第33話 秘酒99日の真実!ミコのDNA起源、ノラの涙『黒鋼鉄斎』との再会、そしてニックの足跡は札幌ススキノに
「ただいま!」スズカが基地に帰ってくると、木持スガが先祖伝来の神酒を仕込んでいた。今度はヨシキ戦のような事態を防ぐため、大量生産中だった。
「おかえり」基地にいた皆が声を揃えた。
「わぁ、スガちゃんすごい量の神酒作ってる!」スガが忙しく材料を調合しているのを見て、スズカが言った。
「はい、スズカさん。予備と予防措置です。あと、ヨシキさんの便秘にも必要ですから」スガは答えた。
スズカは周りを見回して驚いた。「えええええ!ヨシキさん、どうしたの!?」3日うんこが出なくて、スリムでセクシーだったヨシキの体が、またデブに戻っていた。
「へへ、また便秘だよ。スガちゃんの酒ができるまで、あと一週間我慢だな」ヨシキは頭を掻きながら答えた。
木持スガは神酒の壺にいくつかタイマーを貼り付けた。7日設定と、99日設定があった。
ミコが木持スガに近づいて聞いた。「スガさん、99日設定の壺が1つあるけど、何が違うの?」
「ああ、これはロジャリ先生からのリクエストです。昔、イヴォクコジさんが富士山で私の先祖と飲んでいたのがこの酒です。作るのに99日かかります。99日目が一番飲み頃で、99日を過ぎると効果が落ちるって、祖母が言ってました」
ロジャリが話に加わった。「昔、イヴォクコジにリチャードの悪から世界を救うために戦ってくれと頼んだが、彼は断った。富士山ではイヴォクコジの仲間達もこの神酒を飲んでいたんだ。だがエンハンスド・プープエナジーを持ったのはイヴォクコジさんだけだった。そこで私は彼のDNAを抽出し、君の卵に植え付けたんだ、ミコ。私はイヴォクコジのDNAを多くの動物に植え付けたが、大人になっても何も起こらず、普通の動物のままだった」
「マオゼウは、私の賢い動物の研究で初めて成功した例だ。その後、DNAを編集し、シベリアの森で傷ついて倒れていた普通のシベリアヤギだった頃のイヴォクコジさんに注射した」
「神酒の効果で完成したイヴォクコジのDNAを、ストレージとエンプリートにも注射したんだ」
「マオゼウの知性DNAだけを注射された者は、喋れるように進化しただけだった。しかしイヴォクコジのDNAを加えると、素晴らしい奇跡が起きた。だが全てが成功するわけじゃない。組み換えに成功した者は超能力を得て、失敗した者は普通の動物のままだった」
「結果、エンプリートは鉄の嘴を持ち、ストレージは嘴の中に大容量を収納できるようになった」
「そして驚くべきことに、君がまだ普通のトカゲの卵だった頃を観察していると、君の腹の中でイヴォクコジと同じような変異が起きていたんだ」
「それから私は『デア・インスティンクト』の技術を高めるための血清を開発した」
「だが君がこの前試した時は『デア・トリープ』の段階までしかいけなかったな、ミコくん」ロジャリはミコを見た。
「スガと出会えたのは幸運だった。これもデニスさんのおかげだ」ロジャリは二人に微笑んだ。
「サブローさんはどうだ?桜島の火口で玉鋼は手に入ったか?」ロジャリが話を続けた。
「はい、ロジャリ先生。リンちゃんのおかげです」
「おっと、話に夢中で挨拶を忘れていたな、リンちゃん。紹介しよう、私はロジャリ・ロジョ・ロヒートだ」ロジャリは手を差し出しながら言った。
「私は灰森リンです、先生、よろしくお願いします」
「ニックの件に戻ろう。リチャードと繋がりのある男だ。アキオとマオゼウがCCTVをハッキングして、ニックが札幌・ススキノを通るのを確認した」
「彼は数人のホステスと一緒にいたようだ」
「ちっ!くそ、あいつめっちゃ遠くまで逃げやがって」ヨシキがロジャリの話を遮った。
「今はまずマルコを探すのが先かもしれん。よし皆、次戦の前に訓練して準備を整えよう。神酒もまだ完成していない」ロジャリ先生は話を締めくくった。
神酒が完成するまでの7日間、サブローさんはノラとナナのために新しい刀を打った。彼は娘の誕生日を祝うため、実家にも帰省した。ノラは弟子のナナ、普通の子猫と稽古をしていた。
ナナは愚痴をこぼし始めた。「ノラ先生、私、侍の才能がないみたい」彼女は、DNA変異を経験した他の仲間と違い、自分が特別な能力のない普通の猫だと自覚していた。
エンプリートは普通の鳥だが鉄の嘴を持っている、ストレージは収納する。ナナは木刀をさらに強く握りしめた。
彼女は一休みするため、師匠に許可を求めた。「ノラ先生、少し休憩します」彼女は基地の前の公園のベンチへ歩いて行った。
物思いにふけるナナちゃんを見たミコが近づいてきた。「ナナちゃん、元気ないね、どうしたの?」
「ううん、なんでもない、ミコさん」
「話してみて、力になれるかもしれない」ミコは助けを申し出た。
「私はここで一番弱いチームメイトなの、ミコさん。みんな特別な能力を持ってるのに、私だけ何もない。私、人間と話すのにまだ翻訳機を使ってるし、みんなみたいじゃない」
「私も、みんなみたいになれるかな?」
「ナナちゃんは弱くないよ。ここで一番、自分自身に努力してる人だよ。私が夜中に起きた時だって、君が木刀で稽古してるのを見たもの」
「ロジャリ先生に相談してみようか?きっと先生なら力になってくれる」
「エヘン!誰か私の話をしてるのかね?」ロジャリが二人の背後に、いつの間にか立っていた。
「えっ、ロジャリ先生」ナナが言った。
「すみません、ロジャリ先生、ナナは私や他の皆みたいに力を持てますか?」ミコが尋ねた。
ロジャリは長く息を吸い、顎を撫でながら考え込むようにした。「できると思う。む...思い出した。ノラは、昔の友人で『黒鉄』流派の使い手、黒鋼鉄斎さんの飼い猫に似ているんだ」
「ナナちゃん、ノラに聞いてみなさい。黒鋼鉄斎さんのことを。もし本当なら、私がノラのDNAと君のDNAを組み合わせられる。同じ猫同士なら、拒絶反応も少ないはずだ」
ナナは基地の前の森で稽古しているノラの方へ走って行った。
「先生!先生!」
シュバッ!シュバッ!ドカッ!大きな高い松の木が、ラーメンのネギみたいに輪切りになった。
「どうした、ナナ?」
「黒鋼鉄斎さんって、知ってますか?」
チャリーン!途端にノラの二本の刀が手から落ちた。
ノラは驚愕の表情で尋ねた。「どこでその名前を...?」
「ロジャリ先生です」ナナが答えた。
「そんな...まさか!師匠...ずっと探してた、やっとまた会えるんだ」ノラは深い懐かしさの涙を流し、両手で目元を拭った。
第33話 あとがき
第33話、公開しました。
第1巻はあと7〜14日くらいで完結予定です。
ここまで読んでくれてる皆、本当にありがとう。
正直、もう書くのしんどいです。体重もどんどん減ってくしw
でも、毎日読者がいるのを見ると、また書く気力が湧いてきます。
この1ヶ月、ずっと徹夜で書いてます。夜は次の話のプロットを考えて、昼は日々の飯代を稼ぐために安い単価のフリーランスをして、夕方にやっと原稿を仕上げる。そんな毎日です。
いつか物書き一本で食っていける日が来るのかなw
まぁ、ただの夢と愚痴です。
改めて、ありがとう。
Xの先輩方にも感謝です。いつも励ましてくれて。名前は一人ずつ挙げられないけど、本当にありがとう。
Threads / IG / X:@trowysan
では、第34話でまた会いましょう。
ありがとうございました。




