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4-1

そもそも、この島は、20年に一度、「財宝」の眠る洞窟の入り口が開くようになっている。

潮の流れの関係で普段は隠れている洞窟が現れるらしい。

なぜ20年に一度なのか、詳しいことはわかっていない。気まぐれな海流の所為なのか何なのか。

ただ、その「財宝」は人に害をなすものであり、その呪いと言われている災いは、主に夜に働くと言う。だから、20年毎に来るその年、その期間には、島の人々は夜に歩くことをしない。

しかし、ただ一人。

夜に海辺にいなくてはならない存在がいる。

「財宝」の呪いのかからぬ、唯一の人物。

それは、金の瞳に金の髪をしているという。

金の髪と瞳を持つ者のみが、夜の島に佇み、「財宝」を守り、誰も近寄らぬように見張るのだという……



とは言うけれど…。

カイは目を細める。

その見張り役になる家系というものが五家ほどある。

その家系の者たちが、「財宝」を守るすべを伝えらる。呪いと言われるモノに対しての抗体のようなものが、5つの家系にそれぞれに継がれるのだ。

その抗体の影響が顕著に表れる部分が、瞳と髪である。

20年に一度、五家のいずれかにいる15~20歳くらいの人物の一人が、金の瞳と髪に変わる。



それが、今回、私だったってこと。

そして、入り口が閉じる時にカイの役目も終わる。

カイは浜辺を歩き、黒い海を見ながら再び息をつく。

見張り役の各家系の該当の年齢の人物一人が、それぞれの家にある籠りの塔と呼ばれる白い小さな小屋で過ごす。眼と髪の色が変わらない人物たちは、つかの間の一人暮らしをするだけだ。

ただ、色の変わった本人だけが、その小屋の隠し通路を使い海辺へ出て行く。

島の人々が、誰が見張り役であったのかを知るのは、入り口の閉じた後のこととなる…。



カイは、物憂げな目で、黒い海を眺め続けた。

そして、何かの気配を察知して浜辺の一角を見る。


「……本っ当に、あきらめが悪いのね」

カイは、大きなため息をついた。

今夜もカイの目の前にいるのはレウリオだ。

「それで?どうしてまたここにいるの?」

「寝てたんですよ」

と事も無げに言う。

「…は?」

カイは、あきれた声を出した。

わざわざ夜にうろついて、しかも、わざわざ外で寝るという、レウリオの考えがまるでわからなかった。

「ただ黙って待っているだけだと暇で、つい寝てしまってました」

と笑って言うレウリオに、信じられない、と首を振った。

「何それ……寝るなら、宿で寝ていればいいじゃない」

そうまでして、夜に外にいたいの?

そう言いたげな目をしているカイに対し、レウリオはニッと笑ったままである。


カイは、そのレウリオの目を真っ直ぐに見た。

少々鋭い目元は気高く、真摯な光がある。決して嫌いな目ではない。

カイは、少々羨ましい気持ちを交え、レウリオの目を見つめていた。カイに見つめられながらも、レウリオは顔色一つ、変えない。



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