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重度のシスコンお兄様が私の婚活を邪魔してくるのですが!?

作者: 中村くらら

「あの……良かったらボクと踊りませんか?」


 壁際で誘われ待ちをしていたリリアンは、声をかけられ内心でヨシッとガッツポーズをした。

 扇子の影でにこりと微笑み、素早く相手の全身に視線を走らせる。


(ふむふむ。なかなか感じの良さそうな方ね……)


 薄茶の髪に焦げ茶の目。年はリリアンより二つか三つ上といったところだろうか。中肉中背で、パッと見たところ健康状態に問題はなさそう。


(お顔の造りは……まぁ正直に言えば普通だけど、それはお兄様と比べればという話で、見方によっては男前と言えなくもないわよね? よく見れば愛嬌があるというか、あらそういえばよく似た動物を図鑑で見たような気がするわ……あ、そう! カピバラ!)


 まったりと水に浸かり、のんびり草を食むカピバラの絵を思い出す。

 一方のリリアンはといえば、髪も目もありふれた茶色。小柄であまりメリハリのないお子様た……たいへん伸び代のある体型だ。

 そんなリリアンのことを、兄のエルヴィスはよく「可愛い子ウサギちゃん」とか「子リスちゃん」などと呼ぶけれど、リリアンは自分では、


(せいぜいネズミがいいところじゃないかしら)


 などと思っている。

 まぁいずれにしても無害な小動物には違いない。カピバラとは似た者同士、なんだか平和な家庭が築けそうな気がする。


 見覚えのないカピバラ氏はどこの家の人だろう。

 質は良さそうだが少しダボッとした黒の夜会服は、もしかして借り物だろうか。だとしたらあまり裕福なお家ではないのかもしれない。


(ううん、贅沢を言ってる場合じゃないわ! この夜会に参加してるってことは、少なくとも貴族階級ではあるはずだし……)


 常日頃から、「私達の大切なリリアンを政略の駒にするつもりはないからね。リリアンはリリアンの好いた人と結婚していいんだよ」と言ってくれている父のことだ。それなりの相手であれば反対はするまい。


(なんたって、久しぶりに巡ってきたチャンスなんだもの! 今日こそ絶対に、素敵な結婚相手を見つけてみせるんだから!)


 そう。リリアンは絶賛婚活中である。

 しかし大苦戦中であった。


 一応、侯爵令嬢。花も恥じらう十六歳。健康にも問題なし。

 条件は悪くないはずなのに、夜会に参加しても若い殿方から声をかけられることはめったにない。たまにあっても邪魔が入り、会話は長続きしない。

 上位貴族らしからぬ平々凡々な容姿のせいもあるのかもしれないが、それだけが原因ではないと、リリアンは思っている。


 今日もろくな収穫がないまま夜会は進み、ようやく初めてダンスのお声がかかったのだ。気合いも入るというものである。


(よーし、まずはお近づきにならなくちゃね!)


 扇子をパチリと閉じ、意気揚々と右手を差し出して――。


「ハイ! 喜ん……でぇぇっ!?」


 けれどカピバラ氏の手を取る前に、リリアンの手は突如、横から搔っ攫われた。


 スッと手を引かれてくるりとターン。

 気付けばリリアンは、すっぽりと後ろから抱き込まれていた。

 甘さのあるウッディな香りと慣れ親しんだ体温。相手は顔を見なくとも分かる。


「待たせてごめんね、リリ」


 頭の上から降ってきた艶のある声は、予想通りの人物のもの。


「ちょっ、お兄様ったら!」


 もぞもぞと身を捩って兄の腕の中から抜け出そうとするがうまくいかない。

 ぷぅっと頬を膨らませて兄を振り仰げば、にこりと甘い笑みが返ってきた。

 小さく首を傾げたのに合わせて、少し長めのプラチナブロンドがさらりと揺れる。宝石のようなアイスブルーの瞳には、ふくれっ面のリリアンが映っている。


「どうしたの、可愛い子リスちゃん? そんなに頬をぷっくりさせて。一人にしたから怒ってるのかな?」

「ち が い ま す!」


 むしろ逆である。

 過保護な兄が友人達と語らっている隙に、婚活に励もうと思っていたのに。


「もぉぉぉ……むぷっ」


 膨らませたほっぺをツンとつつき、兄が間近に顔を覗き込んでくるものだから、リリアンは危うく息が止まるところだった。

 この兄、とにかく顔がいいのだ。

 妹だからって、見慣れているからって、心臓に悪いものは悪い。


 リリアンの兄、エルヴィス。二十一歳。国で一番裕福な侯爵家の嫡男にして金髪碧眼の美男子。若くして宰相補佐に抜擢された秀才で、剣技の腕も一流というオマケつき。

 そして、リリアンの婚活がうまくいかない元凶である。 

 ハッと気付いて目を向ければ、案の定カピバラ氏は顔を引き攣らせていた。


「あの、これは――」

「おや、君は? ああ、私が不在の間、妹の相手をしてくれていたのかな? それはどうもありがとう。おかげで可愛い妹も退屈せずに済んだようだ。……悪い虫もつかなかったようだし、ね?」

「え、あの、えっと……」


 にこにこと微笑むエルヴィス。

 相対するカピバラ氏の顔色は悪く、まるで肉食獣を前にした草食動物である。


「ん? もう行っていいよ? 妹には私が付いているのでご心配なく。それともまだ私達に何か用が?」

「い、いえっ、失礼致します!」

「あ、待っ……」


 逃げるように去っていくカピバラ氏の背中を見送り、リリアンははぁぁと深いため息をつく。それから、恨めしげに兄を見上げた。


「……せっかくダンスに誘って下さったのに」

「ダンスなら私と踊ろう。兄様とが一番踊りやすいって、リリも言っていただろう? 何曲でもお相手するよ」

「そういう問題ではありませんわ! いつもいーっつも、わたしの婚活の邪魔をなさって!」

「リリはまだ十六歳なんだし、焦って婚活なんかすることないよ。それにいつも言ってるでしょ、ずっとウチにいればいいって。可愛いリリをよそにお嫁にやるなんて考えられない……」


 エルヴィスは切なげに眉を寄せ、リリアンのつむじにスリスリと頬ずりをする。

 この兄はいつもこうなのだ。家の中でも外でもお構い無しにリリアンを猫可愛がりする。

 幼い頃からずっとこうだから、リリアンは兄妹というのはこういうものだと思っていたのだが、世間一般ではそうではないと知った。つい最近、社交界デビューしてから。


 リリアンのそばで過保護な兄が目を光らせているのは、社交界ではすっかり有名な話。

 おかげでリリアンの婚活はさっぱりだ。侯爵家の跡取りであり次期宰相と目されるエルヴィスの不興を進んで買いたい人間などいない。


 いいかげん兄の評判も心配になるレベルだが、こんなに妹にベタベタしているというのに、なぜかご令嬢方の評判は悪くない。

 むしろ、いつもは冷たい表情のエルヴィスのとろ甘な顔が拝めるというので、兄妹二人でいるところをわざわざ鑑賞しに来るご令嬢もいるくらいなのだ。

 さっきから、エルヴィスがリリアンに微笑んだり頬ずりしたりする度に、「きゃーっ」「眼福ですわ~」「推せますわ!」などと黄色い声が上がっている。顔がいいって本当にずるい。


「何と言われようと、わたしはお嫁に行きます。お兄様が婚約なさるより先に、お相手を見付けてみせますわっ!」


 ぐいぐいと肘で兄の胸を押せば、ようやく腕の力が緩まる。けれど解放されるわけではなく、エルヴィスはリリアンの手を取り、その甲に触れるか触れないかのキスを落とした。


「ん。まぁそれはひとまず置いといて、今は兄様とダンスを楽しもう?」

「もうっ。……まぁ、いいですけど」


 唇を尖らせつつ応じれば、兄が蕩けそうな笑みを浮かべた。

 仕方ない、とリリアンは独りごちる。

 今日はもう新たなチャンスは巡ってきそうにないし、それに、兄と踊るダンスは誰と踊るよりも楽しくて心地良いのだ。







「相変わらずお兄様と仲がおよろしいことね」


 冷ややかな声音に、リリアンは曖昧な笑みで応えた。

 扇子で口元を隠し、呆れたような目でリリアンを見下ろすのは、公爵家のご令嬢、カロライナだ。


 あれから散々二人で踊った後、エルヴィスは友人に呼ばれてダンスフロアを離れ、リリアンは顔見知りの令嬢達の輪に合流した。

 その輪の中心にいるのがカロライナ。リリアンより三つ年上のカロライナはその高い身分と抜きん出た美貌とで、同年代の令嬢達の中心的な存在であった。


「そろそろ兄離れなさいませんと、縁談に差し障りが出ましてよ。あなたも、エルヴィス様も」

「アハハ……」


 思わず乾いた笑みが漏れてしまう。

 差し障りならば、とっくに出ている気がする。少なくともリリアンには。

 兄はどうなのだろうか。父の書斎で積み上げられた釣書を目にしたことがあるので、婚約の申し込みには不自由していないはずだ。リリアンと違って。


 兄の婚約についてそれとなく父に尋ねたことがあるが、「しかるべき相手をちゃんと考えているよ」とはぐらかされてしまった。

 リリアンには教えてくれないけれど、内々に話が進んでいるのかもしれないと、リリアンは予想している。


「それとも……実はお二人は恋人同士なのかしら?」

「えぇっ!?」


 探るような目で突拍子もないことを言われ、リリアンはぎょっと肩を跳ねさせた。

 周囲の令嬢達が、「まぁっ、ありよりのありですわ!」「解釈一致!」「エルリリ、推せますわ~」と、なにやらキャッキャし始める。

 リリアンは慌ててぶんぶんと首を横に振った。


「と、とんでもない! ないですないです! 兄とわたしがなんてそんな……」

「あら、でも血の繋がりはないのでしょう?」

「それは、そうなのですが……」


 そう。エルヴィスとリリアンは本当の兄妹ではない。

 リリアンが一歳の時、エルヴィスの父とリリアンの母が子連れ同士で再婚したのだ。


 リリアンの一番古い記憶は、兄に手を引かれて公爵家の庭を歩いているというもの。

 物心ついた時から、リリアンのそばにはいつだってエルヴィスがいた。

 一緒に遊び、おやつを食べ、起きている時も寝る時もいつも一緒。


 兄はリリアンが美味しいと言えば自分の分までおやつを分けてくれた。

 リリアンが転べば真っ先に駆けつけて助け起こし、泣き止むまでずっと抱きしめて頭を撫でてくれた。

 おばけが怖くて眠れないときは、一緒のベッドに潜り込み、リリアンが眠りに落ちるまで絵本を読んでくれた。


 いつだって優しくリリアンを甘やかしてくれる兄を、大好きにならないわけがない。

 母よりも養父よりも、世界で一番大好きなお兄様。


 だから七歳の時、エルヴィスが本当の兄でないと知らされた時はショックだった。

 わんわん泣いて、大好きなお菓子も食べる気にならないくらい泣き続けた。

 その時も、エルヴィスはリリアンが泣き止むまで隣にいて、頭をよしよし撫で続けてくれた。


 エルヴィスはその頃から変わらず、リリアンを可愛がってくれている。

 そう、ほんの小さな時から変わらず。

 つまり、それはどういうことかと言うと――。


「兄のあれは、ただのシスコンですから……」


 苦笑いで言うと、令嬢達は残念そうなため息を漏らし、カロライナは無言で小さく眉を寄せた。


「でもそれでしたら、エルヴィス様の婚約のお相手はどなたになるのかしらねぇ?」


 令嬢達が再び噂話に花を咲かせ始める。


「もう二十一歳におなりですもの。そろそろお決めになる頃よね」

「エルヴィス様なら引く手数多ですわね~」

「わたくし、隣国の王女様がエルヴィス様に一目惚れなさったという噂を小耳に挟みましたの……!」

「まあ! それが本当ならビッグニュースですわ!」

「だけど公爵家ならいざ知らず、他国の王女殿下のお輿入れはさすがに現実的ではないのでは?」

「でしたらやはり国内かしら? もしそうなれば候補の筆頭は……」


 皆の視線がカロライナに集まる。

 十九歳でありながらいまだ婚約者がいないカロライナ。家柄、年齢ともに、エルヴィスと最も釣り合う令嬢と言っても過言ではない。

 注目を集めたカロライナは、動じる様子もなく美しい微笑みを浮かべた。


「さぁ……どうかしら。わたくしの婚約は父にお任せしておりますので」


(カロライナ様、否定しなかった……)


 リリアンはぼんやりとカロライナを見つめる。

 カロライナは美しい。透き通るような白い肌。一筋の乱れもない金の巻き髪。わずかにつり上がった大きな青い瞳は、気位の高い猫を思わせる。

 とびきり美しくて高貴な大型犬のような兄と並べば、さぞや絵になることだろう。


 実際、エルヴィスはリリアン以外の未婚の令嬢の中では、カロライナと一番仲が良いように見える。

 さっきだって、エルヴィスは去り際に、「妹をよろしく」とわざわざカロライナに声をかけていた。


(お兄様と、カロライナ様かぁ……)


 カロライナのことは嫌いではない。読めない表情やきっぱりした物言いにドキリとすることはあるけれど、社交界にありがちな陰湿さがない。

 おかげでカロライナを中心とする令嬢達のグループは、わりとほのぼのしている。

 会ったこともない他国の王女様を義姉にすることを思えばよっぽど気が楽だ。

 そう思うのだけど――。


 いつも兄と二人でお茶を楽しんでいる、侯爵邸のサンルーム。ソファに並んで座り、頬を寄せ合う二人を想像してみる。

 兄がカロライナの細い腰を抱き寄せ、つむじに口付けを落とす。そんな空間でリリアンは、どう考えても邪魔者だ。

 胸に湧き上がったもやもやを吹き飛ばすように、リリアンはぶんぶんと首を振った。


(やっぱりお兄様が結婚するより早くお嫁に行かなきゃ!)


「お邪魔虫になりたくなければ、リリアン様も早くお相手を決められることね」


 まるでリリアンの心を読んだかのように言われ、リリアンはしゅんと項垂れた。


「そう思ってはいるのですが、ちっともうまくいかなくて……」

「あら、あなた。本気で婚活しておられたの?」

「も、もちろんです!」


 本気なのにちっともチャンスがないのだ。なんだか泣きたくなってきた。

 カロライナは扇子の陰でふぅんと考え込んだ。それから、なんとも麗しい流し目でリリアンを見た。


「リリアン様が本気なら、良い考えがあるのだけど……興味はおあり?」

「お、おありです!」


 勢い込んで答えると、カロライナは小さく口の端を上げた。

 それからリリアンの耳にそっと唇を寄せた――。







 それから十日後の夜半、リリアンはとある伯爵家の舞踏会に参加していた。

 いつもより大人っぽい、大胆に胸元の開いた紫色のドレスにドキドキする。

 けれどドキドキの理由はそれだけではない。


 いつもの夜会よりも抑えられた照明。会場に満ちるお酒と香水の匂い。

 そして何より、参加者達が身につける仮面。

 リリアンもまた、蝶をかたどった仮面で顔の上半分を隠している。


 そう。リリアンはカロライナの紹介で仮面舞踏会に参加しているのだ。

 あの過保護な兄のせいで、リリアンをリリアンと知って声をかけてくる男性は皆無に等しい。

 ならば互いに素性を隠して交流する仮面舞踏会に参加してみては……というのがカロライナから授けられた作戦だ。

 もちろんエルヴィスには内緒で出てきた。兄が知れば反対されるに決まっている。


 そして参加した仮面舞踏会。

 期待どおり、リリアンは次々と男性からダンスに誘われた。こんなに立て続けに色々な人と踊るのは初めてのことで、リリアンのテンションもうなぎ上りだ。

 この調子でたくさんの男性と交流して、気の合う人を見つけたい。

 五人目の相手とダンスを踊りながら、リリアンはあることに気が付いた。


(あら。この方、この前の夜会でお会いしたカピバラ似の方じゃないかしら……)


 ブロンズ色の仮面で顔の半分を隠しているが、薄茶の髪にもダボッとした着こなしにも声にも覚えがある。

 あの時は兄に邪魔されたが、今日は無事にダンスまで漕ぎ着けた。カピバラ氏の方は、相手がリリアンだとは気付いていない様子。いずれは素性を明かさなくてはならないだろうけれど、それはもう少し親しくなってからでもいいだろう……。


 ダンスを終えたリリアンは、「もう少し話さない?」と誘われ、カピバラ氏と連れ立ってダンスの輪から抜け出した。

 ホールの隅で、カピバラ氏から手渡されたグラスに口を付ける。


「まあ、とっても甘くて美味しいわ!」


 鮮やかなピンク色のジュースは何の果物を使っているのだろう、これまでに飲んだことがない味がした。

 踊りっぱなしで喉が渇いていたこともあり、リリアンはあっという間にジュースを飲み干した。


「気に入って貰えて良かったよ」


 すかさず差し出されたおかわりのグラスが空になった頃、視界がくらりと揺れた。


(あ、ら……?)


 よろめいたリリアンの腰を、カピバラ氏が支える。


「大丈夫? 少し休んだ方がよさそうだね」

「は……い……」


 休憩室まで案内するよ、とカピバラ氏に囁かれ、リリアンはぼんやりと頷いた。

 なんだか体がおかしい。

 足に力が入らない。頭がふわふわして、視界がぐらんぐらんと揺れる。


(もしかしてさっきの、ジュースじゃなくてお酒……)


『リリはお酒に弱いんだから、絶対に外で飲んじゃ駄目だよ』


 いつも兄から口酸っぱく言われていたのに、浮かれていてちゃんと確認しなかった。


 カピバラ氏に支えられながらホールを出る。おぼつかない足取りで廊下を進み、辿り着いたのは客間らしき小部屋だった。

 ようやくソファに腰をおろし、ほぅと息を吐き出す。

 せっかくお喋りを楽しもうと思っていたのに、とガッカリする。カピバラ氏に迷惑をかけてしまったのも申し訳ない。


「ごめんらさい、ありがとう。もうわらしひとりれ――」


 呂律の回らない口で大丈夫と言いかけたリリアンは、カピバラ氏がピタリと隣に座ったのでぎょっと固まった。


「一人でだなんて、そんなつれないことを言わないでよ。お楽しみはこれからだっていうのにさ」

「え……と……?」

「キミだってそのつもりで来たんだろう?」

「そのつもりって……? あの、わたしは真剣にお相手を探しに――」

「うんうん、もちろんボクも真剣だよ。今宵一夜、二人で熱い時間を過ごそうね」


 ねっとりと耳元で囁かれ、さわさわと手の甲を撫でられて、ぞわっと全身が粟立った。

 ようやくリリアンは、自分がまずい状況にあることに気が付いた。いやそもそも、男性と二人きりで小部屋に入る前に気付くべきだったのだ。


「あ、あの、ごめんなさい、わたし本当にそんなつもりじゃなくて……」

「あれ、震えてるの? へぇ、こんなパーティに出入りしているわりに初心なんだね。可愛いなぁ。大丈夫大丈夫、優しくするからさ、安心してボクに身を任せなよ」

「い、いやっ……!」


 立ち上がろうとしたが、捕えられたままの手を強く引かれ、あっさりとソファに引き戻されてしまう。

 ソファの上でじりじりと身を引くが、リリアンが離れようとすればするほど相手は近寄ってくる。力の入らない手で押しのけようとしても、相手はびくともしない。


(穏やかで感じのいい人だと思ったのに、こんな人だったなんて……)


 恐怖と情けなさでじわりと涙が滲んだ。

 仮面越しに、じっとりと絡みつくような視線がリリアンを舐める。

 男が顔を近づけ、酒臭い息が頬にかかる。その気持ち悪さに、思わずリリアンはぎゅっと目をつむった。 

 その、瞬間。


「汚い手を離せ」


 冷ややかな男の声が響いた。

 続いて、カピバラ氏が短い悲鳴を上げる。と同時に、リリアンに密着していたカピバラ氏の体が離れた。


 はっと目を開けると、背の高い男がカピバラ氏の腕を捻りあげていた。

 一つに束ねた長めの髪はプラチナブロンド。白い仮面の奥、アイスブルーの瞳とほんの一瞬、視線が絡む。


「な、なんなんだいきなり! 無粋だぞ!」


 腕を捻られたままカピバラ氏が喚くと、男は氷のような瞳をそちらへと向けた。


「無粋? 嫌がっているのが分からないのか」

「あ……あんたには関係ないだろう! 彼女はボクが先に――」

「彼女は私の獲物だ」


 低く、抑揚のない声がカピバラ氏の言葉を遮った。


「初めから、ずっと。誰にも渡すつもりはない。邪魔をするというなら……そうだな、先に君を狩ろう。命の保証はできないが」


 形の良い唇が美しい弧を描く。

 凍てつくような目で見つめられたカピバラ氏は、顔を真っ青にし、「ヒッ……!」と怯えた声を残して逃げるように部屋を出て行った。


 静かになった部屋の中、白い仮面の男が再びリリアンに視線を落とす。

 仮面で顔を隠していてもリリアンには分かる。いや、その声を聞いた瞬間から気付いていた。


(お兄様……。お兄様、お兄様、お兄様……!)


 幼い頃から、リリアンに何かあれば真っ先に駆けつけてくれたお兄様。

 今もまた助けに来てくれたことに、リリアンは胸がいっぱいになる。


「おに――」


 呼びかけようとしたリリアンの唇に、エルヴィスの人差し指が触れた。

 エルヴィスはそのまま、無言でリリアンを横抱きにして歩き出した。

 甘いウッディな香りと慣れ親しんだ体温に包まれ、ようやくリリアンの震えが止まる。

 兄の胸に頭を預け、リリアンは目を閉じた。







 お姫さま抱っこで乗り込んだ馬車の中、仮面を外したリリアンは、兄の膝の上にいた。

 リリアンを横向きに抱きかかえてうつむく兄の表情は窺えない。


「あのぅ……お兄様、もう下ろして頂いても大丈夫ですけど……」


 おずおずと申し出ると、「はぁぁ……」と深いため息が返ってきた。


「……リリは大丈夫でも、私は大丈夫じゃない」

「えっと……」


 リリアンは言葉に詰まる。

 いつも眩しいくらいにキラキラしていて、リリアンに対しては甘すぎるくらいに甘い兄のこんな姿を見るのは初めてかもしれない。

 そういえばさっきから、ちっとも目を合わせてくれない。


「もしかして、その、怒ってる……?」


 恐る恐る尋ねると、兄はちらりとリリアンを横目で見た。

 

「……怒ってもいるよ。リリが自分を大切にしないことにね。兄様に黙っていかがわしい集まりに参加して、強いお酒を飲んで酔っぱらって、挙げ句にあんな危ない目に遭って」

「ご、ごめんなさい……」

 

 返す言葉もない。兄に呆れられてしまったかと思うと、しょんぼりと気持ちが沈む。


「……だけどそれ以上に」


 エルヴィスがうつむけていた顔を上げ、リリアンの頬を両手で包み込んだ。


「血の気が引いたよ。リリが無事で良かった、本当に……」


 アイスブルーの瞳が揺れるのを見て、リリアンの胸がきゅうと苦しくなる。


「心配かけてごめんなさい、お兄様……」


 泣きそうな気持ちで謝ると、兄は小さく頷き、リリアンの頭を柔らかく撫でた。


「それで? どうして仮面舞踏会なんかに?」

「あんな集まりだなんて知らなかったの。結婚相手を探したかっただけなのに……」


 そう言うと、エルヴィスは再び深いため息をついた。


「婚活なんかしなくていいって、いつも言っているのに。リリはずっとウチにいればいいんだから」

「それは嫌です!」

「……どうしてそんなに家を出たいの。侯爵家は居心地が悪い?」

「そんなことないわ。お義父様もお母様も優しいし、家族仲も良いし……」


 むしろ居心地が良すぎるくらいだ。


「だったらどうして」

「それは……」


 リリアンは口ごもる。

 そぅっと視線を逸らせてみたが、リリアンの頬はエルヴィスの両手に包まれたまま。逃がして貰えそうにはない。

 リリアンは観念し、重い口を開いた。


「だって、いずれお兄様は結婚して、奥様をお迎えになるでしょう?」

「……そうだね。私は侯爵家の跡取りだから、結婚しないという選択肢はない」

「お兄様は誠実で優しい人だもの。きっと奥様を大切になさるわ」

「うん、私は妻になる女性ただ一人を、生涯愛し抜くつもりでいるよ」

「……だからです」

「え?」

「わたしにとってはお兄様が世界一なのに、お兄様にとってはそうじゃないんだもの!」


 リリアンは挑むような目で兄を見た。

 お酒の勢いもあってか、心の奥に仕舞い込んでいた言葉がペラペラと出てきてしまう。


「お兄様が他の女の人を愛するのをそばで見てなきゃいけないなんて、そんなの絶対に嫌! だからその前に、お兄様が結婚する前に、この家を出たいんです!」

「リリ、それって……」


 アイスブルーの目が見開かれる。


「なのにお兄様が邪魔ばっかりするから! ちっとも結婚相手が見つからないじゃないですか! どうしてくれるんですか!」

「そっか……それは兄様が悪かったね」


 エルヴィスが、それはそれは美しい笑みを浮かべた。

 その、ちっとも悪いと思ってなさそうな顔にリリアンはムッとして、ますます勢いづく。


「そうです! 全部ぜーんぶお兄様のせいです! 責任取って下さい、お兄様!」

「分かった、兄様が責任を取ろう。責任を取って、リリと結婚するよ」

「……へ?」


 ぽかんと、リリアンは呆けた顔で兄を見る。

 結婚? 誰が、誰と?

 ふわふわした頭を必死に動かす。


「私と結婚しよう、リリ」


 熱っぽい瞳で重ねて言われ、リリアンの思考能力はポンと限界を越えた。そして思った。


(あ、これ夢だわ)


 だって、夢に決まってる。世界一素敵で大好きなお兄様が自分にプロポーズするなんて、そんな都合のいい話が現実にあるわけない。

 そう、助けに来てくれた兄に抱き上げられたとき、ひどく安心して、そうしたら急に眠気に襲われて……馬車まで運ばれる途中で寝てしまったのだ、たぶん。


「リリ、答えを聞かせてくれる?」


 麗しい顔がリリアンを見つめている。


(夢なら、いいかな?)


 リリアンはふにゃりと笑い、「いいわ、わたし、お兄様と結婚する!」と元気よく答えた。

 次の瞬間、まるで大輪の薔薇が花開くように、エルヴィスが麗しい顔をほころばせた。


「幸せにすると誓うよ、リリ。今までもこれからも、私の愛はリリだけのものだ」


 婚約の証にと言ってエルヴィスが懐から取り出した小箱の中には、彼の瞳の色の石が輝く指輪。さすがは夢、準備がいい。

 兄の手によってはめられた指輪は、誂えたかのようにリリアンの薬指にピッタリだった。本当に、準備がいい。


 感心しながら美しい指輪を見つめていると、「ねぇ、リリ」と甘い声で呼ばれ、顔を上げるとこれまた甘い微笑みを浮かべたエルヴィスがリリアンを見つめていた。


「リリにキスしたいな。婚約者になって初めてのキス、どこがいい?」

「んー……」


 リリアンは考える。

 手の甲やおでこやつむじには、しょっちゅうキスされている。どうせ夢なのだし、おまけに婚約者という設定なのだし、大胆なことも許されるだろう。


「えっと、じゃあ……くちびる?」


 ドキドキしながらそう告げると、兄は一瞬虚を突かれたような顔になり、それからとろりと目を細めた。


「……へぇ、嬉しいな。リリの方から誘ってくれるなんて。いいよ、いっぱいしようね」

「あっ、あの、やっぱり――んっ」

 

 夢とはいえ恥ずかしくなり、慌てて撤回しようとした言葉は、甘いキスに飲み込まれた。

 何度も繰り返される口付けは、次第に深く、情熱的なものへと変わっていく。

 背筋をゾクゾクとした感覚が走った。まるで肉食獣に捕らわれた草食動物のような――。


(食べられちゃいそう……)

 

 だけどお兄様になら食べられてもいいかな、と。

 痺れた頭で、リリアンはふわふわとそう思ったのだった。




 翌日、ひどい頭痛と共に目覚めたリリアンは、薬指にピタリとはまった指輪を見てひっくり返ることになる。

 その時にはすでに必要な書類は万事整い、リリアンは義兄エルヴィスの婚約者におさまっていたのだった。




◆ ◆ ◆




 エルヴィスが三歳の時、侯爵夫人だった母が病気で死んだ。

 妻を深く愛していた父は嘆き悲しみ、母を亡くした幼い息子を気にかける余裕もないほどに憔悴した。

 火が消えたようだった侯爵家に、三年後、転機が訪れた。父侯爵の突然の再婚がきっかけだった。


 父が後妻に迎えたのは、父の亡き友人の妻だった女性。

 伯爵家の嫡男だったその友人と父は学生時代からの親友で、互いが結婚した後も、それぞれの妻を交えて親しく交流を続けていた。


 そんな二組の夫婦、四人での付き合いは、エルヴィスの母の死と共に終わりを告げた。

 さらに不幸は続き、一年後、父の親友が事故で亡くなった。


 伯爵家は親友の弟が継ぐことになり、親友の妻は生まれたばかりの赤子と共に、追い出されるようにして実家の子爵家に戻った。

 けれど実家にも居場所はなく、母子は厄介者扱いを受けた。

 それを知ったエルヴィスの父は、亡き親友の妻子を窮状から救うため、親友の未亡人を後妻に迎えることを決めたのだった。


 そうして侯爵家にやってきた継母の腕に抱かれて、小さな小さな女の子がいた。継母によく似た茶色の髪と、つぶらな瞳の女の子。


「エルヴィス、今日からこの子はお前の妹だ。優しくしてあげなさい」


 恐る恐る手をのばすと、女の子もまた手をのばし、ふくふくした小さな手でエルヴィスの指を握り、にっこりと笑った。

 その瞬間、灰色だったエルヴィスの世界が鮮やかに色づいた。

 それがリリアンとの出逢いだった。


 エルヴィスは新しくできた小さな妹に夢中になった。

 片時もリリアンのそばを離れず世話を焼く。

 リリアンの方もエルヴィスによく懐き、「にぃに、にぃに」と後をついて回った。

 それがたまらなく可愛く思えて、エルヴィスはさらにこの妹にのめり込んだ。


 仲の良い兄妹を微笑ましく眺めながら、ある日父が何気なく言った。


「昔、親友と話したことがあるんだ。いつかそれぞれに子どもが出来て、それが男の子と女の子だったら婚約させようか、とね。その前にあっけなくアイツは死んでしまったが……」


 その話を聞いてから、エルヴィスの中で、リリアンはただの可愛い妹ではなく、もっと特別な女の子になった。


(可愛い可愛い、僕のリリアン。大きくなったら僕のお嫁さんになる子……)


 将来はリリアンと結婚したい。

 そう、父と義母に宣言すると、二人は幼い息子の言葉に驚きながらも、「リリアンが了承するなら」という条件付きで許可してくれた。


 それからエルヴィスは、以前にも増してリリアンを甘やかした。

 そしてリリアンが年頃になると、リリアンの縁談を全て握り潰し、近寄ろうとする男がいれば徹底的に排除した。

 リリアンの視界に他の男が入り込まないように。子リスのような愛らしい瞳が、エルヴィスだけを映すように。


 そうやって外堀を埋め、待ち続けた。リリアンに恋心が芽吹くのを。

 強引に、あるいはうまく言いくるめて、リリアンを婚約者にしてしまうことは容易かったけれど、それでは満たされない。


 何年でも辛抱強く待つつもりだったのに。

 大切に、大切にしてきたのに。

 不意に現れた不埒な輩に奪われそうになった時には、体中の血が沸騰するかと思うほどの怒りが込み上げた。

 目の前にリリアンがいなければ、あの場で不埒者の手を切り落としていたことだろう。


 これほど危険な目に遭ったというのに、なおも婚活を諦めようとしないリリアン。

 もはや閉じ込めておくしかないかと思っていたが、「お兄様が世界一」と言い、いまだ存在すらしない兄嫁への嫉妬を口にするリリアンに、エルヴィスの胸は歓喜に震えた。


 半ば無自覚な、それも酒の勢いに任せた告白だと分かってはいたが、「責任取って下さい!」の言葉に便乗して結婚を了承させた。

 かねてより準備していた婚約指輪は、うっとりするほどリリアンの指に馴染んでいた。







「ようやく婚約が整ったとか。お祝いを申し上げますわ」


 その数日後の夜会にて。

 カロライナがすました顔で祝いの言葉を口にした。「どうも」と、エルヴィスも内心を綺麗に隠して応じる。


「もっとわたくしに感謝して下さってもよろしいのよ?」

「感謝、ねぇ」


 エルヴィスが笑みを深める。


「リリアンを気にかけてくれるのはありがたいのだけど、今後、彼女への誘いは全て私を通して貰えるかな?」


 あら、とカロライナが片眉を上げる。


「ちゃんと教えて差し上げたではありませんの」

「当日、ギリギリにね。おかげでリリアンが危ない目に遭った」

「間に合ったのなら問題ないでしょう?」


 エルヴィスの怒りに気付いているだろうに、カロライナはちっとも悪びれない。


「それに、あのくらいの刺激がなくては、リリアン様のようなのんびりした方はいつまで経っても自覚なさいませんわよ」

「いいんだよ、リリアンはそれで」

「あなた方が良くても、わたくしはそうはいきませんの。あなたがフリーでいたのでは、うちの両親が諦めてくれないんですもの」


 そう言うカロライナは、とある伯爵家の嫡男と密かに愛を育んでいる。カロライナの方が彼にぞっこんで、押しに押して口説き落としたのだ。

 そんな事情をエルヴィスが知っているように、カロライナもまた、エルヴィスのリリアンに対する深い執着を知っているのだった。


「ま、せいぜい可愛い婚約者に逃げられないことね」

「逃げないよ、リリは」


 笑顔で断言すると、カロライナが嫌そうに眉間に皺を寄せた。

 たとえ逃げようとしたって、逃がしてやる気はさらさらない。


(私は父上や義母上とは違う――)


 社交界でも仲睦まじいことで知られる父と義母。二人が夫婦の関係を持っていないことを知る者は少ない。

 二人は今も、それぞれの亡き配偶者を想い続けているのだ。そして、そんな想いごと相手を受け入れ、尊重し、協力して愛する人の忘れ形見を育てあげた。

 父と義母、二人の間には、二人にしか分からない強い絆があり、それもまた一つの愛の形なのだろうとエルヴィスは思う。

 けれどエルヴィスの愛の形は、父や義母とは違うのだ。





「カロライナ様と何のお話をなさってたの、お兄様?」


 カロライナが立ち去るのを待っていたかのように、リリアンがエルヴィスのそばに戻って来た。


「うん、婚約おめでとうとね」


 微笑み、柔らかな茶色の髪を撫でる。


「それより。また言い間違えたね。お兄様って」


 そう指摘すると、リリアンは「あっ」と両手で口を覆った。


「だって、つい……」

「何て呼ぶんだっけ?」

「えっと、えっと……エル……」


 ほんのりと頬を染め、リリアンがエルヴィスの愛称を口にする。エルヴィスは満足げに目を細めた。


「よくできました。ご褒美のキスはどこがいい?」

「えっ、あの、じゃあ、お、おでこに……」

「ん」


 ちゅっと額に口付けると、周囲から「きゃーっ」「眼福ですわ〜」と令嬢達の黄色い声が上がった。

 そんな周囲に見せつけるように、エルヴィスはリリアンをエスコートしてにダンスに向かう。


 あの夜の馬車でのやり取り以来、リリアンが「唇に」と答えることはない。それが少々物足りなくもあるけれど――。


「……唇でなくて良かったの?」

「へあっ……!?」


 ダンスの合間、耳元に唇を寄せて囁くと、途端にリリアンがステップを乱した。


「こっ……こんな人前で、無理に決まってますっ!」

「そっか。じゃあ屋敷に帰ってからしようね」

「〜〜〜〜〜!」


 耳の先まで真っ赤に染め、口をパクパクさせるリリアンは、けれど決してエルヴィスの口付けを拒んだりはしない。

 たどたどしくも懸命に応えようとする初々しさを、今は存分に愛でようと、エルヴィスは口の端を上げる。


 その一方で、早く結婚しなければ、とも思う。エルヴィスの理性が焼き切れてしまう前に。 


(もしそうなっても、もちろん責任は取るけどね。一生かけて)


 添えた手で、華奢な背中をするりと撫でる。

 アイスブルーの瞳の中で、捕らえた子リスが小さく跳ねた。



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周囲の御令嬢の皆さんと一緒に「解釈一致!」と唱和してきました。 さらりと「もはや閉じ込めておくしかないかと思っていたが」等、ヤンデレの素養が見えつつも、こじらせて闇深き存在になる前に丸く収まってよかっ…
お兄様の執着ステキです。大変好物な物語をありがとうございました。 楽しかったです。
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