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ダンジョン仕草  作者: 埴輪庭


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第50話:狂人の試練場

 迷宮の謎を解き、故郷ライカードへの帰還を目指す君と仲間たち──聖女ルクレツィア、騎士モーブ、斥候キャリエル。一行は、数々の探索者を蝕んできた大悪の正体を追って、迷宮の深層へと足を踏み入れた。


 第六層にて遭遇したオルセイン王国の魔騎士ベルンハルトを激闘の末に退けた君たちは、第七層「黒死聖堂」へと到達する。そこは光すら呑み込む暗黒の空間であり、中央には不気味な石棺が浮遊していた。その石棺こそが、かつてルクレツィアとモーブの精神を蝕んだ元凶であった。


 棺から現れたのは、大悪の腹心の一人、「深淵の聖母シェディム」。物理攻撃を反射・透過し、無数の高位悪魔を召喚するその力に、君たちは苦戦を強いられる。しかし、君とルクレツィアの精神を同調させる連携秘奥「魔装付与」によって悪魔の軍勢を殲滅。そして、キャリエルを囮とし、シェディムの能力の隙を突くことで、最後はモーブの一撃が深淵の聖母を討ち滅ぼしたのだった。


 シェディムを倒し、石棺に隠された転送罠を発見した君たち。束の間の休息の後、一行は覚悟を決め、更なる深淵──第八層へとその身を投じる。

 翌朝、君たちは覚悟を決めて石棺の転送罠に触れた。


 一瞬の浮遊感と視界がぐにゃりと歪む感覚──網膜に焼き付くような紫電の明滅の後、君たちの足は確かな感触を取り戻した。


 そこはこれまで経験したどの階層とも異質な空間だった。


「うわ……何ここ、気持ち悪い……」


 キャリエルの声に僅かな震えがある。


 壁も、床も、そして天井までもが、まるで巨大な生物の内臓のように生々しい肉塊で覆われている。


 不規則に脈打つ壁からは血の混じったような液体が滴り、生臭く、湿った腐臭が鼻をついた。


「ここは……第八層、なのでしょうか」


 ルクレツィアが蒼白な顔で呟く。


 瞳の奥には拭いきれない怯えが揺れている。


 それをごまかすように、ルクレツィアは君にわびた。


「そういえば主様、昨夜はわたくしとしたことが、大変な醜態を……」


 君は気にするなと短く返した。


 それよりも周囲を警戒するようにと促す。


 君の言葉にルクレツィアはこくりと頷いた。


 モーブは何も言わず、ただルクレツィアの背後から、君にだけ見えるように冷ややかな視線を送っている。


 まあ聖女ともあろうものが(性的な意味で)男に襲い掛かるなど、これはもう酷い失態だ。


 それはともかく、と君たちは慎重に肉壁の通路を進んでいく。


 一歩踏み出すごとに、ぬちゃり、と不快な音が足元から響いた。


 その時、通路の奥から複数の影が姿を現した。


 燃えるような赤い肌、鞭のようにしなる尻尾。そして鋭い鉤爪を持つ細身の悪魔の一団だった。


 数は五体。その瞳には純粋な害意がギラついている。


 モーブとキャリエルが即座に武器を構える。


 だが君は腕を組み、彼らを制した。


 この戦闘は任せる、と君は告げた。


 君の意図は二つ。一つは君の魔術の温存。そしてもう一つは、キャリエルらの成長を促すためだ。


「……分かった。私たちも、いつまでもお兄さんに頼ってばかりじゃいられないもんね!」


 キャリエルが短剣を構え直し、不敵に笑う。


 口の端に浮かぶタフな笑みに君はキャリエルの成長を感じ取り、なにやら感慨深い気分にもなる。


 死なのだ、と君は内心で思った。


 己の屍を積み重ねた数だけ人は強くなる。


「ええ。足手まといにはなりたくありませんから」


「主様の武威を示すまでもない、ということですね」


 ルクレツィアとモーブも頷き、戦闘態勢に入る。


 その顔に先程までの怯えの色はない。


 君からの信頼が、彼らの闘志に火をつけたのだ──と、君はそう思っている。


  ◆


 三人が悪魔の群れへと躍り出た。


 先陣を切ったのはキャリエル。斥候としての本領を発揮し、敵の攻撃を引きつけながら、危うい攻撃を巧みにかわしていく。


 彼女の危機察知能力はこの死地において、ますます磨きがかかっていた。


 その隙を突き風と化したモーブが側面から強襲する。


 鋭く構えられた剣の切っ先が悪魔の一体の首を正確に捉え、赤い血飛沫と共に──首を宙に舞わせた(クリティカル)


「聖なる光よ、邪を穿て!」


 後方からルクレツィアの詠唱が響く。


 杖から放たれた光の矢が悪魔たちに雨あられと降り注ぐ──が、脆弱。


 悪魔たちを倒すには至らない。


 だがそれでいいのだった。


 要はけん制なのだ。


 キャリエルの短剣が一体の悪魔の心臓を深々と貫き、モーブが残りの一体を切り伏せる。


 戦闘はあっという間に終わった。


 三人の連携は見事なもので、誰一人として傷を負っていない。


 君は満足げに頷き、その透徹した視線──心眼で三人の内なる力を見つめた。


 シェディムとの死闘を経て、彼らの階梯は確かに上昇していた。


 キャリエルは俊敏さを増し、モーブの剣には鋭さが加わり、ルクレツィアの神聖力はより清浄な輝きを放っている。


 悪くはない──だが、まだ足りない。


 そう君は判断した。


 君は仲間たちに、この先の戦いは今までの比ではないこと、そして更なる力が必要であることを告げる。


 そして有無を言わせぬ響きで宣言した。


 特訓だ、と。


「特訓? こんな場所でですか?」


 ルクレツィアが怪訝な顔で問い返す。


 君は頷き、そして説明を始めた。


 祖国ライカードには探索者の実力を飛躍的に向上させるための、ある便()()()()()が存在するのだと。その悪魔は一体一体が非常に強大であるが、仲間を呼び寄せ、際限なく増え続けるという特性を持つ。ゆえに倒せば倒すほど、こちらの力もまた増していくまさに生きた修練場であると。


 キャリエルたちは顔色を蒼褪めさせた。


 さきほどの赤い悪魔──レッサーデーモンなどとは比べ物にならない、魔界の貴族階級に属するより強大な存在であると君が言ったからだ。


 大悪を討つという目的は変わらない。


 だがその前に、パーティ全体の力を底上げする必要がある。


「わ、私たちで倒せるものなのでしょうか……」


 ルクレツィアが自信なさげに言う。


 モーブやキャリエルもしけた顔つきをしていた。


 だが君は笑顔を浮かべ、こんなことを言うのだった。


 なぁに、死んだら起こしてやる──と。


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S E T T I N G G R I M O I R E
ダンジョン仕草
設 定 資 料 集
入った者。堕ちた者。
そして、帰らなかった者たちの記録。
登場人物
迷宮に足を踏み入れた者の数だけ物語がある。だがその大半は、帰らなかった者の物語だ。ここに記すのは帰ってきた者たち──あるいは、帰るつもりのない者たちの記録。
▼ 主要パーティ
君
「君」
ライカード王国 魔導散兵 / 全能者《エルシャダイ》
黒いローブの青年。その実態はライカードという異国より来訪したキチガイである。あらゆる魔術、神聖術を行使するが“この世界の”術ではない。
戒律は善。困っている者は無償で助ける。ただし助け方が常識と噛み合わない。鉄錆びた死生観と人懐こい笑顔を同居させたクレイジーな冒険者だ。
キャリエル
キャリエル
幸運の女神 / ソロ探索者
赤い髪の少女。ソロで探索を続けている。妹の流行り病の薬代を稼ぐけなげな弱者。勘はいいがそれだけだ。
──その勘の精度を考えれば、それだけで十分ともいえるが。
ルクレツィア
ルクレツィア・フォン・エッセンバウム
降る雪の聖女 / 戦闘聖女《バトル・プリーステス》
カナンが迷宮に送り込んだ聖女。白銀の髪。大悪の調査に赴いた彼女を四人の聖騎士が護衛した。
──が、無様にも失敗。肉体を浸食され君に襲い掛かり、上半身をミンチにされて惨敗。おかげで死よりも悍ましい結末からは逃れられた。
固有術式「聖雪」。雪片の一つ一つが問う──あなたは善なる存在ですか、と。悪と判じられた者は自らの罪の重さで圧殺される。恐るべきはその判定が彼女の価値観で行われる事だ。
モーブ
モーブ
風渡りの聖騎士
ルクレツィアを護衛した四人の聖騎士のうちの一人。黒い髪のイケメン。異名は戦い方に由来する。神聖術で強化した肉体に、指向性を絞った風魔法を重ねた高機動戦闘。良く言えば寡黙。悪くいえばコミュ障。
▼ 探索者ギルド
サー・イェリコ・グロッケン
探索者ギルドマスター / 豚鬼種の英雄 / 利き鼻
探索者ギルドの親玉。巨大な体躯を執務机に収めた豚鬼種の英雄。その鼻で相手の帯びる毒、呪詛、悪意を嗅ぎ分ける。現役時代に悪竜を討ち、愛剣『大猪牙』を壁に飾る。脂肪の下には竜種に匹敵する膂力を秘めるが、全力稼働は数分──超えれば餓死するほど燃費が悪い。
ハノン
探索者ギルド受付嬢
金髪碧眼。冷静沈着で愛想がない。グロッケンの愛人という噂を流した者は、割りの悪い依頼しか回されずすぐ謝罪する羽目になったという。
ザンクード
荷持ちの老探索者 / 酔いどれ
いつも酒場で飲んでいる爺さん。喉の矢傷のせいで声が掠れる。半世紀を迷宮で費やした古強者で、流派の名を持たない我流の槍を振るう。型が無いぶん軌道が読めない。
ソニア
「ブルーソニアの隠し牙」リーダー
軽装の女戦士。まともに死ねなかった哀れな女。
ケイセルカット
斥候 / 「隠し牙」メンバー
運が良い若者。仲間がジャーヒルの歌に呑まれていく中、唯一正気を保ち、逃げ切った。
▼ カナン神聖国/オルセイン王国
法皇レダ
カナン神聖国 法皇
年齢抑制の恩寵で三十代半ばの外見を保つが、実年齢は六十を超える。彼女を「お飾り」と呼ぶ者がいる。傀儡の玉座で微笑むだけの女だと信じている者がいる。確かにそうかもしれない。レダは神聖術が絶望的に下手糞だし、政治を知らない。それでも彼女以外に法皇は考えられない。彼女がカナンで最も強いからである。
大主教ヒュレイア・フォン・ハーデン
六大主教 / ルクレツィアの上司
齢三十半ばで六大主教に昇り詰めた才媛。人間を道具として値踏みする。法皇を「お飾り」と見なし、いずれは自身がと考えている。彼女はレダよりよほど政治ができる。ただ、政治では魔を討てない。
宰相ジャハム
オルセイン王国宰相 / 大魔導師《アーク・ウィザード》
この男の全ての行動は、一つの名前で説明がつく。ザビーネ。亡き王妃の名だ。醜悪という言葉が人の形を取ったような男が、全存在を賭けて死者を蘇らせようとしている。クーデターでオーム王を追放し、ベルンハルトを裏切りの駒として迷宮へ送り込む。ただそれだけのために一つの国を大悪に捧げる。
ベルンハルト
近衛騎士団長 → 魔騎士
近衛騎士団長だった。過去形で語るしかない。ジャハムの策略で大迷宮に送り込まれ、大悪の力で魔騎士に堕ちた。
敵対者
囁く者とは人間が名付けた。名前をつけなければ、恐怖を語ることすらできなかったからだ。
囁く者
囁く者
歴史を紐解いてみれば、災厄と呼んでよい厄の陰には必ずこれらの存在があった。
ジャーヒル
ジャーヒル
暗黒の大母 / 二邪の一
肉を堕とす者
シェディム
シェディム
深淵の聖母 / 二邪の一
魂を堕とす者
▼ その他の脅威
エリゴス・ハスラー
カル・ローンの悪魔 / 首狩りハスラー
傭兵国家カル・ローンの筆頭傭兵団長。愛剣ローン・モウアで数え切れぬ英雄首を狩り獲った。最下層の宝剣を求め、第5層でルクレツィア一行と邂逅。情報を交換して一度は引き返したが──
魔将《デーモン・コマンダー》
大迷宮を狩り場とする上位悪魔族
悪魔は悪魔であって魔物ではない。囁く者たちとも無関係だ。彼らには故郷があり、大迷宮はその魔界との境界が薄い。だからこそ顕れる。中位、下位を従える様が将軍のようだから、人間が魔将と名付けた。
グレーターデーモン
上位悪魔
レッサーデーモンと並べて語られる事があるが論外である。レッサーより強大だからグレーターと呼ばれるのではない。その強さ、その恐ろしさゆえにグレーターデーモンと呼ばれるのだ。
その他の人々
主役だけが物語を動かすわけではない。名もなき者たちの選択が、時に世界の天秤を傾ける。
聖騎士サンドロス 異端審問官上がりの偉丈夫。法皇への不敬に義憤を感じ君に掴みかかり、べっこりへこまされた。残念ながら生存。
国王オーム クーデターで追放された元国王。その血は第10層への扉を開く鍵となる。──王の血とはつまり、そういうものだ。
ザビーネ 死者。亡き王妃。ジャハムの愛の歪みは、何人がそのために死んだかで測ればいい。
ゼナ 新米探索者。賊の襲撃で真っ先に立ち向かい真っ先に殺された。まあ、どこぞの冒険者に蘇生されたようだが。
ケージ 上位冒険者として稼ぎは十分あるはずなのに、全て賭博でトバすほどのカス。
ラーナラーナ レダの娘。くりくりとした眼にふわふわの栗毛。歳の頃は十かそこら。
国家と勢力
三つの国がアヴァロンの地下を巡って交わる。一つは戦いを神と崇め、一つは神に戦いを捧げ、一つは戦いの上に街を建てた。
ライカード王国
ライカード王国
超好戦的魔導国家 ── 死は風邪のようなもの
ライカードから来た男に、死をどう思うかと訊いた。少し重い風邪のようなものだ、と笑った。翌日、コボルトに殺された仲間を蘇生教会へ担ぎ込み、三十分後には酒場で一緒に飲んでいた。この男たちの国では、死は本当に風邪なのだ。
魔法体系は七段階の位階制で、各位階の呪文を一日九回まで使える。「絶対的な神などいない。いたとしてもそれは殺せる存在であり、神みたいなかんじの魔物である」と教育する国。
余談だが、ライカードにはNINJAとよばれる者たちがいる。忍者ではなくNINJAだ。全裸で戦い、手刀で首をはねる。諜報活動は行わない。
迷宮都市アヴァロン
迷宮都市アヴァロン
大迷宮の上に築かれた街
不味いエールで知られる安酒場がある。壁際に座ると怒号と笑い声が頭上を飛び交う。生きて帰った者が飲み、帰らなかった者の席には新しい誰かが座る。それがアヴァロンだ。
オルセイン王国に属するが実質は探索者ギルドの自治領。酒場と武具店と命知らずがひしめく。迷宮からは希少な資源、武具、魔法の道具が出土し、それを求めて各国から傭兵が集まる。
カナン神聖国
カナン神聖国
信仰の国 ── 白壁の都ユーガリット
白亜の城壁には退魔の力が込められている。ただし材質は白鳥石で脆い。
神を国として奉じる宗教国家。指導者は法皇レダだが、実質国を動かすのは六名の大主教。神聖魔法は信仰の深さで出力が変わる。応用は利くが不安定で、術者の心が揺れれば威力も揺れる。なお、カナンはヒト種のみで構成される。異種族の姿は見られない。それが何を意味するかは、各自の判断に委ねる。
囁く者とは何か
あなたの中に、それは既にいるかもしれない。
それ
「それ」の正体
見た目は生白くぬらっとした卑小なヒル。踏めば潰れる。焼けば死ぬ。──だが見た目通りの存在ではない。次元間の行き来を可能にする一種の生体ゲートである。一匹では意味を為さない。門を開くには膨大な数が要る。だから「それ」の目的は増えることだ。多く、多く、限りなく多く。それ以外の目的を持たない。
「それ」は増える
増殖手段は寄生。宿主に取り憑きエネルギーを搾取する。宿主が生きようとする限り、その行為は「それ」を守ることにもなる。──エネルギーとは栄養に限らない。感情だ。激しいほど上等の餌となる。信仰、愛、憎しみ、誇り。人間が最も尊いと思うものが、最も美味いらしい。
「改善」
効率よく餌を得るため「それ」は宿主を「改善」する。最初に恐怖を消す。次に哀しみを消す。すると宿主は囁きを天啓と受け止め始める。声に従えば辛いことが消え、喜びに満たされていく。──その喜びが「それ」を太らせているとも知らずに。
門が開く時
限度を超えると宿主の体内で際限なく増殖し、最後には宿主ごと破裂する。──ぱぁん、と。
破裂の直前、宿主は正気に戻る。自分を「こんなふう」にした存在への怒り。戻れない哀しみ。そして恐怖。その爆発が「それ」を爆発的に増やし、膨大なエネルギーが生体ゲートを起動させる。──つまり、絶望が門を開く。
なお「それ」は善でも悪でもない。だから破邪の力は痛痒を与えない。ルクレツィアほどの聖女の信仰すら、むしろ良質な餌だった。
門の向こう
歴史が一定の周期で大災厄を繰り返すのは、門が何度も開きかけているからだ。
アヴァロン大迷宮
潜った者だけが知っている。あの暗闇には温度がある。匂いがある。──息をしている。
第1層
F1 ── 薄暗回廊
松明の光が届く範囲だけが世界だった。石造りの回廊が続き、小鬼の爪が壁を掻く音が響く。新米はここで魔物の血の匂いを嗅ぎ、命の値段を覚える。
第2層
F2 ── 屍涼荒野
地下なのに空が見えた。説明はつかない。魔力の歪みが外界を投影しているとされるが、あれがどこの空なのかは誰も知らない。スケルトンの徘徊する荒野。
第3層
F3 ── 坑道層
至る所の松明は不思議と消えない。が──その影に悪魔が潜む。光が多いほど影も増える。安心と危険が同じ源泉から生まれる、嫌な構造。この辺から新米は遺書を書き始めたほうがいい。
第4層
F4 ── 迷宮層
側壁に装飾の施された「迷宮らしい迷宮」。人の手が入っているが建造者は不明。やけに寒く、湿った空気が流れる。墓場に似ている、と誰かが言った。
第5層
F5 ── 血渇円堂
通路はない。すり鉢状の広間が一つ。観客席に囲まれた円形の舞台。──かつて何者かがここで戦いを見物していた。そう思わせる構造だ。敵は出ない。ただしセーフエリアとは、あくまで人間の線引きである事を思い返すべきだ。
第6層
F6 ── 沼地層 / 下層回廊
上層は沼地。足元は緑と茶の泥に覆われ悪臭が漂う。触手の集合体と保護色のトカゲが襲う。長居すれば体が蝕まれる。下層は石の通路型回廊に変わる。
第7層
F7 ── 黒死聖堂
光が死ぬ。松明を掲げても闇に飲まれる。魔法の光も同じだ。ギルドの記録にすら情報のない未踏の領域。囁き声だけが耳元で鳴り続ける。
奥に至った者は見るだろう。墓石が円形に並び、中央に巨大な石棺が浮いているのを。暗黒の中で、それだけが明瞭に見える。
第8層
F8 ── 肉の回廊
生物的な質感の壁面が呼吸するように収縮を繰り返す。もはや迷宮ではない。上位の悪魔族が跋扈する魔界。
最深部
F9-10 ── 最深部
全ての道はここに至り、ここから先はない。
ダンジョン仕草
この魔導書はギルドの記録、生還者の証言、
そして迷宮から回収された断片から編まれた。
― 新着の感想 ―
え〜っと、スパルタってなんだったっけ………?
宿行かないと成長しない仕組みでなくて本当に良かった
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