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桜の牢獄  作者: コガラシ
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3-1 少女の待ち人

 



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ああ、あの人の声が聞こえる、かすかだけど、あの優しい声が聞こえる。

 声が小さくて何を言っているのか解らない。

 けど、あの人がここに私を助けにやって来たのだ。


 顔を上げると、目の前の牢が消えていて、あの人が外へ向かって走り出した。

 私は助けてくれたあの人を全力で追っかけた、きっと私を外に導いてくれてるんだ。

 あの人は走りながら私を見て、悲痛な顔で何か言っている。

 何故か声はかすれて聞こえない。でも聞こえなくてもいい、

 きっと優しいあの人は「もうすぐ外だ頑張れ」、「俺が必ず守ってやる」

 そう言っているに決まっているのだから。


 私は全力で追い続ける。

 でも、心臓が割れんばかりに走っているのに、

 何故かあの人はどんどん遠ざかっていく、いくら「待って、待って!」と叫んでも、

 声は闇に飲み込まれ、そのまま闇は私の体ごと飲み込んでいった。

 

 私は知っていた、これが夢であることを。


 

 目を覚ますといつもの牢獄、アイツが他の牢の人をいたぶっている音が聞こえる。

 何度この夢を見ただろう、アイツが牢獄の住人を増やしだすより、

 ずっと前からこの夢を何度も見て、

 ずっと前からこの夢が現実になるのを待ちわびている。

 私は窓の外の枝垂桜に祈る。

 "夢が叶いますよう"にと。


 だから、だからだから、だからだからだから、

 ハヤク、ハヤク、ハヤク来て、早く助けに来て

 アナタをずっと待っている、それが私の唯一の希望、救いの蜘蛛の糸。


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