表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

掌編 夕暮れの中に残るもの

作者: Elnika Flose

「あれ?こんな感じだったっけ?」

家の裏手にあるお寺を見上げると、花札の松と夕日が重なって見えた。

堀の水に誘われたのか、それとも夕日の色に呼ばれたのか。

赤とんぼが、静まりゆく景色の中を「私も混ぜて」と言わんばかりに視界を横切る。


にじむ焼けた色は、どこからか稲穂の香りを運んでくる。

「あぁ……」

胸の奥に生まれた感情は、言葉になる前に沈んでいった。


寂しくはない。それなのに、何かが足りない。

その“なにか”を探すように、もう一度空を仰ぐ。


「痛っ……」

目に雨粒が落ちた。運が悪い、そう思いながらも笑ってしまう。

きっと私は、雨が近づいてきている声を、ずっと聞いていたのだ。


探していたのではなく、向こうから話しかけてくれていた。

そう気づいた私は、不思議と上機嫌だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ