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first  作者: 真織
4/9

4

夏休み中だけあって、いろんな世代の人で席が埋まっていた。来住は、場内をさっと見渡して、すぐに動き、真ん中より少し後ろで左よりの二席をキープした。

「りか、ここでいい?」

はしゃいでいる。引き込まれて笑いながら、私は来住の確保してくれた席まで行った。

「颯爽たるエスコートぶりだね」

座りながら私が言うと、来住は、

「この日を、ずっと夢見てましたから」

ジョークともつかず言い放ち、私が席に落ち着いたのを見届けてから、隣に腰を下ろした。

「ずっと?」

「うん」

上映までにまだ時間があるのか、照明が落ちない。幕の降りたままのスクリーンは、なんだか手持ち無沙汰に見えた。

「ずっとって?」

更に聞いてしまうあたり、私も狡い。

「入学して、すぐ。部の勧誘されたときから」

来住は、さらさら答える。

「はっきり言って、俺、りか目当てでECS入ったようなもんだから」

ECS。イングリッシュ-カンバセーション-ソサエティ、いわゆる英会話クラブ。文化部にしてはかなり活発な方で、放課後は毎日活動してる。

「理想が、目の前にいたんだ」

なんとも優しい()で私を見る。

「よっく言うよ」

いたたまれずに、顔を背ける。

「そんな理由で、部活決めるなんて」

私が非難口調になると、

「大抵、そんなもんだよ」

来住は断言する。それから、

「そう言う、りかだって...」

言いかけて、止めた。

「いいよ、来住。...私も、同類」

なるべく、普通に言ったつもりだった。















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