表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グリーンスクール - 主人公  作者: 辻澤 あきら
4/23

主人公-4

 グラウンドに立つと、高松キャプテンが呼び寄せた。しのぶと朝夢見は招かれるままに、涼子と恵理奈の横に並んだ。

「じゃあ、揃ったことだし、始めようか」高松

涼子は力強く頷いた。それを見て、しのぶは緊張してしまった。

「まず、遠投から、外野からホームにボールを投げてよ」高松


 四人はセンターに集まり、涼子から順にボールを投げ始めた。涼子は三球を投げ、何とかツーバウンドかスリーバウンドでボールを届かせた。少し舌打ちをしながら、涼子は恵理奈と交代した。次に投げた恵理奈のボールは、山なりに飛んでいき、ホームベースに立っている高松に転々と届く程度であった。勝ち誇っている涼子の目の前で、しのぶはボールをつかんだ。思ったより硬くて重いなと重いながら、えいや、と投げた。が、ボールはあらぬ方向へ飛んでいき、全くホームを目指さなかった。あれ、と呟きながら、次のボールを投げても、やはり涼子のようには飛んでいかない。もう一球投げても、二塁まで届くのがやっとだった。

 がっくりしながら引き下がると、朝夢見がボールを握った。そして、息を整えて、じっとホームを見据えた。いつになく真剣だと、しのぶは思った。ゆったりとしたフォームから朝夢見が左腕を振ると、ぐん、と伸びたボールがダイレクトに高松に届いた。驚愕の嘆息が漏れる中で、朝夢見はもう一球投げた。やはり、ボールは、真っ直ぐに高松に届き、高松のミットに響いた。唖然とする面々の中で朝夢見はもう一球を投げ込んで終えた。

 すごい、を連発するしのぶとともに、朝夢見はゆっくりとホームへ戻ってきた。少し涼子が不満そうな様子だったが、誰の視線も朝夢見に集められ、涼子の態度に目を向ける者はいなかった。

「すっごいね」亮

「ホント」池田

「女か、あれ」山本

驚きの言葉の前に佇む朝夢見の姿は、ただの女の子にしか見えなかった。大勢の注目の中できょとんと首を傾げている姿に、みんな、ただ驚いているだけだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ