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公爵令嬢の矜持  作者: 大介
第1章 王立学園1年生
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閑話 ベティ 奥様からの指令

お嬢様達が学園に向かう前日の事です。

私は奥様に呼ばれました。


確実に任務の話だと思うけど、嫌な予感がするわね。

「ベティ、王子を1年程不能にしておいて。毒はシェリルに相談してくれれば良いから。よろしくね」

「かしこまりました」


不能にすればお嬢様も安心ですからね。

娼館でパーティーをしている王子に毒を盛るのは簡単だけど、身体を触られたくないわね。


触られたら殺す。

奥様も許してくれるでしょう。


奥様の専属侍女は皆が特殊なのよね。


シェリルの部屋を訪ねたら案の定、毒をずっと研究している。

相変わらず研究馬鹿といった感じの部屋だわ。

使い方の分からない器具が沢山。


「シェリル、久しぶりね」

「ベティが来るなんて珍しいわね。遂に毒に興味が湧いた?」


「違うわ。仕事で毒を使いたいの。男を1年間不能にする毒と睡眠薬ある?」

「例の王子ね。あるけど飲ませるタイプと塗るタイプがあるけど、どっちが良い?」


無いわ。

塗るとかないわ。

塗る位なら切断するわ。


「飲ませるタイプでお願い。両方お酒に混ぜても大丈夫?」

「無味無臭だし、違う毒に変異しないから大丈夫だよ。ちょっと待ってねー」


本当にどれだけ毒が好きなのよ。

小箱の中身が全部毒とか恐ろしいわ。


「はい。あの王子なら腐り落ちる毒を使いたいけど残念ね」

「私もそう思うわ。まだ少しだけ利用価値が残っているのでしょう」


シェリルから毒の入った袋を受け取り、髪を黒く染めてから王都に向かう。

髪を染めないと何か不安なのよね。

昔からの癖は抜けないわ。


それより王子が使っている娼館は結構厳しいのよね。

さて、どうするか…。


まぁ私の美貌なら王子は確実に声をかけてくるでしょう。

買い物をしている振りでもしているれば十分ね。


ああ、来たわね。

あれが王子とか笑えるわ。


結構な護衛も付いているのね。

荷物検査されたら面倒ね。

毒と睡眠薬は胸の間に隠しておきましょうか。


「おい、そこの女。良い女だな。今からパーティーするんだが参加しろ」

「私ですか?王子様のパーティーに参加しても良いのですか?」


簡単過ぎて驚くわ。

この王子、全身海綿体だ。


「ああ。俺の好みだ。無理矢理にでも参加させてやるよ。心配するな」

「分かりました。では付いて行きます」


「王子、この女性の荷物検査をしたいのですが」

「ああ。手早く終わらせろ」


荷物検査ね…。

初心な女を装えば楽勝でしょう。


「手には何も持っていないな。服の…」

「きゃ。そんな所触らないで下さい。まだ誰にも触られていないのに」


「そうか。誰にも触られた事が無いのか。おい、荷物検査は中止だ!」

「王子、何かあっては私達の責任になります」


「何だ?お前は俺より先にこの女に触りたいのか?それとも俺より偉いのか?」

「いいえ、そういう訳ではありません。失礼しました」


本当に楽勝ね。

下半身に脳が詰まっているのかしら。

小さいけど頑張って主張しているし。


「おい、お前こっちに来い。一緒に向かうぞ」

「は、はい。お手柔らかにお願いします」


肩と腰とお尻は諦めよう。

それ以外を触ったら殺そう。


しかし、良くこんな状態で街を歩けるわね。

元気な男の子(小さい)ですってアピールでもしているのかしら?


触られている肩と腰も気持ち悪い。

お尻を触られるのも我慢しましょう。

どさくさに紛れて胸を触ろうとしてくるのがうざい。


何とか触られたくない場所は守り通したわ。

男の子アピールが凄い事になっているわね。

私が避けるから興奮でもしたのかしら。


先端が濡れているのが気持ち悪さを強調しているわね。


やっと目的地の娼館に着いたわ。

「おい、今日のパーティーの準備は出来たか?」

「はい。準備は万端ですがそちらの女性は?」


「良い女だろ?飛び入りで参加させろ。まさか駄目とか言わないよな?」

「も、もちろんでございます。王子様が連れて来た女性を疑う様な事はしません」


「そうだよな。俺も我慢の限界だよ。まずはこの女からだ」

「ではお部屋まで案内します」


私を一番最初に狙っているの?

吐き気がするわ。


護衛が部屋の扉を抑えているのか…。


部屋に入ったら多くの女と酒瓶が並んでいた。

私はまず瓶に入ったお酒を少し飲む。

そして素早く薬を入れる。


「王子様。私は怖いのです。このお酒がなくなるまで待って下さい。まずは間接キスからで」

「おいおい、どこまで初心なんだよ。その程度の酒なら俺が直ぐに飲み干すぞ!」


さすが馬鹿だわ。

一気飲みね。


「さあ、酒がなくなったぞ?準備は出来たか?」

「ええ。さようなら王子様」


「あ、あれ。何で眠たく…」

「きゃーーー」


突然王子が倒れたら店の子が悲鳴を上げるわよね。

それを聞いたら護衛が入って来るわよね?


「王子が興奮してお酒を一気飲みしたら倒れてしまいました」

「はぁ、そうですか。今日のパーティーはここまでですね」


護衛も大変ね。

寝ている王子を確認して問題無いと判断したのね。

王子の好感度が低くて楽出来たけど早く体を洗いたいわ。


私は護衛に質問される前に颯爽と店を出る。

外にも護衛が結構いるわね。

急いで逃げたら怪しまれるか。


ああ、消毒したい。

早く消毒して綺麗になりたいのに。


仕方が無い。

堂々と近くの民宿で一泊してから帰るか。


翌日の昼、懐かしい気配がする。


やっぱりブレンダか。

しかも男達を殴り倒しているし。


今日は学園の入学式か。

挨拶に来ない王子の調査をお嬢様に依頼されたのね。


この距離にいる私に気が付かないなんて、訓練が足りてないわ。

お嬢様の為に準備していたから仕方が無いけど、その間私は地獄だったわよ。


何処まで接近出来るかしら。

まさか肩に手を置かれるまで気が付かないとはね。

「もう、ベティ脅かさないでよ」

「訛ってるブレンダが悪いのよ」


私との会話でブレンダも少し疑ったみたいね。

お嬢様の計画は奥様が当然把握しているわよ。


イヴが監視しているから隠し事は無理。

奥様専属侍女は異常者の集まりだから…。

つまり、一番の異常者は奥様では?


駄目よ、それ以上は危険。

早く帰って奥様に報告した後、体を綺麗にする事だけを考えましょう!

海綿体を思い通りに動かすのは簡単です。

ベティは美人ですからね。

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