エピローグ
かつて、この世界には「神」がいた。
神は空間を操り、物質を造り、大気を造り、天候を司り、海を造り、生物を造り、音を与え、そして人を造った。
人は神を崇拝していた。
自分たちの存在意義は神のためにあり、その身を神に捧げるのは当たり前のことだと誰もが思っていた。
しかし、時が経つにつれて人は神が望まない進化を辿りはじめる。
科学が発達し、神の存在に疑問を抱き持つ人間が現れたのだ。
その人間はたった一人で人間の存在意義は神のためにあるのではないと訴え続けてきた。
最初は誰もその主張に耳を傾けること者はいなかった。
それでもその人間は主張を止めることはなかった。
やがて少しずつその人間の主張に賛同していく人間が増え始め、神を批判する反信仰組織が結成された。
その思想はどんどん広がり神も看過できないものになっていった。
神は力によって反信仰組織を弾圧しようとしたが、それが火種となり「人神戦争」が勃発した。
神は人間を滅ぼすために「天使」を造り出した。
強靭な肉体と未知の能力を持つ天使の前に人間は徐々に劣勢なり始めていた。
そんな中、人間はある兵器を完成させた。
――― 天使の種子。
天使の身体から製造された宝石のようなちいさな塊は人間に天使と同じ強靭な肉体と能力を与えた。
天使の種子の投入により人間は今までにない戦果を上げ、全人口の3/5を失いながらも神との戦いに勝利した。
神の身体を7つにわけられ、2つをある一族が管理し、残りの5つを世界各地に封印することになった。
人神戦争が終結したのちに強すぎる力を持つ天使の種子を我が物にする為に争いが起こった。
それにより、全ての天使の種子とその製造方法が破棄された。
その後、人間は天使の攻撃を防ぐための要塞都市を築き上げ各々の国を造り上げた。
――― それから500年の月日が流れた。
人間が支配するこの世界は人間同士の争いが絶えなかった。