表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グリーンスクール - 主人公  作者: 辻澤 あきら
2/23

主人公-2



 朝夢見に連れられてグラウンドに行くと、そこにはいつもと同じように、打球の音と掛け声が飛び交っていた。しのぶは、なんだ、と思いながら近づくと、マウンドに金髪の少女が立っているのを見つけた。少女は、肩までのびた髪を振り乱してボールを投げていた。そして、打席には、小さな、小学生のような男の子が、長いバットを振り回している。打球が飛んだ先には、これもまた長い髪を束ねた少女が、土煙を上げて打球に飛びついた。

 しのぶは、その光景に惹きつけられてネットを掴んで見入ってしまった。ひい、ふう、みい、三人の少女が混じっている。しのぶは、次第にわくわくしていた。

 ベンチに腰掛けて見学していると、ますます気持ちは昂ってきた。グラウンドを駆け回る選手たちの活気は、前に見た野球部と同じか、むしろ、活発なくらいだった。その中に、少女が混じっていることが、一層しのぶの気持ちをかき立てた。

 練習が終わって選手が戻ってきたとき、キャプテンの高松が全員を集めて、しのぶを紹介した。

「え、今度、わが愛球会に入会してくれる、岩崎しのぶ、さんです。二年…何組だっけ」高松

「A組です」しのぶ

「だそうです。どうぞ、自己紹介を」高松

「はい。えー、岩崎しのぶ、です。スポーツは、やったことがないんですけど、よろしく、お願いします」しのぶ

「なんだ、また女か」山本

「山本、いいじゃないか」高松

「だけど、新入会員は、女ばっかりだよ」山本

「いいじゃない、好きなら」亮

「そうよ、そうよ。文句あんの?」リョーコ

「べつに…」山本

「よろしく。あたし、朝霧涼子。二年F組。あたしも最近入ったとこなの」リョーコ

「あたし、桜井恵理奈です。一年C組です。前は、陸上部だったんですけど、辞めてここに入りました。あたしも、つい最近入ったんです。よろしく」恵理奈

「ハイ、サンディです。ヨロシク」サンディ

「はい、よろしく」しのぶ

「そっちのも、入んの?」山本

山本が朝夢見を指さして言った。朝夢見に注目が集まり、朝夢見は自分を指さしながらきょとんとしていた。

「あたし?」あゆみ

「入ろうよ。ね」しのぶ

「んー、どうしよう」あゆみ

「いいじゃない、入れば」小林

「そうだよ、多いほうがいいよ」亮

「入ろう」しのぶ

「んー、じゃあ、入ります」あゆみ

「やったぁ」しのぶ

「……なんだ、また女か」山本

「山本、文句は、大きな声で言えよ」中沢

「いいよ、女でも」山本

「そうだよ、人数が増えりゃ、紅白戦もできるし」池田

「………下手っぴが増えても、ムダなんだけどな」山本

「なんだ?」高松

「いえいえ。なんでも、ありましぇーん」山本

「よぉし、一気に二人増えた」高松

「けっこう、可愛いね。二人とも」中沢

「年上のお姉様ばっかり、ってのも、いいね」木村

「ね、じゃあ、テストして、新しくレギュラー決めなおそうよ」リョーコ

「え、どうしてぇ?」山本

「だって、あたしたち、後から入ったっていうだけで、補欠なんて変だよ。新しくスタメンを入れ替えようよ」リョーコ

「そんな必要ないよ、な」山本

「いや、まぁ、どのくらい上手いのかテストも必要だし、上手かったら、入れ替えも考えよう」高松

「さんせーい!」リョーコ

「なまいきなヤツ」山本


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ