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ダンジョン仕草  作者: 埴輪庭


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第47話:深淵の聖母シェディム②

 要するに物量戦だ、と君は言った。


 かつて相対した東方の女術師の反射には限界があった。一度の攻撃を一度返すのみで、連続攻撃には対応できなかったのだ。この敵もそういう相手の可能性がある。


「じゃあ私がやるよ」


 キャリエルが即座に申し出る。


「倒すのは無理でも──まあ、ちょんってやるくらいなら」


 モーブが無言で頷いた。彼は彼女を援護するつもりだ。


 君は二人の提案を受け入れる。理由は単純で、君の攻撃は加減を知らない。仮に君の斬撃が反射されれば、君自身が即死する可能性が高いからだ。


「お兄さんの攻撃って、容赦ないもんね」


 キャリエルが苦笑を浮かべる。先ほど君が真っ二つになりかけた光景を思い出したのだろう。


「行くよ」


 キャリエルが地を蹴った。赤い髪が炎のように靡く。短剣が鋭い軌跡を描いてシェディムへと迫り──


 鮮血が舞った。


 キャリエルの腹部に深い裂傷が刻まれる。自身の攻撃がそのまま返ってきたのだ。


「ぐっ……!」


 体勢を崩す彼女へ、シェディムの白い腕が伸びた。指先には禍々しい紋様が浮かび上がっている。触れられれば、ただでは済まないだろう。


 だが次の瞬間、風が吹いた。


 モーブがキャリエルを抱え上げ、攻撃圏内から連れ去る。風渡りの異名は伊達ではない。


 君はその隙を見逃さなかった。ローンモウアが閃き、シェディムの伸ばした腕を斬り飛ばす。


 反射はされない。


 やはり、一度使えばしばらくは使えないのか。


「ギィィィイイイ!」


 シェディムが絶叫を上げた。切断面から黒い体液が噴き出す。


 君は追撃を加えようと踏み込み──剣がすり抜けた。


 シェディムの胴体を、まるで幻を斬るかのように通過する。


 実体化の制御か、と君は舌打ちをする。反射だけでなく、物理攻撃を無効化する能力も持っているらしい。厄介な組み合わせだ。


 君はキャリエルに視線を向けた。


 もう一度行け──冷たく告げる。


 モーブが眉を顰める。


「しかし、彼女の傷は──」


 キャリエル以上の適任はいない、と君は断言し、同時に手を伸ばす。


 ──『小癒』


 僧侶系魔法の初歩中の初歩。だが君が使えば、それなりの効果を発揮する。キャリエルの傷口が見る間に塞がっていく。完治とまではいかないが、動くには十分だ。


「……お兄さん」


 キャリエルが君を見上げる。捨て駒にされたのではなく、最適だから選ばれたのだと、その眼は言っていた。


「うん、行ってくる」


 再び地を蹴る。今度は単純な直線ではない。左右に身体を振りながら、不規則な軌道で接近する。


 シェディムが腕を振るう。無数の黒い槍が虚空から生まれ、キャリエルへと殺到した。


 だがキャリエルは止まらない。槍の雨を紙一重でかわし、あるいは致命傷を避ける形で受けながら突き進む。


 そして──短剣が煌めいた。


 今度は胸元を狙う。シェディムは実体化している。槍を放つためには実体が必要なのだ。


 刃が肉に触れる瞬間、シェディムの体が再び透明化した。短剣は虚しく通過する。


 だが君は既に動いていた。


 実体化と非実体化。反射と透過。これらを同時には使えない。今、シェディムは透過を選んだ。


 ならば──


 君の剣が横薙ぎに振るわれる。案の定、刃は通過した。だがそれでいい。君の狙いは別にある。


 キャリエルが素早く身を翻し、もう一度斬りかかる。シェディムは慌てて実体化し、反射を試みる。キャリエルの刃が跳ね返され、彼女の肩口が裂けた。


「今だっ!」


 モーブが叫ぶ。


 反射直後の隙。実体化している今。


 君のローンモウアが蒼白い軌跡を描く。狙うは胴体、真っ向からの一撃だ。


 シェディムは透過しようとするが間に合わない。反射から透過への切り替えに、わずかなタイムラグが生じている。


 刃が肉を裂いた。深々と、容赦なく。


「ギャアアアアアアアアア!」


 シェディムの胴が斜めに裂ける。黒い体液が噴水のように吹き上がった。


 だが君は油断しない。この手の化け物はしぶとい事を君は知っている。


 案の定、裂けた上半身が宙に浮かび上がった。下半身は蜘蛛のように這いずり回っている。


 まだ生きている。


 上半身が残った片腕で印を結ぼうとする。最後の魔術か。


 君は即座に呪文を放った。


 ──『静寂』


 それも二重に束ねた強化版だ。シェディムの詠唱を封じ込めようと、無音の波動が広がる。


 だが──効かない。


 呪文は虚しく霧散した。チッ、と君は舌打ちをする。魔術が得意な相手というのは大抵この手の無効化能力も高いものだ。


 シェディムの片腕が複雑な印を結び終える。何が来るか分からない。


 だが──


 嵐が吹いた。


 モーブが動いたのだ。直線の機動力なら、彼は君以上に素早い。風を纏い、風と一体化し、風そのものとなって突進する。


 シェディムが振り向く暇もなかった。


 モーブの剣が、風の刃と化して襲いかかる。上半身を真っ二つに裂き──それだけでは終わらない。風が内側から爆発するように広がり、シェディムの体を粉々に吹き飛ばした。


 肉片が四散する。黄色い宝玉が砕け散り、光の粒子となって消えていく。


 深淵の聖母は、ここに滅んだ。


 モーブが着地し、剣を鞘に収める。無表情のままだが、どこか満足げにも見えた。


 君も剣を収め、振り返る。


 キャリエルが血まみれで座り込んでいる。ルクレツィアが彼女に駆け寄り、傷の手当てを始めた。


 満身創痍だ。だが、全員が生きて勝利を掴んだ。


 お疲れ様、と君が声をかけると、キャリエルが弱々しく笑った。


「モーブさん、かっこよかった……」


 モーブが僅かに頬を赤らめる。


 この男にしては珍しい反応であった。


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S E T T I N G G R I M O I R E
ダンジョン仕草
設 定 資 料 集
入った者。堕ちた者。
そして、帰らなかった者たちの記録。
登場人物
迷宮に足を踏み入れた者の数だけ物語がある。だがその大半は、帰らなかった者の物語だ。ここに記すのは帰ってきた者たち──あるいは、帰るつもりのない者たちの記録。
▼ 主要パーティ
君
「君」
ライカード王国 魔導散兵 / 全能者《エルシャダイ》
黒いローブの青年。その実態はライカードという異国より来訪したキチガイである。あらゆる魔術、神聖術を行使するが“この世界の”術ではない。
戒律は善。困っている者は無償で助ける。ただし助け方が常識と噛み合わない。鉄錆びた死生観と人懐こい笑顔を同居させたクレイジーな冒険者だ。
キャリエル
キャリエル
幸運の女神 / ソロ探索者
赤い髪の少女。ソロで探索を続けている。妹の流行り病の薬代を稼ぐけなげな弱者。勘はいいがそれだけだ。
──その勘の精度を考えれば、それだけで十分ともいえるが。
ルクレツィア
ルクレツィア・フォン・エッセンバウム
降る雪の聖女 / 戦闘聖女《バトル・プリーステス》
カナンが迷宮に送り込んだ聖女。白銀の髪。大悪の調査に赴いた彼女を四人の聖騎士が護衛した。
──が、無様にも失敗。肉体を浸食され君に襲い掛かり、上半身をミンチにされて惨敗。おかげで死よりも悍ましい結末からは逃れられた。
固有術式「聖雪」。雪片の一つ一つが問う──あなたは善なる存在ですか、と。悪と判じられた者は自らの罪の重さで圧殺される。恐るべきはその判定が彼女の価値観で行われる事だ。
モーブ
モーブ
風渡りの聖騎士
ルクレツィアを護衛した四人の聖騎士のうちの一人。黒い髪のイケメン。異名は戦い方に由来する。神聖術で強化した肉体に、指向性を絞った風魔法を重ねた高機動戦闘。良く言えば寡黙。悪くいえばコミュ障。
▼ 探索者ギルド
サー・イェリコ・グロッケン
探索者ギルドマスター / 豚鬼種の英雄 / 利き鼻
探索者ギルドの親玉。巨大な体躯を執務机に収めた豚鬼種の英雄。その鼻で相手の帯びる毒、呪詛、悪意を嗅ぎ分ける。現役時代に悪竜を討ち、愛剣『大猪牙』を壁に飾る。脂肪の下には竜種に匹敵する膂力を秘めるが、全力稼働は数分──超えれば餓死するほど燃費が悪い。
ハノン
探索者ギルド受付嬢
金髪碧眼。冷静沈着で愛想がない。グロッケンの愛人という噂を流した者は、割りの悪い依頼しか回されずすぐ謝罪する羽目になったという。
ザンクード
荷持ちの老探索者 / 酔いどれ
いつも酒場で飲んでいる爺さん。喉の矢傷のせいで声が掠れる。半世紀を迷宮で費やした古強者で、流派の名を持たない我流の槍を振るう。型が無いぶん軌道が読めない。
ソニア
「ブルーソニアの隠し牙」リーダー
軽装の女戦士。まともに死ねなかった哀れな女。
ケイセルカット
斥候 / 「隠し牙」メンバー
運が良い若者。仲間がジャーヒルの歌に呑まれていく中、唯一正気を保ち、逃げ切った。
▼ カナン神聖国/オルセイン王国
法皇レダ
カナン神聖国 法皇
年齢抑制の恩寵で三十代半ばの外見を保つが、実年齢は六十を超える。彼女を「お飾り」と呼ぶ者がいる。傀儡の玉座で微笑むだけの女だと信じている者がいる。確かにそうかもしれない。レダは神聖術が絶望的に下手糞だし、政治を知らない。それでも彼女以外に法皇は考えられない。彼女がカナンで最も強いからである。
大主教ヒュレイア・フォン・ハーデン
六大主教 / ルクレツィアの上司
齢三十半ばで六大主教に昇り詰めた才媛。人間を道具として値踏みする。法皇を「お飾り」と見なし、いずれは自身がと考えている。彼女はレダよりよほど政治ができる。ただ、政治では魔を討てない。
宰相ジャハム
オルセイン王国宰相 / 大魔導師《アーク・ウィザード》
この男の全ての行動は、一つの名前で説明がつく。ザビーネ。亡き王妃の名だ。醜悪という言葉が人の形を取ったような男が、全存在を賭けて死者を蘇らせようとしている。クーデターでオーム王を追放し、ベルンハルトを裏切りの駒として迷宮へ送り込む。ただそれだけのために一つの国を大悪に捧げる。
ベルンハルト
近衛騎士団長 → 魔騎士
近衛騎士団長だった。過去形で語るしかない。ジャハムの策略で大迷宮に送り込まれ、大悪の力で魔騎士に堕ちた。
敵対者
囁く者とは人間が名付けた。名前をつけなければ、恐怖を語ることすらできなかったからだ。
囁く者
囁く者
歴史を紐解いてみれば、災厄と呼んでよい厄の陰には必ずこれらの存在があった。
ジャーヒル
ジャーヒル
暗黒の大母 / 二邪の一
肉を堕とす者
シェディム
シェディム
深淵の聖母 / 二邪の一
魂を堕とす者
▼ その他の脅威
エリゴス・ハスラー
カル・ローンの悪魔 / 首狩りハスラー
傭兵国家カル・ローンの筆頭傭兵団長。愛剣ローン・モウアで数え切れぬ英雄首を狩り獲った。最下層の宝剣を求め、第5層でルクレツィア一行と邂逅。情報を交換して一度は引き返したが──
魔将《デーモン・コマンダー》
大迷宮を狩り場とする上位悪魔族
悪魔は悪魔であって魔物ではない。囁く者たちとも無関係だ。彼らには故郷があり、大迷宮はその魔界との境界が薄い。だからこそ顕れる。中位、下位を従える様が将軍のようだから、人間が魔将と名付けた。
グレーターデーモン
上位悪魔
レッサーデーモンと並べて語られる事があるが論外である。レッサーより強大だからグレーターと呼ばれるのではない。その強さ、その恐ろしさゆえにグレーターデーモンと呼ばれるのだ。
その他の人々
主役だけが物語を動かすわけではない。名もなき者たちの選択が、時に世界の天秤を傾ける。
聖騎士サンドロス 異端審問官上がりの偉丈夫。法皇への不敬に義憤を感じ君に掴みかかり、べっこりへこまされた。残念ながら生存。
国王オーム クーデターで追放された元国王。その血は第10層への扉を開く鍵となる。──王の血とはつまり、そういうものだ。
ザビーネ 死者。亡き王妃。ジャハムの愛の歪みは、何人がそのために死んだかで測ればいい。
ゼナ 新米探索者。賊の襲撃で真っ先に立ち向かい真っ先に殺された。まあ、どこぞの冒険者に蘇生されたようだが。
ケージ 上位冒険者として稼ぎは十分あるはずなのに、全て賭博でトバすほどのカス。
ラーナラーナ レダの娘。くりくりとした眼にふわふわの栗毛。歳の頃は十かそこら。
国家と勢力
三つの国がアヴァロンの地下を巡って交わる。一つは戦いを神と崇め、一つは神に戦いを捧げ、一つは戦いの上に街を建てた。
ライカード王国
ライカード王国
超好戦的魔導国家 ── 死は風邪のようなもの
ライカードから来た男に、死をどう思うかと訊いた。少し重い風邪のようなものだ、と笑った。翌日、コボルトに殺された仲間を蘇生教会へ担ぎ込み、三十分後には酒場で一緒に飲んでいた。この男たちの国では、死は本当に風邪なのだ。
魔法体系は七段階の位階制で、各位階の呪文を一日九回まで使える。「絶対的な神などいない。いたとしてもそれは殺せる存在であり、神みたいなかんじの魔物である」と教育する国。
余談だが、ライカードにはNINJAとよばれる者たちがいる。忍者ではなくNINJAだ。全裸で戦い、手刀で首をはねる。諜報活動は行わない。
迷宮都市アヴァロン
迷宮都市アヴァロン
大迷宮の上に築かれた街
不味いエールで知られる安酒場がある。壁際に座ると怒号と笑い声が頭上を飛び交う。生きて帰った者が飲み、帰らなかった者の席には新しい誰かが座る。それがアヴァロンだ。
オルセイン王国に属するが実質は探索者ギルドの自治領。酒場と武具店と命知らずがひしめく。迷宮からは希少な資源、武具、魔法の道具が出土し、それを求めて各国から傭兵が集まる。
カナン神聖国
カナン神聖国
信仰の国 ── 白壁の都ユーガリット
白亜の城壁には退魔の力が込められている。ただし材質は白鳥石で脆い。
神を国として奉じる宗教国家。指導者は法皇レダだが、実質国を動かすのは六名の大主教。神聖魔法は信仰の深さで出力が変わる。応用は利くが不安定で、術者の心が揺れれば威力も揺れる。なお、カナンはヒト種のみで構成される。異種族の姿は見られない。それが何を意味するかは、各自の判断に委ねる。
囁く者とは何か
あなたの中に、それは既にいるかもしれない。
それ
「それ」の正体
見た目は生白くぬらっとした卑小なヒル。踏めば潰れる。焼けば死ぬ。──だが見た目通りの存在ではない。次元間の行き来を可能にする一種の生体ゲートである。一匹では意味を為さない。門を開くには膨大な数が要る。だから「それ」の目的は増えることだ。多く、多く、限りなく多く。それ以外の目的を持たない。
「それ」は増える
増殖手段は寄生。宿主に取り憑きエネルギーを搾取する。宿主が生きようとする限り、その行為は「それ」を守ることにもなる。──エネルギーとは栄養に限らない。感情だ。激しいほど上等の餌となる。信仰、愛、憎しみ、誇り。人間が最も尊いと思うものが、最も美味いらしい。
「改善」
効率よく餌を得るため「それ」は宿主を「改善」する。最初に恐怖を消す。次に哀しみを消す。すると宿主は囁きを天啓と受け止め始める。声に従えば辛いことが消え、喜びに満たされていく。──その喜びが「それ」を太らせているとも知らずに。
門が開く時
限度を超えると宿主の体内で際限なく増殖し、最後には宿主ごと破裂する。──ぱぁん、と。
破裂の直前、宿主は正気に戻る。自分を「こんなふう」にした存在への怒り。戻れない哀しみ。そして恐怖。その爆発が「それ」を爆発的に増やし、膨大なエネルギーが生体ゲートを起動させる。──つまり、絶望が門を開く。
なお「それ」は善でも悪でもない。だから破邪の力は痛痒を与えない。ルクレツィアほどの聖女の信仰すら、むしろ良質な餌だった。
門の向こう
歴史が一定の周期で大災厄を繰り返すのは、門が何度も開きかけているからだ。
アヴァロン大迷宮
潜った者だけが知っている。あの暗闇には温度がある。匂いがある。──息をしている。
第1層
F1 ── 薄暗回廊
松明の光が届く範囲だけが世界だった。石造りの回廊が続き、小鬼の爪が壁を掻く音が響く。新米はここで魔物の血の匂いを嗅ぎ、命の値段を覚える。
第2層
F2 ── 屍涼荒野
地下なのに空が見えた。説明はつかない。魔力の歪みが外界を投影しているとされるが、あれがどこの空なのかは誰も知らない。スケルトンの徘徊する荒野。
第3層
F3 ── 坑道層
至る所の松明は不思議と消えない。が──その影に悪魔が潜む。光が多いほど影も増える。安心と危険が同じ源泉から生まれる、嫌な構造。この辺から新米は遺書を書き始めたほうがいい。
第4層
F4 ── 迷宮層
側壁に装飾の施された「迷宮らしい迷宮」。人の手が入っているが建造者は不明。やけに寒く、湿った空気が流れる。墓場に似ている、と誰かが言った。
第5層
F5 ── 血渇円堂
通路はない。すり鉢状の広間が一つ。観客席に囲まれた円形の舞台。──かつて何者かがここで戦いを見物していた。そう思わせる構造だ。敵は出ない。ただしセーフエリアとは、あくまで人間の線引きである事を思い返すべきだ。
第6層
F6 ── 沼地層 / 下層回廊
上層は沼地。足元は緑と茶の泥に覆われ悪臭が漂う。触手の集合体と保護色のトカゲが襲う。長居すれば体が蝕まれる。下層は石の通路型回廊に変わる。
第7層
F7 ── 黒死聖堂
光が死ぬ。松明を掲げても闇に飲まれる。魔法の光も同じだ。ギルドの記録にすら情報のない未踏の領域。囁き声だけが耳元で鳴り続ける。
奥に至った者は見るだろう。墓石が円形に並び、中央に巨大な石棺が浮いているのを。暗黒の中で、それだけが明瞭に見える。
第8層
F8 ── 肉の回廊
生物的な質感の壁面が呼吸するように収縮を繰り返す。もはや迷宮ではない。上位の悪魔族が跋扈する魔界。
最深部
F9-10 ── 最深部
全ての道はここに至り、ここから先はない。
ダンジョン仕草
この魔導書はギルドの記録、生還者の証言、
そして迷宮から回収された断片から編まれた。
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