アンジェリカ 放課後を満喫する
今日も放課後、ブレンダの入れた紅茶を飲みながら、2人の様子を眺めていた。
そうだ、久しぶりにクッキーでも焼きましょう。
「エイリーン様は綺麗ですから、前髪を分けましょう」
「この髪型は、継母から目立たないように顔を隠せと…」
このやり取りは何度目だろう。
そろそろ終止符を打つ必要がありそうだ。
ブレンダは分かってないなーという顔をわざとする。
「エイリーン様の継母様とアンジェリカ様どちらが上だと思っていますか?」
「それはもちろんアンジェリカ…。アンジェ様です」
エイリーはまだ私の事をアンジェと言い慣れていない。
少し恥ずかしそうに言うのが可愛いんだよね。
ブレンダが私の顔を見て笑顔を作った、なるほどね。
「エイリー、明日からは前髪を分けなさい。私からの命令です。誰かから何か言われても私から命令されたと言えば問題はありません」
エイリーは恥ずかしそうに俯いている。
「分かりました」
「ブレンダ、さっそくエイリーを最高に可愛く化粧してね」
「お任せ下さい。この世でお嬢様の次に可愛い女の子に仕上げます」(天使の笑顔)
エイリーはアタフタし始めた。
「そんな事にはなりませんから。普通の化粧をお願いします」
それからブレンダの化粧を見ていたけど、凄い。
どんどんエイリーが妖艶な女性に変わっていく。
エイリーは背もそこそこ高く、既に大人の魅力が少しだけ見られる。
逆に私は、お人形さんに例えられるようなタイプだ。
「エイリーが美女になりすぎて、私は妹に見られそうだよ」
ブレンダがその言葉に飛び付く様に反応する。
「お嬢様の可愛さは天使と言われても納得のお顔です。人の顔と比べる必要などございません」
「それって、私は人外の顔って聞こえるよ…」
軽い冗談も飛び交うすごい和やかな空気だ。
悪役令嬢ってこんな楽しい事もあったんだ。
「エイリー、自分の顔見てどう思う?」
エイリーはまたアタフタしている。
「今までの自分の顔と全く違っていて、少し驚いています」
ブレンダが化粧の説明をしてくれた。
「エイリーン様は素顔がもともと綺麗です。髪型と少しの化粧を覚えるだけで見違える様になります。これ程になると、男を避ける為にもアンジェリカ様に付いていた方が安心ですね」
エイリーはブレンダの言葉を良く理解していない様だ。
少し不安げに尋ねた。
「どんな事になるんですか?」
ブレンダの丁寧な説明はとても分かりやすい。
「エイリーン様は伯爵家で家格は悪くありません。そしてこの美貌。今まで目立っていなかった為、注目度も高くなり、男性からの求婚が殺到する可能性があります」
「ええー、そんなの困ります。アンジェ様よろしくお願いします」
男性からの求婚か…。
縁の無い話だから良く分からないけどそういう事になるんだね。
「エイリーは私から離れないように。でも、好みの男性からの求婚には答えて構いませんからね」
「私は結婚出来る何て思っていなかったので…」
ブレンダは部屋の中で一番年上の女性だ。
恋も色々知っているかもしれないね。
言葉に説得力があるよ。
「学園に入学したばかりです。これから色々経験して、素敵な出会いをすれば良いのです」
話が纏まった所で早速エイリーに告げる。
「エイリーは明日から私と一緒に登校しましょう。少しの隙も見せてはなりませんからね」
「分かりました」
「そろそろクッキーが焼けましたね。皆で食べましょう」
「はい。頂きます」
「ご褒美です」(天使の愛)
同世代の子と話す事なんて今まで無くて、こんなに楽しいって知らなかった。
悪役令嬢もなかなか悪くないわね。
ほのぼのとした内容になりました。
エイリーンはとても美人です。
継母と姉のアイリーンはそこに嫉妬しています。