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公爵令嬢の矜持  作者: 大介
第1章 王立学園1年生
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閑話 ブレンダ アドルフ王子の素行調査

可愛いお嬢様の頼みとはいえ、あの界隈に行くのは少し嫌だなぁ。

どうせ、ろくでもない男に声をかけられるし…。


正面から歩いてくる2人組、私に声かけるつもりかも。

さっきから視線を感じるし、にやにや笑っている。

私を凝視して良いのはお嬢様だけなのに、死にたいのかな?


ほんと、女1人だからだと思うけど、治安悪過ぎだよね。

そんな事を考えていると声をかけられた。

「おねぇーちゃん、どこの店で働いてるの?」

「俺らと遊そぼーぜ、店を通さずにお金払ってもいいぜ?」


「ごめんなさい、用事がありますので失礼します」


2人を通り過ぎようとすると、長髪の男が咄嗟に両腕を広げて行く手を塞いだ。

いきなり止めようとするなんて、前科がありそう。

「おいおい、そんなにつれないこと言うなよ。お互い楽しく遊ぼうとしているだけだぜ?」


「ごめんなさい、用事がありますので失礼します」


今度は短髪の男が話しかけてきた。

「こちらが優しくしているうちに、楽しく遊んだほうがいいぜ。痛いのは嫌だろ?」

「確かに痛いのは嫌でございます」


私の言葉に納得したのか、男たちが下卑た笑いを浮かべた直後、長髪の男の股間を全力で蹴り上げ、悶絶している所で、こめかみに後ろ回り蹴りを叩き込む。


あまりの出来事に茫然としている短髪の男の首に肘鉄を打ち込み呼吸困難に陥らせた。


この辺にしておきますか。

あまり騒ぎすぎても面倒ごとが増えるだけだし。


それにしても嫌な場所。


少し歩くと目的の娼館に着いた。

受付のおじさんが見えたので「おっちゃん久しぶり!」と元気に声をかける。


おじさんも「お嬢ちゃんまた来たのかい?」と驚いているみたいだ。

「おっちゃん、私が来た理由分かるでしょ?」

「例のお客様の事かい?」


「流石だね!話が早くて助かるよ。ここで病気もらったんじゃないの?」

「頼むから、ここで病気の話は止めてくれ。実はここの女の子じゃなくて、他所からも女の子連れてきたみたいで、皆で遊ばせろと煩くてねぇ。オーナーも相手があれだから仕方なしに了承したら案の定、病気持ちの子が混ざってたって訳だよ」


「それで、この娼館にはお咎めが無い訳だね」

「そうそう、うちは見た目と病気に徹底している高級店だからね」


「ところで連れてきた女の子の特徴とか分かったりする?」

「美人だったよ。この辺では珍しい黒髪だったんだけどね。あれはいい女だよ」

黒髪の美人ね…。


「今回もありがとう」

無言でおじさんに金貨を数枚渡す。


「お嬢みたいな可愛い子はあんまり近づいたら駄目だよ」

「ありがとねー」


なるほど。

薬を盛ったのが誰か分かったけど、どう報告しようか…。


あれ?

いつの間にか肩に手が置かれてる。

気が付かなかった。


「もう、ベティ脅かさないでよ」

「訛ってるブレンダが悪いのよ」


ベティと私は幼馴染で、同業者だったんだけど訳あって侍女になったんだ。

「相変わらず仕事の時は染めてるんだ」

「昔からの心構えは変えられないのよ。それにしても、あの男ベタベタと私の体を触って、気持ち悪い。早く消毒しないと病気になるよ」


ベティが動いているという事は

「奥様かな?」

「大正解!約1年、不能にしておいてって頼まれちゃって」


やはり奥様も何かお考えがあるのかもしれない。

とりあえず、お嬢様が学園にいる間、王子を近付けさせるつもりは無いのでしょう。


「それにしても、護衛もいただろうに腕訛って無いね」

「クレア侍女長に扱かれてたら訛るわけないでしょ。あんたはお嬢様に付いて行って逃げ出せたから良いものの、相手が私1人になって扱きも2倍よ」


「ごめんベティ。何かで埋め合わせするから」

「じゃあ今度はあんたが侍女長に扱かれてきて。私がお嬢様担当になるって…、冗談だから怖い顔しないでよ。お嬢様が関わると顔が変わり過ぎよ」


「そうかな?」

「きっと奥様も、あなたが殺さない様にしてくれたのかもよ?」


そんな風に思われているのかな…。

「さすがに殺しはしないと思うよ…。多分だけど」


ベティは確信を持って私に告げる。

「学園でお嬢様にあの男が触れようものなら、あなたは確実に殺すよ」


王子がお嬢様に触れたら可能性はある…。

俯きつつ答えた。

「確かに、そうかもしれません」


ベティは別れを告げる前に真面目な顔で告げた。

「あなたも腕を訛らせないようにしなさいよ。使う時が来るから。ちなみに、この国で一番強い女はクレア侍女長だと思ってるでしょ?」

「違うの?」


「聖騎士隊の隊長だったクレア侍女長を奥様がぶちのめした結果、今の形に落ち着いたみたいだよ」

「まじですか…」


ベティは少し怖い顔をして私に笑いかける。

「お嬢様に何かあったら奥様直々に制裁するらしいから」

「やめてーー」


私は思い出したようにベティにお願いしておく。

「あ、そうだ!お屋敷の部屋に余裕持たせておいてね」

「お嬢様の計画?」


ん?

情報が漏れてる?

奥様だからありそうだけど黙っておこう。


「もしかしたら、友達連れて帰りそうな気がしててね」

「確かにありそうだわ」


「分かりました。今の話は奥様と侍女長に通しておきます」

「ではお互い任務に戻りましょう」


こうして王子の素行調査は終了した。

お嬢様の学園での身の安全を確保出来たのは大きい。


上手く報告してご褒美貰わないと。

お嬢様お手製のクッキーとか食べたいなー。

ブレンダのお嬢様愛のきっかけは出会いにあります。

一目惚れです(真実の愛です)

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