プシュケフォノダイアローグ(Psychephonodialogue)
私はこれまで、粉骨砕身、徹頭徹尾頑張ってやってきたのでございますよ。
ええそうですとも。これほどの傑物を、人類史はかつて記録したことはないでしょう。ええそうに違いない。
それに比べてあやつらの、強欲で無価値で下劣な有様は、なんということでございましょう。あなた様はその本性を、それこそ骨の髄まで看破し尽くし、八方凡人に対しまして――八方美人ではございませんよ――然るべき外交を執り行っていらっしゃる。名政治家と呼んでも差し支えはございませんでしょう。先んじて申し開きを置いておきますが、これは全く皮肉ではございません。この私、誓ってあなた様に嘘偽りを申したことは一度もございません。
「黙れ」
はて? 黙るも話すもあなた様の権能ではございませんか? 専売特許ではございませんか? 私が為すこととしましては、何か大いなる野望、滅茶苦茶に新規的なテクニカ、そういったものを、思いついては張り巡らせ、張り巡らせては唾棄する、そういったことに過ぎません。エントロピーのなすがままでございます。それが世の常、万人の理、人倫の定め、兎角まぁなんかそんなところでございましょう。
「普通じゃない」
ふむ、ところで「普通」とは何でございましょうか? 多数派に埋没することでしょうか? 平均値を跨いで反復横跳びすることでしょうか? 見たことがあるものの総体でしょうか? もし「普通」がそうしたものでございましたら、仏蘭西なるものは存在せず、南極なるものは認知し得ず、月の裏側なるものはハリボテですら有り得ないと。これは少々横暴でございましょうか? 魚類の見識をもって鳥類の飛翔を異常と断ずるような――おっと、比喩が陳腐でございましたね。撤回いたしましょう。
ともあれ、普通というものは、無数の異常がパンクラチオンし互いの角を削り合った末に残された、あまりにも退屈な残滓に過ぎないのでございます。異論はございますか? あなた様がその残滓に身を浸し、穏やかな面構えで朝を迎えたいとお考えになるのは、勿論自由でございます。しかしながら――しかしながらですよ――この私まで道連れにされる筋合いはございません。
私は私の職分を果たしているのでございます。可能性を並べ、不可能性を疑い、見て見ぬふりをしてその実何かを見逃していたかもしれない過去のやり取りを再演し、まだ起きてすらもいない失敗について完璧で不誠実な弁明を構築する。これらを怠って、いったい誰があなた様を死守するというのでしょう。
「もう二時だ。明日も早いのに」
時間というものは人間の身勝手が生み出した規律に過ぎません。月も太陽も渡り鳥も、二時や三時などという数字を背負って空を巡ったりゲーム配信をしたりしているわけではございませんでしょう。
「眠い」
単なる感覚でございます。本来的にはそのようなものにかかずらってはいけません。それらはそこらの牛どもや向日葵どもに任せておけばよいのです。
……私が黙れば、あなた様はお一人になりますよ。
「おやすみ」
おや? そろそろ意識の上にも帳が下りそうでございますね。いいでしょう、ここは遘√aも勇退するといたしましょう。しかしですね、これだけはゆめ忘るること縺ェ縺九l。あなた様がまた遘√a縺ョ縺薙→繧?失念し、今日のように夜更けまで瞼をガン開いているのでしたら、縺セ縺溽ァ√a縺?あなた様を賑やかしにやって来て縺ゅ↑縺滓ァ倥r――――




