらないといけないよね。


「とりあえず、目標の確認をしよっか」

「目標っていうと、リリアーナのことかい?」

「うん。前にね映像に記録したことがあったんだ」


まあ痴女に邪魔されて終わったけど。

そういうことで、まずはあの時の映像を見て、ノールタルの妹が魔王なのかを確認する。

中庭に出てくる、赤い髪のスタイル抜群の女性だ。


「ああ、これは間違いなくリリアーナだね。相変わらずスタイル抜群だね」

「やっぱり、この人が魔王であり、リリアーナ女王で間違いないんだね」

「王なんて仰々しい呼び方だけどね。まあ、こうして立派になっていてうれしい限りだよ。とはいえ、今はいろいろ大変だろうけど」


そう皮肉をいうノールタルだけど、その表情は笑顔があって、久々に見る妹に対しての喜びがあふれているのがわかる。

と、そんな様子を見ていると、映像にはあの半裸で乳のでかい痴女が現れて、視界が暗転する。


「おおっ。これって、どうなって……ああ、捕まったのか」

「そうそう。この痴女がさ、ドローンを見つけて捕まえたんだよ。まあ、もちろん田中さんがあっという間に消したけどね」


そんなことをしゃべっていると、地図を描いている撫子が口を開いた。


「しかし、彼女は何者なのでしょうね。リリアーナ女王の隣にいられるほどの人物なのですから、それなりの立場のはずですけど。ノールタルさんはご存じないですか?」


どうやらこっちをチラ見しながら、地図を作っているようだね。

器用だね。

と、そこはいいとして、あの痴女の名前とかわかるのかな?

そう思って、ノールタルさんの顔を見ると、ちょっと苦笑いしながら……。


「知っているよ。というか、ラストの国に住んでいて、彼女を知らない人はいないだろうね」

「やはり、かなりの人物なのですね」

「えー。あんな変態痴女が?」

「あはは、ヒカリの意見には同意だけど、あれで、ラスト国の最強と言われる四天王の1人さ」

「「四天王?」」


なんかいきなりバカ臭い名前がでてきよ。

なに? 戦闘になると体力回復してくれる奴がいるの?

それとも「ふふふ、奴は四天王の中でも最弱」とかいうの?

そういうゲーム脳全開のイメージが湧いている中、ノールタルさんの説明が始まる。


「ああ、ナデシコたちは知らなくて当然だね。私たちの国は、ドローンで様子を見ているなら知っているかもしれないけど、結構住み辛い場所なんだ。ちょっと森に行けば強力な魔物がいるし、畑を耕すだけでも一苦労なんだよ」


ああ、確かに、ドローンに映っていた魔物たちは、ちょっとそこら辺の雑魚だよーって感じじゃなかったね。


「ということで、安全な土地を確保するために、魔族は魔物相手に日夜戦いを繰り広げているわけさ。その中でも、とりわけ強力な力を持っているのが、四天王といって、将軍職とは違い、単体の戦力として突出している人たちのことさ。ああ、もちろん四天王って言うからには4人だよ。昔、勇者殿が魔族をこの土地に案内してくれた時に、当時強かった4人に対してその称号を与えたのが始まりだったとか……」


おうおう、昔の勇者様は只のゲーム中毒だったんじゃね?

というか、昔の勇者がゲーム中毒っておかしくね?

だって、ノールタルさんだって精々200歳なんだから、それ以上昔って言うと、戦国時代? いや、徳川の時代だっけ?

とりあえず、その時代で四天王なんて……、普通にいそうだね。

と、そんな僕のアホな妄想をよそに……。


「……なるほど。選ばれた強い魔族ですか。その四天王全ての名前はご存知ですか?」

「ああ、知っているよ。まずは、あの痴女で乳でか女の名前はレーイア。二つ名は真黒」

「二つ名? しんく?」

「そうだよ。四天王にはその強さや特徴に応じて、二つ名が与えられるんだ。レーイアは真黒。真の黒。彼女は炎の魔術の達人でね。まあ、武器を使っての戦闘も相当のものだけど、炎の魔術はそのさらに上を行く。彼女の魔術を食らえば、炭にしかならない。だから真黒」


あの痴女、ただの痴女じゃなかったのか。

でも、真黒って、中二病じゃね?

あ、ここでは現実にできるんだから、中二病じゃないのか。


「戦闘能力ではレーイアと並ぶ、剛腕土壁のゴードル。まあ、名前の通り剛腕で大きなハンマーを持って敵を粉砕して、土魔術で防御をする」

「なんか、名前の割には手堅い戦い方だね」

「手堅いからこそ、強いと思いますわ。そのゴードルという方の容姿は?」

「まあ、大男だよ。デブに近いかな?」

「あーデブの力持ちね」


なんか定番だね。

しかし、こっちはこっちでひねりがない気がする。


「で、次が叡智のザーギス。まあ、魔術研究のバカという噂だね。魔術に長けているというのは聞いたことがあるけど、一体どんな風に強いのかはさっぱりわかっていない。まあ、研究バカだからね」

「あー、インテリ系ね」


こいつも定番すぎる。

研究一筋のバカ。

頭がいいけど、それ以外に興味を示さないとか典型だよね。


「で、最後の奴は、将軍兼四天王を務めているデキラという男。こいつが好戦派の筆頭さ」

「あれ? 将軍職と四天王は別なんじゃない?」

「いや、別と言っていないよ。兼任できるのさ。まあ、歴代の四天王の中でも2人ぐらいで、3人目がデキラってわけさ。だからか知らないけど、どうも人を倒して土地を手に入れるってことに固執しているんだよね。まあ、一番の原因は、ルーメル王国の侵攻を食い止めたことだろうけど、あれ以来動きが活発になった。それもまあ、仕方ない気がするけどね。デキラがルーメルの侵攻を食い止めたんだよね」

「あー、それでか」


だから人を倒せるって思ったわけか。

そして、そのおかげで人望もあるわけね。


「ま、真正面から魔族と戦う気なら、この四天王とどうしても戦うことになるね。流石におすすめしないよ。この四天王の前に魔物の森で、軍勢と戦わないといけない」

「うん。無理だからしないよ」


負ける戦いなんて僕はしないよ。

どう考えても無茶じゃん。


「ともかく、四天王の情報が入って良かったですわ。田中さんは喜びますわよ」

「喜ぶって情報が入ったことはそうだけど、より女王との対話が難しそうだけどね……」


この四人がお城にいるんだからね。

あ、でもデキラは敵だからそこまで四天王と敵ってわけじゃないのかな?


「まあ、このシーンはこれで終わりで、あとは夜のシーンだよね」


そう言って、切り替えると、夜の城が映る。


「夜だね」

「そうそう、あの痴女、レーイアに襲われてから夜の偵察に切り替えたんだよ。まあ、これからは遠方から眺める映像だから退屈だけどね。時たま門兵が入れ替わるだけだし。あ、ちょっとトイレいってくるから、一応みてて」

「わかったよ」


そういって、僕はトイレに立ったんだけど、何か忘れているような気がしているなーと思っていると……。


『デキラがパンツ食べてるーーー!?』

「あ、そんなことあったあった。って、あの変態が四天王のデキラ!?」


と、衝撃的な事実を知ったのであった。





好戦派のトップ「デキラ」は変態でした。

みんなよーくわかったかな?

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