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恒星の黎明姫  作者: ポルゼ
プロローグ
1/34

Awakening / 目覚め

 鳥のさえずりが色々な所から聞こえてくる。鳥たちは森の中で目の前に倒れて動かない何者かに興味を示しているようだ。しかし、一匹、また一匹とその場を去っていく。


「……」


 倒れている何者かは息はしている。穏やかな表情で眠っているが、森の中で堂々と眠りこけているのは危険である。


「んー……」


 それから数時間が経ち、段々と日が落ちていくのが明らかになった時、その者はついに目を覚ました。


「んー?」


 まだ寝ぼけているのだろうか。目を開いたと思ったら目を瞑り、また目を開いたと思ったら目を瞑る。それを何度か繰り返した後、のそりと体を起こした。


「はぁ……」


 まだ覚醒しきっていない頭のまま周囲を見渡すが、そこには森しか広がっていない。だが、その光景を見たためにため息をついた訳ではない。

 いや、それも確かにため息をついた理由の一つなのだが、それ以上に頭が痛くなることがあったのだ。


「私……何やってたの?」


 そう、倒れていた少女には記憶がほとんど無かったのだ。自分が何故こんなところに倒れていたのかを思い出そうとしても、その理由どころか自分に関する他の情報もほとんど思い出すことができなかった。


「えーと……どこに向かって何をすればいいんだろう……」


 今の状況は割と絶望的である。記憶を失っており、人気のない森の中に一人でいる。記憶がないのでどこへ向かえばいいのかも当然分からない。このままだと高確率で死が待っているだろう。


「まず私の名前は……うん、大丈夫」


 彼女は自分の名前を思い出してみる。すると、自分の名前だろうと確信できるものがきちんとあることにひとまず安堵した。更に少女は、とても重要そうな記憶があることにも気づいたが、その記憶が現状を打破するものではないため、一旦考えないことにした。


「とりあえず歩いてみるしかないか。まぁ、なんとかなるでしょ!」


 特段理由はないが、謎のポジティブさで少女は一歩を踏み出した。

 この一歩は、少女にとっては森を抜けて生き延びるためのものであったが、やがて自分自身に向き合い、他者に向き合い、世界に向き合って波乱を巻き起こしていく。


 彼女の楽しくて辛くて嬉しくて悲しい冒険譚は、これから始まる。


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