ユイの自宅にて
ミミが道端で拾った物は、水晶だった。水晶の事を知らなかったミミにユイが説明をした後、2人はユイの自宅へ向かうことにした
日も落ち辺りが薄暗くなった頃、2人はユイの自宅に到着していた。
ミミ「あ〜、久しぶりにユイの家に来たなぁ」
ユイ「あ、ちょっとミミ!勝手に私の布団に入らないでよ〜」
ミミ「いいじゃん、暖かいし」
友人の家である事を忘れたかのようにリラックスするミミを眺め、ユイは1度止めた思考を加速させる。
ユイ(ミミが見つけたあの水晶、僅かだけどこの世界では無いものを感じるんだよね…。やっぱり普通の水晶ではないと思うけど、それなら一体何だろう・・・。精霊たちなら分かるかな…?)
ミミ「?どうしたの、ユイ??」
ユイ「えっと・・・、この水晶について“精霊の泉”にいる精霊たちに聞けば、少し情報を得られるかなって考えてて」
ミミ「精霊たち!?私も久しぶりに会いたいなぁ」
ユイ「それなら明日、精霊の泉まで行こうか」
ミミ「うん!」
ユイは精霊の泉に暮らす4大精霊の長と契約を結んだ精霊使いであり、ミミはユイと契約を結んでいる精霊たちと仲良しなのだ。
ユイ「皆、元気だといいけど・・・」
ミミ「大丈夫だよ!だって最近、自然環境が良くなってるし」
ユイ「そう、だよね」
ミミ「ま、何かあった時は獣人の能力を活用してあげる!獣人は聴力の嗅覚が敏感で、視力も良いからね!!」
ユイ「ありがと」
ミミ「親友だから当たり前だよ!」
獣人特有の獣耳をピコピコと動かしながらミミは、ユイの心配を解消しようとする。ところがその時、ギュルギュルと現在進行形で空腹のミミのお腹が音を出し、
ミミ「ユ、ユイ・・・お腹空いたから夕飯食べたい・・・」
ユイ「はぁ、本っ当にミミは燃費が悪いよね・・・」
ミミ「仕方ないじゃん、獣人は適度に食事を摂る種族だよ。だから私も、直ぐにお腹がすいちゃうの〜((汗))」
ユイ「分かった。ただし、夕飯の準備を手伝わないとご飯はあげないよ」
ミミ「うわぁーん、ユイの意地悪〜(泣)」
ユイ「我儘は言わないでよ・・・、此処私の家なのに」
ミミ「あ、そうだった」
ユイ「忘れてたのかい!」
ミミ「ごめん〜」
ユイ「ついさっき、“久しぶりにユイの家に来たなぁ”って言ってたよね!」
ミミ「獣人は都合の悪い事は、忘れやすいので((汗))」
ユイ「獣人の能力のせいにしない!それと、忘れやすくないからね」
ミミ「バレた」
ユイ「ほら、やっぱり」
ミミ「ユイ、本当にこの水晶は何であの道に落ちてたのかな?」
ユイ「気づかなかったとか?」
ミミ「うーん、何か匂いを嗅いだ時に数十日前に落としたらしいんだよね…。だから気づかなかった訳では無さそう……」
ユイ「他に経緯とかあるかな……」
ミミ「どうなのかな…」
ユイ「ま、私達で調べてみよ」
ミミ「そうだね。あ、また1つ聞いてもいい?」
ユイ「ん、何?」
ミミ「ユイの種族って、何?私達が出会った時から教えてくれないよね」
ユイ「・・・、まだ教えられない。“いつか”教えるから」
ミミ「・・・うん、分かった」
2人の間には気まずい空気が漂う。その空気を壊そうとしたのか、
ユイ「とりあえず、夕飯出来たから食べようか。今、ジュースしか無いんだけど、ミミはオラジーナとグルリールのどっちがいい?」
ミミ「オラジーナにする!」
ユイ「了解」
この世界では、オレンジジュースに似たオラジーナ、ぶどうジュースと似たグルリールがある。2つとも精霊の泉にしか生えない特殊な樹木に実がなる。精霊使いのユイだからこそ、高価なオラジーナとグルリールを持つことが出来る。
その後2人は夕飯を食べ、精霊の泉へ行く為の体力を温存することにした。ユイはこれからへの不安、ミミは精霊たちと会うことへの楽しみと、新しく知識を得られた事に喜びながら就寝した。