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異世界での職業適性  作者: 子儀
1章 異世界への移住者募集中
28/34

閑話 はぐれ白狼後編

「くっそ、数多過ぎんだろぉが!」

 猟犬の青年がぼやきながら飛び退った直後、彼の影を掠めるようにして一抱えもあるような足が振り下ろされる。頭頂まで響くような地響きは1つだけで終わらず、延々と繰り返されるかのように続く。

 岩鋼亀は数だけで言うならそこまで多くはない。木々に隠れてはっきりとはしないが、20を越えるといった所か。ただでさえ視界の大半を占めるような巨体。青年は無数の岩鋼亀が列を成しているかのような錯覚を覚えていた。

 周りを見れば他の猟犬達も同様に攻めあぐねている様子。生まれ持った闘争心は土石流のような巨岩の奔流を前にして背を向けずにいるが、かと言って前に出れば無為に呑まれるだけであろう。

 実際幾度か白刃が振るわれるものの、巻き込まれないように下がりつつの一撃では、硬い表皮に弾かれるのみであった。

 彼らも熟練の狩人。1頭ずつであれば、いくら巨大で頑丈であってもやりようはある。そもそも彼らの戦いとは、瞬時に決着のつくような見栄えのいいものではない。特に獲物が大型であればしつこく群れで追い立て、少しずつ牙を突き立てて消耗を誘い、獲物の疲労が限界に達した所で初めて喉笛に噛み付く。それが猟犬の狩りだ。

 しかし、彼らの得意とする戦法を取れない理由があった。

 1つはこれが討伐依頼であること。追いかけ続けて脱落した1匹さえ捕えられればいい狩りとは違う。

 そしてもう1つ。

「このまま走らせたら……もうじき村だぞっ!?」

「言わなくても分かってんだよ!」

 岩鋼亀の一群がひた走る進路。その先には、彼らの村があるのだ。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「今日はお前らは留守番だ」

 村の入口にずらりと集まった若衆。その先頭に立つグアルドは、意気揚々と武器を持って飛び出してきた息子達にそう言った。

「えー、何でだよ」

 口を尖らせる息子とその幼馴染達の頭を、傷だらけの無骨な手でくしゃりと撫でた。

「いつもならともかく、今日の獲物は大物らしいからな。さすがにお前達の面倒を見る余裕はない」

 普段彼らが狩っているのは最下級のDランクが殆ど、稀にCランク相当の獣ばかりだ。そもそも食べるためであれば態々危険な獲物を狙う必要はいない。“猟犬”であれば10歳程度の子どもであっても、1対1でDランク獣相手に遅れを取ることは早々ないので群れでの狩りに連れて行く事には大して問題がないのだが、相手がBランクともなればそういうわけにも行かない。

 実際の所モルドも何度か仕事に連れて行かれた事はあるが、それでも留守番の割合の方がずっと多い。その点は理解しているためさほど愚図ることもなく、諭されるとおとなしく頷いた。

「んじゃ、行ってくる」

 見送る息子と妻に軽く手を挙げ、背中を向ける。周りには同じように村に残る家族に一時の別れを告げる仲間達。

 森の中で行う狩りというものは、どれだけ鍛え、熟練することで危険度を落としても、それでも予測不可能な事故というものは起こりうる。簡単な仕事のつもりで気軽に村を出て、そのまま帰る事が出来なかった者もいる。だからこそ生まれた習慣であり、これは必ず帰ると誓う儀式。“猟犬”の耳は非常に優れており、中でも一番の戦士である長はその小さな声を聞き逃すことはない。

 村の入口から少し離れた建物の影、わずかに覗く白い頭に気付いてグアルドは口元に小さな笑いを浮かべた。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「長、このまま真っ直ぐ行って3分の距離に獲物っす」

 目撃情報のあった地点まで、脚力と持久力に優れた“猟犬”がゆっくり走っておよそ2時間と言ったところか。斥候隊が巨体を揺らしながら歩く岩鋼亀を捉えるのは難しいことではなかった。

「おし、相手は文字通り鈍亀だ。さっさと足を潰すぞ!」

『応!!』

 のんびりと1頭で歩く岩鋼亀の姿を視界に収めたと同時、20人程の“猟犬”の群れは一気に散開し、雄叫びを上げながら獲物へと一斉に襲いかかった。

 

 岩鋼亀の胴は厚い甲羅の中に収まり、露出した四肢や頭部は硬い鱗と厚い皮膚に覆われている。そのために有効なダメージを与えられる部位は限られるが、逆に言えばそこを狙えば有効打を与えることは充分に可能という事だ。そして多面的な攻撃により弱点を的確に捉えるのは、猟犬が最も得意とする戦法でもある。

 グアルドを始めとする経験豊富な年長が正面から距離を取りつつ頭を押さえ込み、膂力に優れた者が打撃武器により甲羅の上から内臓にダメージを与える。敏捷性の高い者は膝裏を始めとする関節部に剣を突き立て、経験の浅い若手は距離を取りつつ動きが鈍った部位へのヒット&アウェイ。

 数十、数百と繰り返してきた1つの狩りの完成形。以心伝心の連携は、ただ頑丈なだけで動きの遅い獣などに崩せる術はない。

 数刻と経たず、悲痛の叫びを1つ残して岩鋼亀倒れる。猟犬たちは勝利の雄叫びを上げようとし、それに気づいた。

 森と言っても実際にはそこまで樹木が密に生えているわけではなく、それなりに視界は広い。その限界点、風下の方から地面を揺さぶるような足音がいくつも聞こえてくる。

 その振動は徐々に近づき、邪魔な木々をなぎ倒して姿を現した。

 グアルドは流れる汗を拭いながら、忌々しげに舌打ちする。

「畜生、まさか群れだったか……!」

 

 岩鋼亀の身体は重く、動きは鈍い。その場で方向転換するだけで数十秒はかかるかもしれないその身体は、他の動物達のように、先頭の1頭が狩られたからと言って即座に別の方向に逃げる事はできないのだ。

 だから彼らは危険を感じたとき、常に1つの行動を取る。

 すなわち、敵が正面にいようと全力で前へ走る。

 そもそも岩鋼亀の数トンに及ぶ体重からなる突進を正面から止められる生物など、数えられる程しかいない。さらには全身を覆った甲殻によって、生半可な攻撃は通用しない。進行方向に何がいようと真っ直ぐ走り、押しつぶして逃走するのがそれらの生存戦略であった。

 

「避けろオオオオォォォォォォ!!」


 怒涛の圧力を持って迫る壁を目の当たりにしたグアルドは一瞬硬直したものの、さすがに経験豊富なだけあって反応が速い。全力で叫びつつ傍にいる動きの止まった若者をひっつかみ、全力で横に逃げる。その咆哮に我に帰った他の仲間達も慌ててかばい合いつつ、突進に巻き込まれない位置まで逃げ出した。

 直後、唯一残された仲間の死骸を踏み砕き、岩鋼亀達は空いた空間を埋め尽くすようにして駆け抜ける。決して足は速くないが、圧倒的な質量の前にはその程度は救いにならない。グアルドは昔、土石流の現場のすぐ傍に居合わせた時の事を思い出した。

 最後の1頭が抜けたのを確認すると、長は呆然としたままそれを見送っていた若者達をどやしつける。

「おら、ぼーっとしてるんじゃねぇ! さっさとあいつら追いかけるぞ!」

「えぇ!? 何言ってるんスか、長もあれ見たでしょう! 俺等で何とかなるヤツじゃないですよ! 1匹仕留めたんだからいいじゃないスか!!」

 すっかり気圧された様子で泣き言を言う若者を奮い立たせる間も惜しかった。その頭に鉄拳を落とすと、ただ一言怒鳴りつける。

「馬鹿野郎! あっちに何があんのか忘れたのかっ!!」

 その言葉で彼らは一様に亀達が向かった先に顔を向け、これまで以上に青ざめた。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「ふむ、これは計算違いじゃの」

 いささか呑気とも言える口調で、屋根の上に立つ白狐は森の向こうに見える土煙を見つめる。

「これは後で、情報を持ってきた者に仕置きをせねばならんな」

 あの土煙がここにたどり着くまで10分か20分か。ここまで辿り着いてしまえば、このような小さな村など一瞬で蹂躙されてしまうだろう。

 本来であれば気づいた時点ですぐさま村中の人間を集め、貴重品だけを抱えて村から逃げ出すべきなのだろう。しかし白狐は慌てるでもなく悠然と佇むだけだ。

「白狐ー、どうしたんだ?」

 彼女の足元で屋根にぶら下がっているモルドは、間延びした声で聞いてくる。

(呑気なものじゃのう)

 一瞬浮かんだその考えを軽く頭を振ってかき消した。子どもはそれぐらいでいい。慌てるのは大人の仕事。

「ま、たまには妾が後始末でもしてやるかのう」

 誰もやらなくて済む事をやる気はない。

 誰かができることなら誰かに任せればいい。

 ただ自分しか出来ない時にだけ力を振るおう。

 一見すると怠け者の理論。戦わずして敗者となる言訳。

 しかし彼女の口から吐かれた場合、それは別の意味を持つ。

 白狐は無造作に虚空へ踏み出す。まるで透明な道でもあるかのように優雅に空中を踏みしめ歩く。足元に広がる波紋の向こう、唖然とした表情の子ども達を見下ろすと、口角を釣り上げ声を投げかける。

「お主等もついて来るか? 頂点の一角、その片鱗くらいは見せてやれるじゃろう」

 

 ◇ ◇ ◇

 

 猟犬達にとって、逃げる獲物をひたすら追い回すという行為は幾度となく繰り返されてきたものだ。彼らはそれをひたすらに追従し、群れから外れたもの、足が遅れたものを数頭仕留める。狙われた群れは数頭の犠牲を出しつつも残りは逃げ切る。それが狩りだ。

 しかし、今日ばかりはそういう訳には行かない。1頭たりとて、逃すわけには行かない。

「ボス、1頭止めました!」

 ガラ空きの背後から膝裏をえぐられ、悲鳴を上げて転倒する岩鋼亀。巻き込まれないように迂回しながら、暴走(スタンピード)に並走するグアルドへ後続が報告する。

「何度も言うが倒れた奴はほっとけ、とどめなんか後でできる! それよりこの調子で残りも止めるぞ!」

 応と答えた若手が後ろへ下がり、再び最後尾への追撃を始める。

 全力疾走の最中の関節を狙うのは非常に困難。無闇に攻撃をしても弾かれ、その衝撃は容易に体勢を崩して引き離される。かと言って、

「がっ……!」

 迂闊に近づきすぎて身体に接触した1人が衝撃に弾き飛ばされ、地面に叩きつけられたまま後方へ消えていく。

「ボルボがやられました!」

「ちっ……後の奴らが拾うから放っとけ!」

 既に脱落者は5人目。相手は走行中の軽トラックのようなものだ。元々猟犬は身体が頑丈なために致命傷に至ることはないが、触れただけで軽々と吹き飛ばされ、さらに地面に叩きつけられる衝撃は芯まで響く。

 後ろには同じように吹き飛ばされたダメージで全力疾走が困難になった仲間が後を追っている。万一怪我をしていても、彼らが拾うはずだ。

 普段ならそのような事はしない。猟犬にとって群れの仲間とは狩りの相棒にとどまらず、家族も等しいのだ。

 だが今は脱落した家族を置き去りにしても疾走(はし)るしかない。しかしそれでも――

「やっと5頭……間に合わない、か」

 残り16頭。ここまでの道程で岩鋼亀を落としたペースを考えると、どうあっても村に辿り着くまでに全てを仕留める事は不可能であった。

「街道が仇になるとは……」

 暴走(スタンピード)は小回りが効かないため基本的には直進するが、ある程度走りやすい経路を選ぶ。この場合、猟犬達が森の中を移動してきた道、すなわち村へと続く街道を逆走することとなってしまった。せめて進路をずらせれば良かったのだが、それを行おうとした仲間が一瞬で脱落した時点で諦めざるを得なかった。

「2人、先回りして村の連中を逃がせ!」

 こうなっては村を無傷で守る事も諦めるしかない。村に残った家族達も能力としては連れてきた者より劣る者が多いが、それでも猟犬の端くれ。まさか危機に気づかないという事はないだろうが、念には念を入れて2人を連絡に回す事に決める。

 討伐ペースがさらに落ちる事になるが仕方ない。後は村に辿り着くまでにできる限り数を減らすしか、被害を減らす方法はない。

 そう思った時だった。

 

「――面倒をかけたのう」

 

 風に乗って小さな声が耳に届いた瞬間、グアルドの猟犬としての本能が、岩鋼亀の存在を忘れ全力で距離を取る事を選択する。

 同様の危機察知能力により岩鋼亀の周囲から猟犬達の姿が消えると同時、

「――[フローズン・ランス]」

 急激な質量の発生に、押しのけられた空気が爆発したような錯覚。

 粗末な街道を中心とした視界の届く範囲が氷に覆われ、1本1本が人の身長を越える数百数千の氷柱が切先を此方へ向けて形成される。

 構わず暴走の勢いを落とさない岩鋼亀。簡素な城壁程度なら容易く突き破ると言われる突進は、しかし氷柱の1本に罅を入れることさえできず、逆にその力は岩に等しい硬度を持つはずの甲羅を貫いた。

 甲羅に守られた柔らかい皮膚を傷つけられ、悲鳴を上げる先頭の岩鋼亀。縫いとめられたそれに後続が次々とぶつかり、木々を揺らし地面を抉りつつも完全にその足を止める。

 結果として岩鋼亀は1匹たりとて氷柱の壁を破る事は出来ず、槍衾に後ろから押し込まれる形となった先頭の数頭は百舌鳥の早贄のように無残な姿を晒すこととなった。

 それまでの騒動が嘘のように静まり返る街道。距離を取った猟犬達も、強引に頭を抑えられた岩鋼亀も、何が起きたかを理解できずに動きを止めた。

 唯一理解しているのは、かつて似たような光景を目の当たりにしたことのあるグアルドのみであろう。そして彼は、これで終わらないであろうと感じていた。

 

「ふむ、静かになったか」

 

 凍りついたような沈黙の中、トッと軽い音を立てて氷柱のうち1本の上に降りる赤い人影。その姿は、眼下の岩鋼亀と比べて明らかに小さいが、その存在が発する圧力はこの場を支配していた。

 バサバサと風にスカートをはためかせた白狐は、手に持った身長ほどの簡素な杖でトントンと肩を叩く。

「氷が残るのは不便じゃのう――[ファイア・トルネード]」

 轟ッ! と風が集まり白狐が立つ氷柱を中心として、渦を巻く。

 風の塔が形を為すと同時、空気が燃え上がる。

 白い炎(・・・)の乱舞。ぐるりぐるりと蛇のように蠢くそれは、その身に触れる一切合切を蒸発させる。

 固く目を閉じていても瞼を突き抜ける閃光。地に伏せ、巻き上げられる気流に飲まれないように大地へとしがみつく猟犬達は正直生きた心地がしなかった。

 危機感に引き伸ばされた感覚はその時間がいつまでも続くように感じたが、実際には10秒も経たずに雲散霧消する炎渦。恐る恐る顔を上げてみれば先程見た光景が嘘のように、視界の届く限り続いていた氷柱が姿を消していた。

 残るのはただ1本、白狐が足場としていた氷柱と、気化した水蒸気がから成る薄い霧。

 そして地面に転がる、身体の半分を消し飛ばされた岩鋼亀だった残骸。

「ん、片付いたようじゃな」

 業火の中心にいた白狐は、汗一つかかない平然とした顔で満足そうに頷いたのだった。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「村を守っていただき、感謝しております」

「構わんぞ、元々こちらの不手際じゃ」

 グアルドを始めとして深々と頭を下げる猟犬達に、鷹揚に手を振ってみせる白狐。

「しかし、引き受けた時点でどのようなトラブルがあったとしてもこちらの責任。そこを助けていただいて、何もないという訳には」

 何か礼をさせて欲しいと食い下がる村の長に、白狐は呆れたような溜息をついた。

「相変わらずお主は生真面目じゃのう。むしろ『横から獲物を取られた。謝罪と賠償を要求する』くらい言えるようになった方が世の中上手く渡っていけるぞよ?」

「……流石にそこまで恥知らずにはなれませぬ」

「冗談じゃ」

 ニヤニヤと意地悪い笑いを浮かべたあと、少し困ったように頭を掻く。

「とは言っても、妾は妾で自分の不手際の後始末をしたに過ぎないからのう。今更礼と言われても……おぉ、そうじゃ」

 ぽんと手を叩き、つかつかと少し離れた所にある茂みの方へと向かった。手を突っ込みゴソゴソと中を探る。

「折角なのでこやつを貰っていこうか」

 その右手には、襟首を掴んで引きずり出されたルシャがでろんとぶら下がっていた。

「ルシャ……何故そんな所に」

「妾の魔術を見る機会などそうないからの。折角なので社会科見学じゃ。……どうじゃ、妾は凄かったじゃろ?」

 ルシャが引きずり出された茂みから、今更隠れている必要はないと分かり、モルドや他の子ども達が顔を出していた。

 全員が興奮に紅潮し、キラキラした目で白狐を見上げている。

「そろそろ弟子でも取ろうかと思っておったしの。他の子らは向いてないが、ルシャ嬢ちゃんはなかなか魔法の才もありそうじゃから、じっくりと仕込んでやろう。後は家じゃな。都会も飽きてきたし、そろそろ田舎でだらだら過ごしたい。風呂は必須じゃぞ? あとは……」

「……ルナール(・・・・)様」

「なんじゃ、妾は通りすがりの白狐お姉さんじゃと言っておるじゃろうが。

 ……まぁいいわ。お主とて分かっておるじゃろう? ルシャ嬢ちゃんがまともに剣を触れる程度まで成長するのに後15年くらいはかかるであろうに、それまで何もさせずに村の中に引っ込めておく気か?」

「いや、それは」

「大体この子は“白”の意味も知らんではないか。ちゃんと教えておらんのか、まったく」

「ですがしかし」

「見た目は確かに小さいがもう15歳じゃろう。早ければ独り立ちしててもおかしくない年齢じゃぞ? 甘やかせばいいというものでもないわ」

「…………」

「まったく、これじゃから男親というのは娘に甘くて困る」

 ――くどくど。

 ――がみがみ。

「おぉ、父ちゃんが怒られてる」

「……しっ」

 いつの間にか正座させられたグアルドを見て、普段の威厳のある姿を知っている子供達は目を丸くする。

 わざとやっている訳ではないのだろうが、そのヒソヒソ話が聞こえてきてさらに父親は気まずげな表情になっていった。

 それに気づいたのか、白狐(ルナール)は説教を中断して溜息をついた。

「まあいい、その辺については妾が追々教え込んでおいてやるわ」

 その場にしゃがみこんで同じ高さから感情の薄いルシャの瞳を覗き込み、こつりと額を合わせた。


「“白狐”のルナール・ユルティム。妾が世界最強の魔術師じゃ。宜しく頼むぞ、弟子よ」

モミルシャ編かと思いきや、親父編でした

おっかしいなぁ、どうしてこうなった。

要所々々は大体予定通りではありますが、最後の方は2転3転。最初はモミルシャを村から叩き出そうかと思ってたのですが、何故か狐の人が居着くことになってしまいました。まぁいいか。

今回は最後の方がなかなかに難産。凄みが出せません。まだ修行が足りないです。もしかしたら言い回しとかちょいちょい直すかも。


“白狼”とか“白狐”とかの話はまたいずれ、恐らく本編で。

狐の人もまたいずれ。“最強”とか言ってますけど最高とかではないです。火力至上主義。技術が伴えばそれでもいいのですが、弟子は全然そこまで到達していないので逆に足枷になっています。教え下手。


ちなみにルシャの肉体年齢は7,8歳くらいで実年齢の約1/3です。合法ロリ万歳。

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